ナント、世界初!鉄道の架線に直結できる1500Vの蓄電池が登場
2012年7月4日

管理人のイエイリです。

太陽光発電システムを備えた住宅は、発電し余った電力を電力会社に売り、電力線を通して他のユーザーが使います。

電車と線路の関係もこれに似ています。というのは、電車がブレーキをかけるとき、モーターが発電機の役目をして発電した回生電力をパンタグラフから架線に戻し、その電力を別の電車が使う仕組みになっているからです。

しかし、同じタイミングでブレーキをかける電車と加速する電車の数が釣り合わないと、ブレーキ発電の電力は有効に利用されませんね。

ブレーキと加速のアンバランスによる電力の無駄をなくそうと、川崎重工業は「BPS(Battery Power System)」という画期的な装置を開発しました。

ナ、ナ、ナ、ナント、

 

架線に直結できる蓄電池

 

なのです。

鉄道の架線というと、JRの直流電化区間の場合、約1500Vの電圧がかかっています。この高電圧に直接、蓄電池を接続し、電車がブレーキをかけたときの回生電力を貯蔵し、他の電車が加速するときに使うことで電力の無駄をなくそうというのです。

同社は東日本旅客鉄道(JR東日本)と共同開発契約を結び、BPSの設計、製作と試験データの測定、分析を担当しました。蓄電池には川崎重工製の大容量ニッケル水素電池「ギガセル」を使用しています。電車の架線に蓄電池を直結する方式は世界初とのことです。

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架線に直結し、電力を有効利用する蓄電池「ギガセル」(写真:川崎重工業。以下同じ)

ギガセルは高速に充放電することができ、負荷に対する応答性能が優れています。そのため電圧調整のための「チョッパ装置」などが不要で、設備を低コスト化、小型化することが可能です。

JR東日本は青梅線内にある古里変電所にこのBPSを導入し、川崎重工と実証運用を開始しました。同変電所に導入されたのは公称電圧1548V、公称容量150Ah、公称エネルギー容量232kWhのもので蓄電池、電池監視装置盤、高速度遮断器などから構成されています。

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JR東日本の古里変電所

蓄電池の電圧は、数ボルトから数十ボルトをイメージする人が多いと思います。鉄道の架線の電圧は約1500Vもあるので、蓄電地を直結しようという発想さえ、なかなか生まれませんね。

その点、ギガセルは必要な電圧に応じて小さな電池容器(セル)を直列につないでいくことで、高い電圧に対応できる蓄電地を作ることができます。今回、古里変電所に導入されたものは、

 

43個のセルを直列

 

にしているそうです。

ギガセルは路面電車や船舶に搭載したり、太陽光発電や風力発電の出力安定化や災害時の自立運転システムに使ったりと、様々な分野で活用されているそうです。

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