豪BIM仮想コンペで入賞!大林組が見せた設計施工一貫のBIM活用力
2013年11月6日

管理人のイエイリです。

10月28日~30日の48時間、オーストラリアのシドニーを舞台としたBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)の仮想コンペ、「Build Sydney Live 2013」が48時間にわたって開催されました。

この国際仮想コンペには世界から約20チームが参加し、大林組からはオーストラリア・シドニーの設計事務所、Rice Daubney社との合同のチーム「Rice Daubney + Obayashi Corporation」と、大林組単独のチーム「Hi-sho, the chilipeppers」が参戦しました。

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惜しくも入賞を逃した大林組の単独チーム「Hi-sho, the chilipeppers」の作業風景(写真:YouTubeより)

その結果、

ナ、ナ、ナ、ナント、

 

日豪合同チーム

 

が、「設計、ドラマ、興奮をもたらしたBIM最高活用賞(BEST USE OF BIM FOR DESIGN, DRAMA, AND EXCITEMENT)」が贈られたのです。

参加チームに授与された賞はこのほか、最優秀賞の「The OpenBIM BUILD SYDNEY LIVE 2013 Award 」、「環境/施工性を実現するBIM最高活用賞(Best use of BIM for Sustainability or Constructability)」、「多職能によるBIM活用と相互運用賞(Multi-disciplinary BIM & Use of Interoperability)」の合計4つしかありませんでした。

また、コンペの実施ルールはとても厳格でした。参加チームにはコンペ開始まで、ほとんど課題についての情報は与えられず、質問メールを送っても「返信拒否」というクールさでした。

そんな中、参加チームの5分の1にしか与えられない賞を、大林組の1チームが獲得した意義は、大きいですね。

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日豪合同チーム「Rice Daubney + Obayashi Corporation」の受賞を伝えるBuild Sydney Live 2013のブログサイ

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「Rice Daubney + Obayashi Corporation」が行った流体解析(資料:YouTubeより)
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課題敷地。敷地面積は19ヘクタールの大きさだった(資料:Build Sydney Live 2013の公式ウェブサイトより)

今回の課題は、シドニーの国際展示場を建て替えるというものです。このコンペの現地調査のため、大林組は現地に2人のスタッフを派遣するという力の入れようでした。

現地スタッフとのコラボレーションは、クラウドサーバーと「GoToMeeting」というWEB会議システムの併用で、全く問題なく情報共有しながらコンペに取り組むことができました。

受賞した日豪合同チームは、「設計施工一貫でBIMモデルを有効活用するという当たり前のことを当たり前に取り組んだだけ」ということです。

一方、大林組の単独チームは、昨年の「Build Live Chiba 2012」の優勝の原動力となったアルゴリズミック・デザインによる最適化手法をさらに進化させ、コンピュテーショナルデザインの最先端設計手法で臨みました。

しかし、取り組み内容が難しすぎたためか、高度な割にはあまり評価されなかったようで、残念でした。

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大林組単独チームの作品(資料:大林組)

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3D空間にアルゴリズミック・デザインを適用した最適化手法(資料:YouTubeより)

大林組は今回、国際BIM仮想コンペでの入賞に手応えを感じたようです。

そのため、今後はさらに

 

本気モードで実務展開

 

を行っていくとのことです。

ちなみに、最優秀賞は複数の企業からなる「BIMアカデミー(BIM Academy)」というチームが受賞しました。

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最優秀賞を受賞した「BIMアカデミー」の作品(資料:BIM Academy)

先日、日本で開催されたBIM仮想コンペ「Build Live Japan 2013」では、参加の目的として「BIMの実践教育」を挙げるチームが多かったのが印象的でした。

国際的なBIMコンペも、海外プロジェクトでどのようなところが評価されるのか、海外の競争相手の強み、弱みはどこか、といったことを実践的に学ぶのによい機会でしょう。

日本ではBIMで流体解析(CFD)を行う設計者は今や珍しくなくなりましたが、海外の設計者はCFDは自分がやる仕事ではないと思っている人が多いようです。その点、日豪合同チームが行ってみせたCFDは、意外と高い評価を受けたのかもしれせんね。

大林組は今年10月に従来のBIM推進室を「PDセンター」に改編し、開発に約2年をかけた本格的な「スマートBIMクラウド」も同時に稼働を開始させました。今回、2チームが参戦した同社のチャレンジ精神に拍手を送りたいと思います。

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