管理人のイエイリです。
BIMを使えば仕事がラクになる、とよく言われます。ところが実際には、データ形式の違いによって、せっかく作ったモデルが次の工程で生かせなかったり、メーカー製品の情報を図面やPDFを見ながら手で入れ直したり、といった地味にしんどい作業がまだまだ残っています。
せっかくBIMを導入しても、データ変換という雑用に時間を取られてしまっては、そのありがたみも半減してしまいますよね。
荏原製作所(本社:東京都大田区)は、そんな設計者や施工者の悩みに応える一手を打ってきました。同社のポンプや送風機のBIMデータを、
ナ、ナ、ナ、ナント、
IFC形式で配布
し始めたのです。(荏原製作所のプレスリリースはこちら)
同社は2025年9月から、建材・設備の3Dデータ共有プラットフォーム「BIMobject」で、自社製品のBIMオブジェクトと2413点のパラメトリックバリエーションを、BIMソフト「Revit」用の.rfaファイルで公開してきました。そこに今回、新たに「IFC(.ifc)ファイル」形式が加わりました。
施工BIMの分野では、これまでRevitが先行してきましたが、最近はArchiCADやRebroなど、ほかのBIMソフトの活用も広がっています。今回の動きは、そうしたユーザー側の変化に、きちんと対応したものと言えそうです。
このIFCファイルは、いわば“BIM界の共通言語”です。国内の設備工事会社で多く使われているCADソフトにも対応しており、異なるBIMソフト間でのデータ連携の幅を広げてくれます。
しかもBIMオブジェクトは、単に3D形状が見られるだけではありません。BIMソフト上で周囲の部材との位置関係や相対寸法を確認できるほか、機能、寸法、材料などの属性情報も表示されます。
つまり、設計者がポンプや送風機をモデルに載せ、その情報を施工側が引き継ぎながら検討していく、といった使い方を具体的にイメージしやすいデータなのです。
荏原製作所はこれを、製品とデジタルの両輪を提供し、設計から施工までの円滑化を図る取り組みと位置付けています。
今回のIFCデータ公開は、ユーザーへのサービス強化であると同時に、設備メーカーにとっては
“製品のBIMカタログ”
という新しい意味も持っています。
荏原製作所は今後、給水・消火・排水ポンプのBIMデータ拡充に加え、製品選定支援機能やWebサイトのリニューアルも予定しています。
こうなると、IFCデータは単なる付属資料ではなく、設計の入り口で自社製品を選んでもらうための営業基盤にもなっていきます。設備メーカーにとっては、カタログを配るより先に、BIMモデルの中に入り込む戦略と言っていいでしょう。
そして、もう一つ見逃せないのが、BIM設計の世界にもAIが入り始めていることです。これからは、AIがソフトの種類や用途などの条件に合った製品データを探し出し、BIMモデルに組み込む場面も増えてきそうです。
そうなれば、標準化されたIFCデータを公開しているメーカーほど、AIにも見つけてもらいやすくなります。
荏原製作所の今回の動きは、設備BIMの連携を少しラクにするだけではありません。BIM時代、さらにはAI時代の“選ばれ方”を先回りした一歩としても注目したいところです。





















