表面をなぞるだけ!果物測定器の原理でコンクリ塩分を計測
2013年1月10日

管理人のイエイリです。

冬季に路面凍結の恐れがある橋梁は、路面凍結防止材をまくため、橋桁や橋脚、橋版などのコンクリートなどに塩害が発生しがちです。

そこで、IHIの関連会社、IHIインフラシステムは、コンクリートの表面をなぞるだけで表面の塩分濃度を測定し、塩分の分布状況を表示できるコンクリート非破壊劣化診断システム「コンクリートビュー」を開発、販売を開始しました。

コンクリート表面にある塩化物イオン濃度を測定する方法としては、

ナ、ナ、ナ、ナント、

 

果物の糖度測定器

 

に使われる「分光分析」を活用しているのです。

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コンクリートの表面をなぞるだけで塩分濃度を測定できる非破壊検査システム「コンクリートビュー」(写真:IHIインフラシステム。以下同じ)

機器の内部にはハロゲンランプが内蔵されており、近赤外光線をコンクリート表面に照射します。

はね返った光を内蔵の光ファイバーで集光し、光の波形を解析することで、表面の塩化物イオン濃度を測定できます。

内蔵の「エンコーダー」で、測定した部分の距離を計測できるため、具体的な位置情報とともに塩化物イオン濃度分布を表示できるようになっています。

そのため、広範囲を計測して塩化物イオン濃度が高い部分を割り出し、コンクリート補修すべき範囲を絞り込むといった使い方もできます。

驚くべきは、その測定効率です。1日に、

ナ、ナ、ナ、ナント、

 

200m2程度の測定が可能

 

というのです。

狭い部分の計測には、「プローブヘッド」という測定器が用意されており、スポット的な計測にも対応できます。

また、コンクリート内部の塩分濃度は鉄筋からコンクリート表面までの距離である「かぶり」の設計などに用いられている拡散式を用い、セメント種類、供用年数などを入力することで求めることができます。

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プローブヘッドによる狭い部分の計測例

気になるお値段ですが、希望価格は450万円とのこと。2012年11月には新技術登録システム「NETIS」にも登録されています。

これからは土木構造物の維持管理をいかに低コストかつ効率的に行うかが求められます。コンクリートビューで広い範囲をざっくり検査して、問題のありそうな部分を絞り込むようにすると、問題個所を見落とさず、かつ経済的に補修工事ができそうですね。

しかし、果物の糖度測定の技術が、コンクリートの塩害対策に役立つとは驚きです。他分野で開発された技術の「いいとこ取り」をした好例と言えそうです。

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