管理人のイエイリです。
コンクリート構造物を造る現場では、型枠の製作や組み立て、解体に多くの手間がかかります。小さな集水桝や階段、擁壁などでも、現場条件に合わせた段取りが必要で、熟練技能者の確保や工期短縮に頭を悩ませている現場も多いのではないでしょうか。
特に災害復旧やインフラ補修のように、早く、確実に構造物を用意したい現場では、「もう少し省人化できないか」「型枠なしで造れないか」というニーズが高まっています。
こうした背景の中で、3Dプリンターによる施工が、じわじわと増えてきました。
国産3DプリンターメーカーのPolyuse(本社:東京都港区)はこのほど、自社の建設用3Dプリンター技術による施工件数が、
ナ、ナ、ナ、ナント、
累計300件を突破
したことを発表したのです。(Polyuseのプレスリリースはこちら)
同社の建設用3Dプリンター技術は、2022年1月に国土交通省管轄工事で活用されたのを皮切りに、重力式擁壁や笠コンクリートなど、公共事業を中心にさまざまな施工で使われてきました。
この技術は、構造物の3次元図面データに基づき、専用モルタル材料を積層造形して、コンクリート構造物や型枠を製造するものです。従来なら型枠を組んでコンクリートを打設していた部分を、データ通りに材料を積み重ねることで造形します。
つまり、現場打ちやプレキャストに続く「第3の選択肢」として、コンクリート構造物を造る方法が増えてきたわけです。
効果の数字も、なかなか実践的です。
例えば、老朽化した防波堤を改修する「波返し」では、工期短縮78%、省人化72%を実現した例が示されています。狭小施工にも向くとのことで、足場や作業スペースに悩む現場にはありがたい話です。
また、「重力式擁壁」では、工期短縮73%、省人化53%という効果が示されています。擁壁のように現場条件に左右されやすい構造物で、これだけの短縮効果が出るとすれば、工程計画にも大きなインパクトがありそうです。
一方、擁壁上部などで使われる「笠コンクリート」は、工期短縮15%、省人化17%の効果となっています。数字だけ見るとやや地味ですが、高所作業を抑え、曲線形状にも対応しながら、安全な上部施工につなげられる点は見逃せません。
さらに「護岸ブロック」では、ねじれや曲面に対応する高精度施工により、工期短縮43%、省人化50%という効果が示されています。複雑な形状をデータ通りに造形できるのは、3Dプリンターならではの強みと言えそうです。
Polyuseは、2025年9月から販売を始めた量産機「Polyuse One」の設置台数が40台に達したことも発表しました。
さらに2026年度内には、
全国で100台を設置
する計画も進めています。
3Dプリンター施工というと、「面白そうだが、自分の現場には遠い」と思われがちでした。しかし、機械の設置台数が増えてくれば、必要なときに、より近い場所で活用できる可能性も高まります。
Polyuseでは、初回相談から3Dデータの作成、構造物の造形、品質確認、施工までを一貫してサポートしています。図面やスケッチ、現場写真だけでも相談でき、最短1週間で納品した実績もあるとのことです。
「工期が足りなくて困った。しかし3Dプリンターは持っていない」という場合にも、ダメ元で駆け込んでみる価値はありそうです。
これまで建設用3Dプリンターは、未来の施工技術というイメージが強かったかもしれません。しかし、施工件数300件、量産機40台、そして全国100台体制という数字を見ると、いよいよ「珍しい新技術」から「選べる施工法」へと進み始めた感じがします。
人手不足、短工期、複雑形状への対応に悩む建設現場にとって、建設用3Dプリンターは心強い助っ人になりそうですね。
























