9000kmを3Dレーザー計測!パスコと朝日航洋が高速道路の点群データを販売
2013年11月12日

管理人のイエイリです。

これからは、高度成長期に整備された道路や鉄道、橋、トンネルなどの社会インフラが急速に老朽化していきます。

限られた予算と人員で効率的かつ低コストで社会インフラを維持するためには、損傷などの問題が発生する前に手を打つ「予防保全」を戦略的に行っていくことが必要です。

そこでパスコと朝日航洋は、高速道路の予防保全に有効に使える高精度のデータを11月7日に発売しました。「高速道路三次元アーカイブデータ(PDF)」というもので、全国の高速道路を計測し、

ナ、ナ、ナ、ナント、

 

約9190kmの点群データ

 

と全周囲画像をデータ化したものです。

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「高速道路三次元アーカイブデータ」に含まれる色付き点群データ(資料写真:パスコ、朝日航洋。以下同じ)

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前方2方向のデジタル写真データ。点群に色を付けるのに使われる

3次元点群データは、車載型の3DレーザースキャナーやGPS(衛星測位システム)、ジャイロなどを搭載したMMS(モービル・マッピング・システム)の専用車両により、高速道路を通常走行して車両前方の路面や標識などの形状を計測したものです。

その精度は高く、相対位置で平面位置、高さともに±5mm、絶対精度では平面位置が10cm、高さが15cmとなっています。デジタルカメラで同時撮影した画像によって、点群には色が付けてあるので3次元CADなどに読み込んだとき、リアルな3D空間を再現できます。

また、全周囲画像にはGPSの位置情報が付いており、真上を含む周囲360°の風景を写したものです。3次元点群データを補完します。

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GPSの空間座標付きの360度全周囲画像

この「高速道路三次元アーカイブデータ」は、高速道路での様々な維持管理業務に便利に使えます。

まずは路面形状や標識などの位置や形状、計測時点での路面形状や道路施設の劣化状態の把握です。これまでは現地に出向いて調査する必要がありましたが、高精度の3Dデータと画像があるので、オフィスにいながらじっくりと現場の状況を確認できます。

BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)やCIM(コンストラクション・インフォメーション・モデリング)のソフトに読み込んで、設計するのにも使えそうですね。

このほか標識の見やすさか、道路の見通しの検討、事故発生時の現場把握などにも活用できます。

さらにカーナビでの活用や、次世代技術への応用として

 

自動運転

 

やドライバーへのサポートなどにも利用できそうです。

高速道路のデータ取得のため、MMSの専用車両をパスコは9台、朝日航洋は3台を出して昨年から計測を開始しました。

MMSでの計測業務を外注すると、かなりの経費がかかりますが、高速道路全体をまとめて計測し、3Dのアーカイブデータとして共有することで、かなりのコスト削減につながりそうです。

また、定期的に計測したデータを時系列で比較することにより、劣化などの経時変化がよく分かり、「予防保全」を効率的に計画することができそうですね。

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