管理人のイエイリです。
太陽光発電パネルの変換効率は年々向上し、逆に価格は下がりつつあります。年間トータルの一次エネルギー消費をゼロにする「ネットゼロエネルギービル(ZEB)」の実現も、夢ではなくなりつつあります。
しかし、三井住友建設が試算したところによると、屋上だけに太陽光発電パネルを設置していたのでは発電量が足らず、ビルの壁面にも太陽光発電パネルを設置しなければZEBの実現は困難という結果が出たそうです。
ビルの壁面は、建物の顔でもあり、太陽光発電パネルを取り付けるにしても、カッコよくデザインすることが大切です。
そこで、同社は、
ナ、ナ、ナ、ナント、
太陽電池付きファサード
のデザインを競う社内コンペを行ったのです。
課題の建物は、千葉県流山市にある同社の技術開発センター本館壁面の一部(幅5m×高さ12m。約60m2)です。アモルファスシリコン薄膜太陽電池(幅594mm×長さ2652mm、公称最大出力69W)を用い、「都市の景観に溶け込む心地よいファサード」というデザイン要件を定めて社内公募しました。
その結果、10チームがエントリーし、審査により採用したデザインが下の写真です。
技術開発センターの外壁面に導入した太陽光発電システム。総発電出力1.73kW(写真・資料:三井住友建設。以下同じ) |
採用されたデザインは、太陽電池が付いた「ストレート(straight)モジュール」と「エア(air)モジュール」に、壁面緑化を施した「グリーン(green)モジュール」を外壁に配したもので、総発電出力は1.73kWです。
平面の太陽電池だけだと黒くて無味乾燥なデザインになりそうですが、壁面緑化が配置されることでぐっと魅力的なデザインになりますね。
3種類のモジュールをミックスして配置することで、ファサードのデザインを構成している |
ここで注目したいのは、縦しまの模様があるエアモジュールです。これは、
太陽電池を曲げて
作ってあります。
住宅の屋上などに設置されている太陽光発電パネルと異なり、ここで使われたアモルファスシリコン薄膜太陽電池はフィルム型なので簡単に曲げることができます。
近い将来、印刷技術を利用して曲面加工が可能な建材一体型の太陽光発電パネルが実現すると予想し、そのデザインを先取りしたそうです。未来のビルのファサードデザインは、太陽光エネルギーによって決まることも多くなりそうですね。