BIMをSCIMに拡張!大林組が技研全体を「スマートシティー」化
2013年10月25日

管理人のイエイリです。

東日本大震災以降、各地で再生可能エネルギーを最大限活用し、エネルギーの需給をバランスさせるため、様々なエネルギー管理システムを組み合わせた「スマートシティー」や「スマートコミュニティー」の開発や実証実験が行われています。

大林組では、東京都清瀬市にある技術研究所を1つのコミュニティーに見立ててスマートエネルギーシステムを構築し、次世代のスマートシティーを想定した技術の実証を行う計画を進めています。

エネルギー供給を支えるのは、多様な電源設備です。

ナ、ナ、ナ、ナント、

 

約900kWの太陽光発電

 

システムを備えているのです。これは技術研究所の消費電力にほぼ匹敵する出力です。

このほか通常稼働の3日分に相当する出力500kW、容量3000kWhの大型蓄電池と、約350kWのマイクロコンバインド発電システムも備え、商用電力と系統連系して、研究所全体の電力消費をエネルギーマネジメントシステム(EMS)で統合管理します。

EMSの構築には、早稲田大学先進グリッド技術研究所の林泰弘所長の協力を得て進めています。

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スマートエネルギーシステムの概要(資料・写真:大林組。以下同じ)

管理や制御の状況を「見える化」するのは、BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)を発展させた「SCIM(スマート・シティー・インフォメーション・モデリング)」に、EMSをリンクさせて行います。

SCIMはコンピューター上に街を丸ごと再現し、計画段階でのシステムの最適設計や環境シミュレーション、施工段階における不具合の防止、運営段階でのエネルギーの見える化、インフラの維持管理など、街づくりのあらゆる段階で様々なサービスを提供するプラットフォームとして機能します。

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EMSとSCIMのリンクによってエネルギーの管理・制御状況を「見える化」する

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SCIMの概念図

このEMSでは

 

ビッグデータを活用

 

し、エネルギー需要を2日以上前から予測します。

さらに前日は太陽光発電の出力や受電電力も予測し、リアルタイムな太陽光発電量の予測を行いながらエネルギーの需給を計画・制御し、その実績データを収集します。

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スマートエネルギーシステムにおけるEMSフロー

このシステムは、2014年11月末に完成する予定です。大林組は今回の実証によって、市街地再開発や複数の建物からなる大規模施設などで想定される省エネや省CO2、BCP(事業継続計画)などのニーズを解決する技術を蓄積する計画です。

最近、BIMとFM(ファシリティー・マネジメント)の連携が話題になっていますが、このシステムはさらに街全体まで拡張したものと言えます。そのうち都市全体や国全体、そして地球全体まで広がり、様々な環境問題や危機管理などをスマートに行えるようになるのでしょうか。大林組の先進的な取り組みに期待したいです。

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