管理人のイエイリです。
港湾工事の世界には、陸上のICT建機とはまた違った苦労があります。
例えばグラブ浚渫船では、見えない海中にグラブを下ろして海底の土砂をつかみ、海上に持ち上げて土運船に積み込むという作業を延々と繰り返します。
しかも、持ち上げた後の水切り確認や、無駄なく安全に積み込むための位置決めなど、同じように見えて神経を使う作業が続きます。これを長時間、高い精度で繰り返すのですから、オペレーターにとっては“反復地獄”と言っても大げさではありません。
こうした負担の大きい反復作業を楽にするため、ワキタ(本社:大阪市西区)はグラブ浚渫船の自動化を実現しました。
といっても、新型の浚渫船を開発したわけではありません。
ナ、ナ、ナ、ナント、
既存浚渫船に後付け
で自動化できるようにしたのです。(ワキタのプレスリリースはこちら)
今回発表したのは、「グラブ浚渫船自動化システム」です。これは既存のグラブ浚渫船に、各船に合わせた遠隔操縦装置と自動制御ソフトを組み合わせて、自動施工機能を載せていくものです。
今ある船を生かしながら自動化を進めるこの方法は、新造船を前提にしない分、コスト面でも現実的です。建設DXの世界では、こうした“今ある設備を生かす発想”が広がりやすさを左右します。その意味でも、なかなか実戦的なアプローチではないでしょうか。
このシステムが自動化するのは、浚渫の主要7工程です。
まず、(1)計画掘削位置に旋回し、(2)バケットを巻き下げ、(3)掘削してバケットを閉じ、(4)巻き上げ、(5)積込先である土運船へ旋回し、(6)そこでバケットを開いて積み込み、(7)次の計画掘削位置へ旋回する――という流れです。
現場では、アンカーで船の位置を保ちながら、ブームの旋回角や角度を少しずつ変えて掘削位置を送っていき、届く範囲を掘り終えたら次の位置へ移ります。これまでは、こうした一連の操作を人がレバーで何度も繰り返してきましたが、ワキタはその反復部分をシステムに肩代わりさせようとしているわけです。
その結果、人による操作のばらつきを抑え、一定のサイクルタイムと施工精度を維持しやすくなります。つまり、
施工品質と作業速度の安定
につながるわけです。動作が最適化されれば、燃料の節約にも期待が持てそうです。
さらに、オペレーターの疲労や勤務時間の制約、ヒューマンエラー、熟練者への依存といった、現場が抱える悩みの解決にも役立ちそうです。
国土交通省が進める「i-Construction 2.0」では、施工や施工管理のオートメーション化が大きなテーマになっています。これまでは陸上のICT建機が注目されがちでしたが、いよいよ海上工事の世界にも、その波が本格的に押し寄せてきたようです。





















