驚異の精密さ!パシコンが作成した橋梁CIMモデルを大公開
2013年7月11日

管理人のイエイリです。

昨日(7/10)、東京・新宿で建設コンサルタントのパシフィックコンサルタンツは、社内や関連会社を対象に「CIMの最新動向と導入の具体的プロセスについて」という講演会を行い、約120人が熱心に聴講しました。

20130711-image16.jpg 20130711-image15.jpg

パシフィックコンサルタンツが開催したCIMの講演会であいさつする同社交通基盤事業本部の徳川和彦取締役本部長(左)。会場には約120人が集まった(写真:家入龍太)

同社は、2012年度に国土交通省が行った11件のCIM(コンストラクション・インフォメーション・モデリング)試行プロジェクトのうち、属性情報や維持管理ツールなどを活用する「先導モデル」という高度なプロジェクトを行いました。

講演会の最後に、ビデオの上映が行われ、

ナ、ナ、ナ、ナント、

 

CIM試行の詳細が明らかに

 

なったのです。その内容をご紹介しましょう。

同社が担当したのは、橋長73m、全幅6.39mのプレストレストコンクリート跨道橋です。CIM試行プロジェクトでは、地形や橋梁全体のモデリングから、鉄筋やPCケーブル、支承やジョイントなどの詳細モデリングのほか、施工シミュレーションまで行いました。

20130711-image18.jpg 20130711-image17.jpg
20130711-image14.jpg
20130711-image07.jpg 20130711-image06.jpg
20130711-image05.jpg 20130711-image08.jpg

パシフィックコンサルタンツが担当した跨道橋の図面と作成したCIMモデルの例(資料:パシフィックコンサルタンツ。以下同じ)

驚くべきはその精密さです。鉄筋は1本1本モデリングされ、属性情報も付いています。主桁のPCケーブルが複雑に入り組んだ鉄筋の間を応力分布に応じて曲線を描いている様子もよく再現されています。

20130711-image12.jpg 20130711-image11.jpg

入力された属性情報

20130711-image04.jpg
複雑に入り組んだ鉄筋の間を通るシースの状況もよく分かる
20130711-image03.jpg
支承まわりのモデリング
20130711-image09.jpg
ジョイントと排水溝の位置関係も3Dだと分かりやすい

主桁の内部には、PCケーブルのほか鉄筋も斜めに通っています。そのため3Dによる干渉チェックによって34カ所の干渉部分を発見することができたそうです。

20130711-image13.jpg

PCケーブルと鉄筋の干渉部分を34カ所も発見

CIMならではのフロントローディング成果と言えそうなのは、橋の維持管理を考慮して、

 

切り土の小段位置を変更

 

したことです。

当初の予定より、小段の位置を下げることにより、橋台の前面に平らな場所を作るように調整したのです。支承の点検などが楽に行えそうですね。

また、仮設材や重機を配置しての施工シミュレーションも行いました。

20130711-image01.jpg

小段位置の変更例

20130711-image10.jpg
重機や足場などを設置した施工シミュレーション。橋に勾配が付いているので足場との取り合いなどが分かりやすくなっています

徳川本部長は「4~5年後にはCIMは普通の納品スタイルになっているだろう。当社はリーディングカンパニーとして、他社よりも高度なCIMを目指していく」と力強く語りました。

さらに「コンクリート構造物はクリープや乾燥収縮も考慮しなければいけない。構造計算上で不必要な組み立て鉄筋をどう扱うかも課題だ」(徳川本部長)と、建築分野のBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)とは違った課題も指摘していました。

パシフィックコンサルタンツのCIMパワーは、今後、急速に拡大していきそうな迫力を感じました。

(Visited 5 times, 1 visits today)

Translate »