管理人のイエイリです。
4月13日、東京・麹町で日本建設情報総合センター(JACIC)主催のセミナー「CALSの15年を振り返り、新たなステージへ~建設生産システムのイノベーションに向けて~」が開催されました。
最近、CALSの話題もあまり盛り上がっていませんでしたが、会場は約250人の参加者で超満員でした。
その理由はきっと、
往年のCALSプレーヤー
が大集合したこともあるでしょう。
例えば、当時の建設省技術調査室で建設CALSを推進した木下誠也さん(現・愛媛大学教授)や、CAD図面の電子納品基準で使われている「SXF形式」の開発に携わった関西大学教授の田中成典さんをはじめ、1997年以降、日本土木工業協会(現・日本建設業連合会)のCALS検討ワーキンググループで活動している佐藤郁さん、建設コンサルタンツ協会CALS/EC委員会の藤澤泰雄さんなどが顔をそろえました。
当時の建設省技術調査室で建設CALSを推進した木下誠也さん(左)と、当時、日経BP社のウェブサイトに掲載された建設CALSセミナーの記事(写真:家入龍太。以下、同じ) |
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“建設CALSプレーヤー”たちが勢ぞろい | |
会場は約250人の参加者で超満員(左)。1998年当時のパワーポイントも登場(右) |
1995年に出版された「CALS-米国情報ネットワークの脅威」(石黒憲彦、奥田耕士共著。日刊工業新聞社)という著書をきっかけに、建設省(当時)は1996年に建設CALSの実証フィールド実験を開始し、1997年6月に2004年を目標とするアクションプログラムを発表しました。
当時の建設CALSもBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)と同様に、建設情報の電子化によって業務のワークフローを改革し、生産性向上を目指して始まりました。そしてご存じのように、CALS/ECアクションプログラムに従って電子入札の実施や、CAD図面、工事写真などの電子納品、情報化施工の実施などが行われてきました。
この15年間を振り返って木下さんは「パーツとしての技術は進んだ。しかし、仕事のやり方や執行プロセスなど、全体を統合した改革には至っていない」と率直に語りました。
CALSの後、国土交通省は建設生産システムをどう変えていくのでしょうか。基調講演を行った国交省技監の佐藤直良さんは、
土木もBIMの発想
を発展させて、設計、施工がぶつ切りになった生産システムをつなぎ、生産性を向上していこうと熱く語りました。
基調講演を行う国土交通省技監の佐藤直良さん。BIMの概念を自ら説明した | |
土木のBIM(CIM)導入のねらい |
佐藤さんは「建築分野でBIMが生産性を上げているのは、BIIMモデルの『属性情報』がポイントだ」と指摘し、「建設CALSのように基準から入るのではなく、モデル工事から始めていきたい。そして土木と建築で、用語や素材のライブラリーも統一してはどうか」という今後の方向性についての構想を語りました。
佐藤さんは「土木のBIM」のことを「CIM(シビル・インフォメーション・モデリング)」と呼んでいます。いよいよ、公共土木事業でもITによる本格的なワークフロー改革が始まるのでしょうか。今後の国交省の取り組みに注目していきたいと思います。
なお、当日、セミナーで配布された資料は、JACICのウェブサイトでダウンロードできるようになっています。
(訂正)
当初、「CIM(シビル・インフォメーション・モデリング)」と期しておりましたが、「CIM(コンストラクション・インフォメーション・モデリング)」の誤りでした。訂正します。(4/16、22:46)