管理人のイエイリです。
全国に約73万橋ある橋梁のうち、建設後50年以上が経過した橋梁の割合は、2024年度の約42%から2029年度には約54%へ増える見込みです。
一方、5年ごとの定期点検では年間約15万橋の診断が必要になります。ところが、この仕事には高度な知識と経験が求められるため、技術者不足や業務負担の増大、技術継承の難しさが大きな課題になっています。
しかも、紙ベースで長く運用されてきた維持管理の世界では、自治体ごとに点検票の様式が異なることも多く、ITを導入したくても、そこが壁になりがちでした。
そこで登場したのが、NTTドコモソリューションズ(本社:東京都港区)、NTTドコモ(本社:東京都千代田区)、溝田設計事務所(本社:福岡県久留米市)が、長崎大学の監修のもと共同開発した橋梁診断支援サービス「橋梁アセスタ」です。
自治体ごとに異なるさまざまな様式の点検票をそのまま読み取り、
ナ、ナ、ナ、ナント、
国交省準拠の診断調書案
を自動生成してくれるのです。(NTTドコモソリューションズのプレスリリースはこちら)
つまり、現場では従来通り自治体独自の点検票を使いながら、出口側では国交省準拠の診断調書案に寄せていけるわけです。
橋梁アセスタは、生成AI技術と、AIが必要な情報を参照するための橋梁点検データベースとして機能する「RAG」を活用したSaaS型サービスで、Webブラウザから利用できます。
使い方の流れとしては、まず自治体ごとに形式の異なる点検票をそのまま読み取ります。次に、その内容から診断に必要な情報を抽出し、不足がある場合には、生成AIが不明点や不足情報を整理して、チェックリスト形式で確認します。
そのうえで、国土交通省が定める点検要領や診断マニュアル、さらに熟練技術者の暗黙知を言語化した独自の「診断ロジック」を参照しながら、診断調書案の定量評価や所見文を生成します。単なる文書変換ではなく、診断の考え方ごとシステムに載せているところがミソですね。
その効果も絶大です。2025年12月から2026年3月に複数の自治体や建設コンサルタントと行った実運用検証では、橋梁アセスタを使うことで、診断業務にかかる作業時間を
最大80%削減できる
ことが確認されたそうです。
経験の浅い技術者でも、AIが提示する診断調書案とその根拠を確認しながら業務を進められる点が評価されました。
点検票の読み替え、情報不足の洗い出し、所見文づくりまでをまとめて助けてくれるなら、ベテランの負荷軽減や若手育成にも役立ちそうです。
なお、このサービスは2026年4月23日に販売開始され、販売はNTTドコモビジネスが担当します。
橋梁アセスタが面白いのは、入口は自治体独自の点検票のままで、出口は国交省準拠の診断調書案を作れることです。これは、維持管理書類の標準化を進めるうえでも、かなり現実的な一手と言えそうですね。



















