管理人のイエイリです。
大林組(本社:東京都港区)が施工中の相模ダムリニューアル工事では、点検すべき範囲が施工ヤード内だけにとどまりません。上流側の湖面、下流側の河川、橋梁、道路横断部、周辺の法面など、現場の上下流に広がるエリアまで確認する必要があります。
そこでドローンの出番となるわけですが、従来は飛行範囲に制約がありました。せっかくの省人化ツールなのに、現場の上下流まで飛ばそうとすると、飛行前の段取りや安全確認に人手がかかるという、ちょっと悩ましい面もあったのです。
そこで同社は、Liberaware(本社:千葉市)、KDDIスマートドローン(本社:東京都港区)とともに、この“ドローン点検のジレンマ”を克服する取り組みを行いました。
現場の上下流を遠隔ドローンで飛行させる際に、
ナ、ナ、ナ、ナント、
ドローン搭載のカメラ映像で
人がいないことを確認しながら飛行する方法を採用したのです。(Liberawareのプレスリリースはこちら)
これは、無人地帯におけるドローンの目視外飛行「レベル3」を緩和した、「レベル3.5」の制度を活用したものです。
ダム湖周辺の道路や橋は、通行量が少ないとはいえ、ドローンの下に人がいる可能性はゼロではありません。そこで、河川やダムをまたぐ橋など、第三者が立ち入る可能性のある場所を通過する前に、ドローンをいったん停止させます。
そして、搭載カメラの映像で歩行者などの有無を確認したうえで、飛行を継続する運用としました。
その結果、遠隔ドローンが飛行できる範囲は、10倍以上に劇的に拡大しました。従来の「現場内飛行範囲」はダム本体近くの一部でしたが、拡大後は上流側の相模湖、さらに下流側の河川方向まで、ぐんと広がっています。
つまり、これまで地上側で人が見張っていた役割を、ドローン自身の“目”である機体カメラと、遠隔操作拠点でのモニター確認に置き換えたわけです。
ドローンを飛ばすために人を地上に配置するという“本末転倒”を減らし、遠隔・自動飛行のメリットを引き出す工夫と言えそうです。
飛行範囲が相模湖や下流河川まで広がれば、施工状況だけでなく、湖面の流木や漂流物、河川敷や橋梁付近の人の有無など、ダム周辺の広域な状況確認も効率化できそうですね。
今回使われたのは、KDDIスマートドローンの自動充電ポート付きドローンです。現場に設置したポートを拠点に、あらかじめ作成した飛行ルートに沿って、巡視・点検や写真撮影を行います。
KDDIスマートドローンは、自動充電ポート付きドローンの設置、飛行ルートの作成、レベル3.5飛行を含む運用を担いました。
ポートから離れた現場外でも安定した自動飛行を行うため、通信手段は、自動充電ポート付きドローンと機体間のWi-Fi通信(2.4GHz)を基本としました。さらに、上空の携帯電話回線(4G
LTE)もバックアップとして活用しました。
そして、今回の取り組みでもう一つ見逃せない成果が、空撮写真から点群データを作成する時間を、
5時間から1時間に大幅短縮
したことです。
これは、Liberawareの空間iPaaS基盤「LAPIS」と、KDDIスマートドローンの自動充電ポート付きドローンを連携させることで実現しました。
ドローンで撮影した画像データを「LAPIS」に自動連携し、さらに「LAPIS 3D CORE」によって点群データを自動生成する仕組みを構築したのです。
自動生成した点群データは、大林組の設計BIM/CIMと組み合わせ、現場の進捗管理や安全管理に活用されています。
つまり、ドローンは単なる空撮機ではなく、現場を3Dデータで自動記録する“空飛ぶ施工管理センサー”へと進化したわけです。
今後、LiberawareとKDDIスマートドローンは、夜間や悪天候下での安定運用、取得データの多様な活用、さらなる自動化技術の実装を進めるとのことです。大林組も、品質管理や安全管理への応用、他の土木工事への展開を進めていきます。
「レベル3.5」の制度を活用した今回の相模ダムでのチャレンジは、ドローンを「飛ばす」技術から、現場を自動で見守り、3Dで記録する施工管理インフラへ育てる一






















