線路をドローンが飛んだ! JR九州とセンシンロボティクスが運転士目線で自律点検
2026年6月22日

管理人のイエイリです。

鉄道の線路点検は、土木インフラの維持管理の中でも、特に気を使う仕事です。線路内に人が入るには安全確保が欠かせませんし、点検範囲は長く、場所によっては草木が茂っていたり、トンネル内でGPSなどの衛星測位が使えなかったりします。

さらに、災害後の点検となると、倒木や土砂流入、落石などで、そもそも人や点検車両が奥まで進めるかどうかも分かりません。

小型トロッコや軌道走行ロボットを使う方法もありますが、レール上に障害物があったり、ポイントの向きが違ったりすると、進路に制約が出ることもあります。

そこで、九州旅客鉄道(本社:福岡市。以下、JR九州)とセンシンロボティクス(本社:東京都品川区)は、鉄道施設の維持管理を、もっと安全に、もっとスマートに行うための技術を開発しました。

線路に沿って、

ナ、ナ、ナ、ナント、

ドローンを自律飛行

させながら、線路内や周囲を点検する方法なのです。(JR九州のプレスリリースはこちら

指宿枕崎線で行われたドローン自律飛行の現場検証(以下の写真:JR九州)

指宿枕崎線で行われたドローン自律飛行の現場検証(以下の写真:JR九州)

つまり、線路の上を走るのではなく、ドローンが線路内を飛びながら点検する方法です。線路内には、開けた区間、植生が繁茂した区間、踏切部、トンネルなどが連続して現れます。こうした環境の違いに対応しながら、自律飛行で現地状況を把握しようというチャレンジなのです。

この技術では、3種類の自律飛行モードを使い分けます。

1つ目は「GNSSモード」です。GPSなどの衛星測位が使える区間で、高度25m、速度6m/sで飛行します。事前に飛行経路を設定し、高速・高高度で広域を調査するモードです。設定地点では自動上昇・降下も行います。LiDARとGNSS測位を使うのが特徴です。

GNSSモードによる飛行で高所から見下ろした線路

2つ目は「レール追従モード」です。こちらは高度2m、速度2m/sで、低く、ゆっくりとレールに沿って飛行します。飛行経路の設定が不要で、非GNSS環境でも飛行できるとされています。LiDARとAI画像認識を使い、運転士目線に近い高さから線路内を点検できるのがポイントです。

メールに沿って飛ぶ「レール追従モード」のイメージ

メールに沿って飛ぶ「レール追従モード」のイメージ

3つ目は「トンネルモード」です。高度2m、速度1m/sで、トンネル内を低速・低高度で飛びます。トンネル内はGNSSが使いにくいため、LiDARを使い、構造物を認識しながら安定飛行します。飛行経路の設定が不要で、構造物認識による自動モード切替にも対応します。

「トンネルモード」による飛行。LiDARを使って構造物を認識しながら飛ぶ

「トンネルモード」による飛行。LiDARを使って構造物を認識しながら飛ぶ

また、安全機能として、障害物回避自律降下と、障害物回避自律航行も盛り込まれています。線路内には、架線柱や標識、踏切設備、トンネル壁面、草木など、ドローンにとっての障害物がいろいろあります。こうしたものを自律的に避けながら飛行できるのです。

そして今回の大きな成果は、

一気通貫飛行を確認

したことです。

開けた区間ではGNSSモードで高く速く飛び、線路に沿って確認したい場所ではレール追従モードで低く飛び、トンネル内ではトンネルモードに切り替える。

こうした複数の自律飛行モードを状況に応じて自動的に切り替えることで、1台のドローンが線路内を連続的に飛行できる可能性を確認しました。

線路の点検と言えば、これまでは検査車両などを使うのが一般的でした。しかしドローンなら、ポイントを切り替えなくても分岐部を越えて飛べますし、複数の線路を上空から見渡せる点も強みです。

また、災害後や異常気象時には、人が線路内に入る前の“先遣隊”として、現場の全体像をつかむ役割も期待できます。

鉄道だけでなく、道路や河川などの土木インフラには、人が入りにくく、GNSSも使いにくい場所がたくさんあります。今回の取り組みは、そうした現場をドローンやロボットで安全に点検していく時代への、頼もしい一歩と言えそうですね。

今後、JR九州とセンシンロボティクスは、実用化に向けた技術開発や運用検証を進め、制度面、運用面、安全性についても検討していくとのことです。

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