杉孝が足場をVR化! 足場の中に入り込み、広さや明るさ、危険を原寸大で検証
2026年4月21日

管理人のイエイリです。

足場の計画というのは、図面上ではうまく見えても、いざ現場に行くと「思ったより狭い」「暗い」「手が届かない」「この姿勢はちょっとつらい」といったことが起こりがちです。

特に改修工事や設備まわり、炉内のような特殊な場所では、数十センチの違いが作業性や安全性を大きく左右します。それでも仮設材である足場は、短い時間で判断を迫られることが多く、組んでから修正するなど、現場合わせで何とかしてきた面もありました。

そんな建設現場のモヤモヤに対して、杉孝(本社:横浜市神奈川区)がなかなか面白い手を打ってきました。

ナ、ナ、ナ、ナント、

足場を原寸大で体感

できる「BIMtoVRサービス」を2026年4月1日に始めたのです。

VRゴーグルを着けて足場を原寸大で体感できる。スクリーンの映像はVRゴーグルで見ている画面(以下の写真、資料:杉孝)

VRゴーグルを着けて足場を原寸大で体感できる。スクリーンの映像はVRゴーグルで見ている画面(以下の写真、資料:杉孝)

夜間の照明状況を体感したところ

夜間の照明状況を体感したところ

これはBIMで作成した足場図面をVR化し、組み立て前にVR空間の中で足場を確認できるようにしたものです。

図面やパソコン画面の3Dを眺めるのではなく、現場の中に入り込むように見られるので、「暗そうだから照明を足そう」「この姿勢は無理そうだから形状を変えよう」「躯体まで届かなさそうだから足場を見直そう」といった判断がしやすくなります。

いわば足場計画を“ゼロ縮尺”で点検する世界です。原寸大モックアップを作らなくても、机上でかなり細かいところまで使い勝手を検証できるのは魅力ですね。

「BIMtoVRサービス」では、杉孝が作成した足場のBIM図面を専用ソフトでVRに変換し、足場の3D空間を作ります。その空間の中にVRゴーグルを着けて入り込み、まるで実物の足場に囲まれたような状態で、足場計画の良し悪しを体感するわけです。

VR空間の中では、ただ歩き回るだけではありません。照度調整、音声や動画の挿入、掲示物の設置ができるほか、墜落体感、寸法計測、照明などのオブジェクト操作も可能です。例えば現場が暗いと感じたら、照明を1つ、2つ、4つと増やして見え方を比べ、最適な明るさを探ることもできます。

照明を2つに増やした場合の見え方

照明を2つに増やした場合の見え方

手前に照明を増やすと一段と明るくなり、安全性も高まりそうだ

手前に照明を増やすと一段と明るくなり、安全性も高まりそうだ

使用機器はMeta Quest2です。同時にVR操作できるのは1人ずつですが、視界はミラーリングできるので、周囲の参加者も一緒に見ながら議論できます。

杉孝はこれまでも、BIM図面を納品した全現場に「BIMサポーター」を派遣し、建設会社の担当者や鳶職人、BIMサポーターが一緒に画面を見ながら確認する「足場施工BIM 検討会」を行ってきました。今後は、そこにVR確認も加わるわけです。

納品方法は、杉孝のスタッフがVRゴーグルなど必要機器を持参して指定場所で体験してもらう方法と、VR空間を一周した動画を提供する方法の2種類です。

もう一つの注目点は、

現場専用VR

というところです。

杉孝は以前から足場安全コンサルティング活動の一環としてVR教育コンテンツを提供していましたが、今回はこれから作る実際の現場の足場BIMを使えるのがミソです。つまり、汎用的な仮想空間ではなく、“お客様オリジナルのVR安全教育”ができるわけです。

トライアルでは、「初めて炉内足場の様子を理解することができた」「災害発生時の現場の様子を知ることができた」といった評価もあったそうです。ここまで来ると、VRは見せるための技術というより、現場の危険や不具合に気づかせるための技術と言ったほうがよさそうですね。

建設分野のVRというと、これまでは本設建物のデザイン確認やプレゼン用途のイメージが強かったのですが、足場のような仮設分野まで活用が広がってきたことで、VR機器の大衆化という大きな変化も感じさせます。

BIMも、設計データとして作って終わりではなく、施工前の合意形成や安全教育にまで使い倒す時代に入りつつあります。仮設材の検討が“現場合わせ”から“仮想モックアップによる事前検討”へ進めば、建設DXはまた一歩、足元から前に進みそうですね。

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