設計期間は10分の1!似ている3Dモデルを検索し使い回す技術
2012年4月26日

管理人のイエイリです。

BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)や3次元CADでの設計が普及してくると、課題になってくるのは過去の設計資産の有効利用です。

部材や設備のBIMパーツや3次元CAD部品がないからといって、1から作っていたのでは無駄が多すぎます。過去に、似たような形のBIMパーツを作ったことがあれば、それを再利用して修正する方がはるかに短時間で済みます。

ところが、BIMでの設計資産が増えてくると、「確か、これと似たような形のBIMパーツを作った記憶があるんだけどな」と思っても、結局見つけ出せず、1から作ってしまうことも多くなりそうですね。

そんなときに役立ちそうな技術を、富士通研究所と富士通研究開発中心有限公司が開発しました。

ナ、ナ、ナ、ナント、

 

部分的に似たモデルを検索

 

する技術なのです。

これまでも、「全体的に似ているモデル」を探す技術はあったそうですが、「取っ手が似ている部品」とか「取り付け部が似ている部品」というように、部分的な形が似ているだけでは検索できませんでした。

そこで今回開発された検索技術では、3Dモデルを突起など特徴的な部分モデルに自動的に分割して検索対象とすることで、部分的な検索を可能にしました。

 20120426-image1.jpg

従来の全体的な形が似た3次元CADモデルの検索(資料:富士通研究所、富士通研究開発中心有限公司。以下、同じ)

 20120426-image2.jpg
特徴的な部分に自動分割後、形が似た部分を検索する新技術

使い方のイメージとしては、設計者が「検索キー」となる部分的に形を指定し、これと部分的に似ている3Dモデルを検索。その結果を仮想空間上に並べて一覧表示する方法があります。また、形が似ている部分を着色によって強調することで、目的とする3Dモデルを効率的に探せるようにします。

 20120426-image3.jpg

部分的な形が似た3次元CADモデルを仮想3次元空間に表示する使い方のイメージ

実験では、1万個の3Dモデルを自動分割して約10万個の部分に分割しました。

その中から、検索キーと部分的に似ている3Dモデルを検索した場合、

 

約3秒で検索できた

 

とのことです。

この技術により、検索した部分モデルを抜き出して、複数を組み合わせることで、1から3Dモデルを作る方法に比べて設計期間は約10分の1に短縮できるそうです。

なお、この技術は、2012年度中に富士通の統合設計情報管理システム「PLEMIA」に搭載される予定だそうです。

これは製造業向けに開発された検索技術ですが、建設業のBIMや土木構造物の3次元設計でも、活用できそうですね。

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