管理人のイエイリです。
鉄道の線路点検は、土木インフラの維持管理の中でも、特に気を使う仕事です。線路内に人が入るには安全確保が欠かせませんし、点検範囲は長く、場所によっては草木が茂っていたり、トンネル内でGPSなどの衛星測位が使えなかったりします。
さらに、災害後の点検となると、倒木や土砂流入、落石などで、そもそも人や点検車両が奥まで進めるかどうかも分かりません。
小型トロッコや軌道走行ロボットを使う方法もありますが、レール上に障害物があったり、ポイントの向きが違ったりすると、進路に制約が出ることもあります。
そこで、九州旅客鉄道(本社:福岡市。以下、JR九州)とセンシンロボティクス(本社:東京都品川区)は、鉄道施設の維持管理を、もっと安全に、もっとスマートに行うための技術を開発しました。
線路に沿って、
ナ、ナ、ナ、ナント、
ドローンを自律飛行
させながら、線路内や周囲を点検する方法なのです。(JR九州のプレスリリースはこちら)
つまり、線路の上を走るのではなく、ドローンが線路内を飛びながら点検する方法です。線路内には、開けた区間、植生が繁茂した区間、踏切部、トンネルなどが連続して現れます。こうした環境の違いに対応しながら、自律飛行で現地状況を把握しようというチャレンジなのです。
この技術では、3種類の自律飛行モードを使い分けます。
1つ目は「GNSSモード」です。GPSなどの衛星測位が使える区間で、高度25m、速度6m/sで飛行します。事前に飛行経路を設定し、高速・高高度で広域を調査するモードです。設定地点では自動上昇・降下も行います。LiDARとGNSS測位を使うのが特徴です。
2つ目は「レール追従モード」です。こちらは高度2m、速度2m/sで、低く、ゆっくりとレールに沿って飛行します。飛行経路の設定が不要で、非GNSS環境でも飛行できるとされています。LiDARとAI画像認識を使い、運転士目線に近い高さから線路内を点検できるのがポイントです。
3つ目は「トンネルモード」です。高度2m、速度1m/sで、トンネル内を低速・低高度で飛びます。トンネル内はGNSSが使いにくいため、LiDARを使い、構造物を認識しながら安定飛行します。飛行経路の設定が不要で、構造物認識による自動モード切替にも対応します。
また、安全機能として、障害物回避自律降下と、障害物回避自律航行も盛り込まれています。線路内には、架線柱や標識、踏切設備、トンネル壁面、草木など、ドローンにとっての障害物がいろいろあります。こうしたものを自律的に避けながら飛行できるのです。
そして今回の大きな成果は、
一気通貫飛行を確認
したことです。
開けた区間ではGNSSモードで高く速く飛び、線路に沿って確認したい場所ではレール追従モードで低く飛び、トンネル内ではトンネルモードに切り替える。
こうした複数の自律飛行モードを状況に応じて自動的に切り替えることで、1台のドローンが線路内を連続的に飛行できる可能性を確認しました。
線路の点検と言えば、これまでは検査車両などを使うのが一般的でした。しかしドローンなら、ポイントを切り替えなくても分岐部を越えて飛べますし、複数の線路を上空から見渡せる点も強みです。
また、災害後や異常気象時には、人が線路内に入る前の“先遣隊”として、現場の全体像をつかむ役割も期待できます。
鉄道だけでなく、道路や河川などの土木インフラには、人が入りにくく、GNSSも使いにくい場所がたくさんあります。今回の取り組みは、そうした現場をドローンやロボットで安全に点検していく時代への、頼もしい一歩と言えそうですね。
今後、JR九州とセンシンロボティクスは、実用化に向けた技術開発や運用検証を進め、制度面、運用面、安全性についても検討していくとのことです。





















