管理人のイエイリです。
日本で介護や支援を必要とする人は、全人口の5%に近い450万人に達し、全世帯の8%が65歳以上の独居者で占められているそうです。
一方、介護者の数は不足しており、介護の質や介護負担の軽減も課題です。そのため、高齢者や要介護者の行動を把握し、いざという時にはすぐに介護者が駆けつけられるようなシステムが求められます。
かといって、室内に監視カメラを取り付けられるのはいくら安全のためといっても、抵抗がありますね。
そこで、清水建設がこのほど開発した介護支援システム「高齢者見守りシステム」は、
ナ、ナ、ナ、ナント、
3次元距離センサー
を使って、人の行動を見える化したのです。異常な行動や事故などを認識した場合には、ナースコールなどの緊急通報を発することもできます。
室内に設置した3次元赤外線センサー。監視カメラのような抵抗感は少ない(写真、資料:清水建設) |
部屋の一角に設置した3次元距離センサーは、赤外線を照射し、その反射時間によって室内空間にある人や物の距離を計測し、リアルタイムに3次元座標化します。この座標情報から、人の頂点や重心などの動きを認識する仕組みです。
驚くべきは、認識できる行動の細かさです。部屋への入退室や歩行、ベッドへの入床・離床のほか、
起き上がりや転落
さらには転倒や歩行まで、人がどのような行動をとっているのかが分かるのです。
ベッドから起き上がったり、転倒したりしたことを判定する仕組み |
例えば、転倒を認識する場合の条件は、「高さ100cmを超えていた頂点または重心の座標が突然40cmを下回り、かつ両方の座標がベッドの領域外に出ている」というように判定します。
こうした判断は、動きのスピードまでを観測できる3次元距離センサーのおかげです。映像ではなく、あくまでも“座標”を監視しているので、プライバシーの面でも安心ですね。
清水建設では、このシステムを本年度内にも商品化し、ケアコムを通じて1セット(プログラムとセンサー1台)を40万円程度で外販することを検討しています。