管理人のイエイリです。
建築確認申請という仕事は、設計者にとってなかなか骨の折れる作業です。平面図、立面図、断面図、構造図、設備図など、多くの図面や書類をそろえたうえで、それぞれの内容のつじつまも合わせなければなりません。
途中で設計変更が入ると、1カ所直しただけでは済まず、関連する図面をあちこち見直すことになります。そこに審査機関からの指摘対応まで重なると、「どの図面が最新版なのか」「どこを修正したのか」が分かりにくくなりがちです。
そんな中、2026年4月から国土交通省は「BIM図面審査」をスタートしました。新しい制度というのは、どうしても「前例が増えてから取り組もう」となりがちですが、早くもチャレンジャーが現れました。
その勇気ある“ファーストペンギン”となったのは、
ナ、ナ、ナ、ナント、
大林組
だったのです。(大林組のプレスリリースはこちら)
大林組(本社:東京都港区)は2026年4月17日に発表したプレスリリースで、確認申請用CDEを活用し、複数の建築プロジェクトで建築確認申請のほか、省エネ適合性判定や構造適合性判定の申請も行ったことを明らかにしました。
「BIM図面審査」とは、BIMソフトで作成した3Dモデルから確認申請に必要な設計図書やIFCデータを作成・提出し、確認申請用のサーバー(以下、CDE:コモン・データ・エンバイロメント)で審査機関と共有しながら確認審査を進める仕組みです。
設計図書がBIMモデルから入出力基準に沿って作成されていることは「誓約書」で明示します。
一方、正式な審査対象は従来通り申請図書であり、IFCデータは参考情報として活用されます。これまでの審査の枠組みを踏襲しつつ、BIMを使って審査業務の効率化を図ろうというわけです。
確認申請の世界に、いよいよBIMが本格的に入り込んできた感じですね。
大林組は、意匠・構造については統合BIMモデルで一元管理しています。構造図では、BIMの属性情報を色分けして出力し、モデルから作成されていない2D加筆部分は緑色で明示する工夫も盛り込まれています。
設備はその建築モデルを参照しながら作成する方法を採っています。これによって、設計図書同士の整合を取りやすくしようとしているわけです。こうした運用を見ると、単にBIMモデルを作っただけではなく、確認申請の実務にきちんと落とし込もうとしていることが伝わってきます。
さらに確認申請用CDEでは、設計者だけでなく、審査する側の特定行政庁や指定確認検査機関、構造適合性判定機関なども、同じ環境で最新図書を共有できるようにしています。コメントや指摘事項も一元管理され、マークアップや差分確認によって修正箇所を把握しやすくしています。
そして設計者にとってありがたいのは、
各種判定をワンストップ
今回の取り組みは確認申請だけに閉じたものではなく、同一案件で確認申請用CDEを活用しながら、省エネ適合性判定や構造適合性判定の提出にも対応しています。
確認申請だけデジタル化しても、関連する判定業務が別ルートで動いていたら、結局は二度手間、三度手間です。その意味で、官民の申請実務をよく踏まえたうえで組み立てた運用だなと感じました。
今回の挑戦によって、図面間の整合確認の負担や、指摘対応による手戻りはかなり減らせる可能性があります。
大林組は2026年度に10件以上の案件適用を目指し、2029年に予定されている、さらに本格的なBIMデータ審査も見据えて運用改善を進めるとしています。
確認申請は、建築生産の入り口にある重要業務です。そこにBIMを持ち込み、図面中心の世界を少しずつ変えていく動きは、建設業の未来にとって明るい材料ですね。




















