管理人のイエイリです。
水道管や下水道管などの埋設管は、一応、台帳などがあるものの掘ってみないと実際の位置や深さは分からないのが現状です。
ところがオーストラリアのメルボルンにある上下水道会社、サウス・イースト・ウオーター社(South East Water Limited)は、低圧下水道管の設計、施工、維持管理に「Visual City」というシステムを導入し、埋設管周辺の地下の状態を
ナ、ナ、ナ、ナント、
3Dで“見える化”
したのです。
このシステムは、埋設されている配管から、木の根や建物の基礎、ファイバーケーブルなどの地下の状態を1つの3Dモデルにまとめるものです。地中レーダーや地質データ、遠隔センサーなどの情報も取り込むことが可能です。
iPadなどの携帯端末を使うと、この3Dモデルは現場でいろいろな角度から見ることができます。その結果、作業員は配管ルートの代替案や、より低コストな案を見つけることが可能になったとのことです。
「Visual City」によりモデル化した地下の配管や木の根などの状態(image:courtesy of Nextspace) |
「Next City」はニュージーランドのネクストスペース社(Nextspace)が開発したシステムです。これまで“縦割り”で管理されてきた様々なライフラインや都市のデータを1つの3Dモデルにまとめることで、都市計画や社会インフラの維持管理などの業務を効率化することを目指しています。
第一の特徴は地図や図面、GIS、航空写真のほかセンサーやRFID、BIMモデル、点群データなど様々なデータを統合できることです。これらの情報をまとめた3Dモデルは、いろいろな視点や角度で見ることができるほか、携帯端末を使って現場で情報をチェックできます。
また、
拡張現実感(AR)を活用
することにより、これまで肉眼では見られなかった地下の施設や位置関係が可視化され、意思決定がスムーズに行えるようになります。
ARを使った情報可視化のイメージ(image:courtesy of Nextspace) |
都市の可視化を前面に打ち出したNextspace社のウェブサイト(image:courtesy of Nextspace) |
このシステムの存在は、オートデスクのアジアパシフィック セールスディレクターであるロブ・マルキン(Rob Malkin)さんから教えてもらったものです。
彼が本拠地とするオーストラリアの建設業は、海外プロジェクトで勝負するためBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)などの革新的技術を積極的に活用しています。
オートデスクのアジアパシフィック セールスディレクターを務めるロブ・マルキン(Rob Malkin)さん(写真:家入龍太) |
オーストラリアやニュージーランドのBIMや3D技術は、これまであまり注目していませんでしたが、着々と革新的な技術が開発されているようです。今後、目が離せませんね。
【訂正】
当初、タイトルを「ニュージーランドの上下水道会社」としていましたが、「オーストラリアの上下水道会社」に訂正します。