相模ダムで遠隔ドローン飛行が劇的拡大! 点群作成も1時間に短縮
2026年6月25日

管理人のイエイリです。

大林組(本社:東京都港区)が施工中の相模ダムリニューアル工事では、点検すべき範囲が施工ヤード内だけにとどまりません。上流側の湖面、下流側の河川、橋梁、道路横断部、周辺の法面など、現場の上下流に広がるエリアまで確認する必要があります。

そこでドローンの出番となるわけですが、従来は飛行範囲に制約がありました。せっかくの省人化ツールなのに、現場の上下流まで飛ばそうとすると、飛行前の段取りや安全確認に人手がかかるという、ちょっと悩ましい面もあったのです。

そこで同社は、Liberaware(本社:千葉市)、KDDIスマートドローン(本社:東京都港区)とともに、この“ドローン点検のジレンマ”を克服する取り組みを行いました。

リニューアル工事が行われている相模ダム(左)と遠隔操作ドローンが離着陸するドローンポート(右)(以下の写真、資料:Liberaware)

現場の上下流を遠隔ドローンで飛行させる際に、

ナ、ナ、ナ、ナント、

 

ドローン搭載のカメラ映像で

 

人がいないことを確認しながら飛行する方法を採用したのです。(Liberawareのプレスリリースはこちら

従来のドローン飛行範囲は現場内(青枠部分)に限られていたが、「レベル3.5」の制度を活用したことで上流の相模湖や下流の河川まで大幅に拡大した

「レベル3.5」の制度で飛行した場所を空撮したもの

これは、無人地帯におけるドローンの目視外飛行「レベル3」を緩和した、「レベル3.5」の制度を活用したものです。

ダム湖周辺の道路や橋は、通行量が少ないとはいえ、ドローンの下に人がいる可能性はゼロではありません。そこで、河川やダムをまたぐ橋など、第三者が立ち入る可能性のある場所を通過する前に、ドローンをいったん停止させます。

そして、搭載カメラの映像で歩行者などの有無を確認したうえで、飛行を継続する運用としました。

その結果、遠隔ドローンが飛行できる範囲は、10倍以上に劇的に拡大しました。従来の「現場内飛行範囲」はダム本体近くの一部でしたが、拡大後は上流側の相模湖、さらに下流側の河川方向まで、ぐんと広がっています。

つまり、これまで地上側で人が見張っていた役割を、ドローン自身の“目”である機体カメラと、遠隔操作拠点でのモニター確認に置き換えたわけです。

ドローンを飛ばすために人を地上に配置するという“本末転倒”を減らし、遠隔・自動飛行のメリットを引き出す工夫と言えそうです。

飛行範囲が相模湖や下流河川まで広がれば、施工状況だけでなく、湖面の流木や漂流物、河川敷や橋梁付近の人の有無など、ダム周辺の広域な状況確認も効率化できそうですね。

今回使われたのは、KDDIスマートドローンの自動充電ポート付きドローンです。現場に設置したポートを拠点に、あらかじめ作成した飛行ルートに沿って、巡視・点検や写真撮影を行います。

KDDIスマートドローンは、自動充電ポート付きドローンの設置、飛行ルートの作成、レベル3.5飛行を含む運用を担いました。

ポートから離れた現場外でも安定した自動飛行を行うため、通信手段は、自動充電ポート付きドローンと機体間のWi-Fi通信(2.4GHz)を基本としました。さらに、上空の携帯電話回線(4G
LTE)もバックアップとして活用しました。

そして、今回の取り組みでもう一つ見逃せない成果が、空撮写真から点群データを作成する時間を、

 

5時間から1時間に大幅短縮

 

したことです。

自動生成された現場全体の点群データ

これは、Liberawareの空間iPaaS基盤「LAPIS」と、KDDIスマートドローンの自動充電ポート付きドローンを連携させることで実現しました。

ドローンで撮影した画像データを「LAPIS」に自動連携し、さらに「LAPIS 3D CORE」によって点群データを自動生成する仕組みを構築したのです。

自動生成した点群データは、大林組の設計BIM/CIMと組み合わせ、現場の進捗管理や安全管理に活用されています。

点群データ作成時間を1時間に短縮し、スムーズになった点群活用のイメージ

つまり、ドローンは単なる空撮機ではなく、現場を3Dデータで自動記録する“空飛ぶ施工管理センサー”へと進化したわけです。

今後、LiberawareとKDDIスマートドローンは、夜間や悪天候下での安定運用、取得データの多様な活用、さらなる自動化技術の実装を進めるとのことです。大林組も、品質管理や安全管理への応用、他の土木工事への展開を進めていきます。

「レベル3.5」の制度を活用した今回の相模ダムでのチャレンジは、ドローンを「飛ばす」技術から、現場を自動で見守り、3Dで記録する施工管理インフラへ育てる一

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