電車のブレーキ発電を駅で使う!三菱電機の駅舎補助電源装置
2012年8月16日

管理人のイエイリです。

お盆休みを3日間いただいておりましたが、本日から当ブログを再開いたします。休み中ロンドンオリンピックで過去最多数のメダルを獲得した日本チームの活躍など明るいニュースがあった一方、南北の領土問題など将来の不安を感じさせる出来事もありました。

休み中、私は近い将来に予想される石油や天然ガスなどの化石燃料が枯渇したとき、社会は生活はどうなるのかを考えるため「縮小社会への道」、「江戸・キューバに学ぶ“真”の持続型社会」、そして「江戸に学ぶエコ生活術」といった本を読んでみました。

近世までの数億年間、使われずにいた化石燃料を掘り起こし、その数百万分の1の短い期間で使っているのが現代社会です。化石燃料が枯渇した後は、現在のような人口を地球上で養うことは難しく、消費するエネルギーも思い切った削減が必要になり、有限な資源を可能な限りリサイクルすることが求められそうです。

そんな中、目に留まったのが三菱電機が「駅舎補助電源装置」を開発したというニュースでした。電車がブレーキをかけるときにモーターから発生する電力を、

ナ、ナ、ナ、ナント、

 

駅の電源として使う

 

という画期的なものなのです。

20120816-image1.jpg

駅舎補助電源装置の概念図(資料:三菱電機)

電車ブレーキをかけるとき、電車のモーターは発電機の役目をし、発電した回生電力を他の電車が使う仕組みになっています。

しかし、同じ線路上に加速中の電車がなかったり、同時にブレーキをかける電車ばかりだったりした場合には、発電機が“空回り”してブレーキ力が得られず、オーバーランの原因になることもあります。

こんなとき、余った電力を駅の照明や空調、エレベーターなどで消費できるようにするのが、この装置の役割です。東京メトロの東西線西船橋変電所にこの装置を設置し、8月中旬から約2カ月の間、西船橋駅に電力を供給する実証実験を行う予定です。

三菱電機がシミュレーションした結果、約600kWhの電力を有効活用できると推定されています。西船橋駅で使用する電力のうち、

 

16%を回生電力で補完

 

できる見込みとのことです。

●「駅舎補助電源装置(製品版)」の仕様概要
入力電圧 DC1500V
出力電圧 AC210V、3相  50Hz/60Hz
定格出力 50kW連続、200kW-30秒(3分間隔)
冷却方式 自冷
設置場所 屋外(駅のホーム下やホーム端への設置を想定)

電車に供給されている電力は直流1500Vであるのに対し、駅舎では3相交流210Vが使われています。実証実験では、シミュレーション結果の妥当性を確認するほか、交流に変換した回生電力を駅の配電系統から照明や空調などに供給し、電力系統の接続による影響などを検証します。

そして2013年4月には、実証実験の結果を踏まえて製品として発売する予定です。

化石燃料の枯渇に備えて、こうした電力のリサイクル装置のほか、余った電力をためておく蓄電装置のニーズは、今後、ますます高くなりそうですね。もちろん、電力やエネルギーを大量消費しているライフスタイルや社会・経済のあり方も、少しずつ省エネ型にソフトランディングしていく必要もありそうです。

(Visited 1 times, 1 visits today)

Translate »