日揮・大成が3DプリンターでPCa部材を製作! 柱・梁・スラブを一体化
2026年5月25日

管理人のイエイリです。

建設現場で柱や梁、スラブをつくるとき、なかなか大変なのが高所での配筋や型枠、接合作業です。足場の上で細かい鉄筋を納めたり、上向きの姿勢で作業したりするのは、時間もかかりますし、身体への負担も大きいものです。

しかも最近は、人手不足により熟練技能者の確保も簡単ではありません。そこで注目されているのが、柱や梁、スラブなどの部材を地上で製作し、現場に取り付けるPCa化です。

ただし、PCa化にも悩ましい問題があります。工場で作った部材を現場まで道路輸送するには、部材の大きさに制約があります。一方、現場で製作しようとすると、多数の鋼製型枠の仮置きや、コンクリートの打設・養生スペースが必要になり、都市部の狭い現場では現実的に難しい場合もあります。

こうしたPCa工法のお困りごとに対して、日揮グローバル(本社:横浜市)と大成建設(本社:東京都新宿区)が、1つの答えを示しました。

柱・梁・スラブを一体化した大型PCa部材を、

ナ、ナ、ナ、ナント、

 

建設用3Dプリンター

 

で製作することに成功したのです。(日揮ホールディングスのプレスリリースはこちら

ポイントは、3Dプリンターでコンクリート構造物を丸ごと印刷したわけではないことです。3Dプリンターで造形したのは、柱・梁・スラブを一体化するための「埋設型枠」です。

その中に鉄筋などを配置し、コンクリートを流し込むことで、大型PCa部材として仕上げました。

今回使われたのは、日揮グローバルが導入しているCOBOD International A/S製の建設用大型ガントリー型セメント系3Dプリンターと、大成建設が開発してきた建設用3Dプリンティング技術「T-3DPR(Taisei-3D Printing)」のノウハウです。

日揮グローバルが導入した3Dプリンター(以下の写真、資料:日揮グローバル)

日揮グローバルが導入した3Dプリンター(以下の写真、資料:日揮グローバル)

従来は、柱、梁、スラブをそれぞれ個別のPCa部材として製作し、現場で接合するケースが多くなります。ところが今回は、その型枠を3Dプリンターで一体造形し、部材自体も一体化しました。

これにより、部材の分割数や現場での接合作業を減らし、人力作業や高所作業を削減する狙いです。

製作の流れは、まず建設用3Dプリンターで埋設型枠を造形します。次に、その内部に鉄筋などを配置し、コンクリートを打設します。完成した大型PCa部材は、反転、移動、架設を経て、最後に接合部を施工するという手順です。

3DプリンターによるPCa部材製作の流れ

3DプリンターによるPCa部材製作の流れ

ここで3Dプリンターが威力を発揮するのは、複雑な型枠をデジタルデータから直接つくれる点です。

木製や鋼製の型枠を現場で作り、保管し、解体するとなると、どうしてもスペースと手間がかかります。3Dプリンターなら、柱や梁、スラブが入り組んだ複雑な型枠でも、データに基づいて造形できます。

大型PCa部材は、大きくすればするほど現場での接合作業を減らせます。しかし、大きくしすぎると、今度は道路輸送が難しくなります。

つまり、「工場では作れるが、現場まで運べない」というジレンマがあるのです。

そこで目指しているのが、建設地の近くで3Dプリンターにより埋設型枠を造形し、PCa部材を製作する

 

ニアサイトプリント

 

です。

ニアサイト方式による施工イメージ

ニアサイト方式による施工イメージ

つまり、現場内や現場近くに小さな“デジタル型枠工場”を作るイメージです。3Dプリンターを使えば、鋼製型枠を大量に用意する必要を減らしながら、複雑な大型PCa部材を製作できる可能性が広がります。

日揮グローバルと大成建設は、この技術により、将来的に人工50%削減、コスト15%削減を目指しています。

もちろん、大型PCa部材を実用化するには、つくる技術だけでは足りません。クレーンで吊ったときに水平・垂直を保てるか、地上で荷揚げ前に部材の向きを整えられるか、端部から飛び出した接続用鉄筋を曲げずに守れるか、といった施工段階のノウハウも重要になります。

今後は、3Dプリンターで型枠をつくるだけでなく、重心や吊り点、玉掛け方法、揚重時の姿勢、接続用鉄筋の養生までをデータで管理する「デジタル玉掛け」や「デジタル揚重管理」へと発展していきそうですね。

3Dプリンターによる“デジタル型枠工場”が、PCa工法の常識を変える日も近いかもしれません。

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