設計者も損せず!BIMのモデル作成費を「LOD」で見積もり
2013年3月21日

管理人のイエイリです。

BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)による業務改善を担うのが、設計業務の前倒しによって意匠、構造、設備の干渉などの問題をあらかじめ解決しておく「フロントローディング」です。

フロントローディングを行うためには、建設プロセスの上流段階にいる設計者の業務は、必然的に前よりも増えることになります。しかし、設計費はそう簡単には値上げできないため、フロントローディングに今ひとつ、積極的になれない設計者も多いのではないでしょうか。

しかし、大阪を拠点にBIMの普及やビジネスでの活用に先進的に取り組むグループ「BIM LABO」では、設計段階でのフロントローディングにも前向きに取り組んでいます。

というのも、BIMモデルの作成費を

ナ、ナ、ナ、ナント、

 

LODによって見積もる

 

という方法を導入したからなのです。LODとは、BIMモデルの詳細さを表す尺度で、「Level Of Development」の略です。

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LODによるBIMモデル作成内容の資料を示すBIM LABOの鈴木裕二さん(右)と亀岡雅紀さん(右)(写真:家入龍太)

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BIMモデル作成の見積書の例。LODによって料金は変わる(資料:BIM LABO)

おおざっぱに言うと、LOD200は基本設計、LOD300は実施設計・確認申請図用モデル、そしてLOD400は施工レベルという感じです。

例えば、壁のモデリングでは高さや部屋の境界はどのレベルでも入力させていますが、構造はLOD200以上、マテリアルについてはLOD400以上で入力されます。

また、手すりについてはLOD100ではモデリングすらなく、LOD200以上でモデルが入力されます。

このLODに対する設計内容は、米国・ニューヨーク市が2012年7月に発行した「BIM Guidelines」(PDF)に基づいています。

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壁のLOD別モデリング内容(資料:BIM LABO)

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手すりと部屋のLOD別モデリング内容(資料:BIM LABO)
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iニューヨーク市が発行した「BIM Guidelines」の表紙(資料:New York City)

BIMを導入した設計者からは、「どこまでモデルを作り込んだらいいのか悩む」という話を時々聞きますが、LODごとの設計内容を決めておき、それぞれの仕事で目指すLODのレベルを決めてとりかかれば、無駄にモデルを作り込んでしまうこともなくなりそうですね。

BIM LABOの鈴木さんによると、このLOD別見積もりを設計事務所や建設会社の設計部で説明したところ、各社からは

 

「妥当な金額ですな」

 

と、料金の値ごろ感について評価をもらったとのことです。

LODごとの値決めについては、これまでの経験から自分が損しないレベルに設定したそうです。これなら、BIMモデルの作成を発注する側、受注する側ともに納得いく料金で仕事ができるので、設計者もフロントローディングに前向きになれそうですね。

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大阪市北区にあるBIM LABOのオフィスとメンバーの皆さん(写真:家入龍太)

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