米国のCIM現場向け!世界最大のシールドマシンが堂々完成
2012年12月26日

管理人のイエイリです。

東京湾アクアラインの海底トンネルが橋梁につながる人工島「海ほたる」には、トンネルの掘削に使ったシールドマシンのカッターフェースがモニュメントとして展示してあります。その直径は14.14mで当時、世界最大を誇りました。

日立造船はこのほど、この巨大なシールドマシンをさらに上回る世界最大のシールドマシンを同社の堺工場(大阪府堺市西区)で完成させました。

その直径は、

ナ、ナ、ナ、ナント、

 

17.45m

 

もあるのです。

泥土圧式で全長約110m、重量約7000トンという巨大なシールドマシンです。

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日立造船が完成させた直径17.45mのシールドマシン(写真:日立造船)

このシールドマシンは、米国ワシントン州シアトル市内に建設する地下道路、「99号線」(SR99 Tunnel Project)建設のために作られました。2013年に工事が始まると、同トンネルの南端から北に向かって約2800m掘削する予定です。

掘削ルートとなる市街地中心部の地盤沈下を防ぐため、シールドマシン外径とセグメント外径の間に生じる空間に裏込め剤を確実に注入する装置を搭載し、掘進停止中でもカッター圧力室内の土圧を監視し制御する装置を採用しています。

ディスクカッター交換装置も新たに開発し、カッター圧力室内の土圧を保持したままシールドマシン内側からディスクカッターや先行ビットを交換できるようにしました。

シアトル市内には海岸沿いに「アラスカン・ウェー高架橋」(Alaskan Way Viaduct)が走っていますが、大地震に見舞われたとき、崩壊する危険があります。そこで高架橋を撤去する代わりに、地下道路トンネルを建設しようというものです。

この土木インフラプロジェクトには、BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)、すなわち

 

日本流に言うと“CIM”

 

が大々的に使われています。

アラスカン・ウェー高架橋が地震によってどのように崩壊するかや、地下トンネル周辺の建物の杭やライフラインの可視化、トンネル内部構造物の設計などにCIMが大活躍しています。

試しにYouTubeで「SR99 Tunnel Project」というキーワードで検索してみてください。発注者のワシントン州運輸局(WSDOT)などが作成した様々な動画が公開されていますよ。

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大地震によって崩壊する「アラスカン・ウェー高架橋」のシミュレーション動画

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99号線を掘削するシールドマシンのアニメーション動画
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掘削ルート周辺の地中にある杭やライフラインの可視化動画(以上3点の画像:WSDOT。YouTubeより)

日立造船が製作したシールドマシンは来年3月上旬に堺工場から海上輸送し、3月下旬にはシアトル港に到着する予定です。現場では6月ごろに掘削を開始するそうです。

米国の巨大CIMプロジェクトに、日本製の世界最大のシールドマシンが使われるのは感慨深いものがありますね。チャンスがあればぜひ現場を訪れてみたいです。

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