管理人のイエイリです。
建設業界では今、職人不足や資材高騰、工期の長期化が大きな課題になっています。住宅はもちろん、駅舎や公共施設、インフラ関連施設なども老朽化が進み、各地で建て替えや更新のニーズが高まっています。
そこで、建物を「早く、安く、一定品質で造る」手段として注目されているのが、建設用3Dプリンターの活用です。
こうした中、セレンディクス(本社:兵庫県西宮市)は、3Dプリンター建築事業を、
ナ、ナ、ナ、ナント、
量産フェーズへ移行
したことを発表しました。(セレンディクスのプレスリリースはこちら)
同社は2022年3月、日本初の3Dプリンター住宅「serendix10」を完成させた3Dプリンター住宅メーカーです。
その後、2人世帯向け住宅「serendix50」などを展開し、2024年9月には石川県珠洲市で、復興住宅モデルとして「serendix50」の販売第1号棟を建築しました。
同社は2026年7月末までに、住宅およびインフラ関連施設で受注数38件、竣工棟数十数件超を見込んでいます。さらに、1~2年で累計100棟超、5年で年間1000棟超の建築を目指すというのです。
ここに、建設3Dプリンターの新しい段階が見えてきます。
セレンディクスの3Dプリンター建築は、あらかじめ設計した形状データに基づき、建設用3Dプリンターで材料を積み重ね、壁や建物の一部を造形していくものです。
住宅だけであれば、「住宅ベンチャーの話」と受け止められがちです。しかし、セレンディクスは2025年3月、資本業務提携先であるJR西日本グループと共同で、和歌山県有田市のJR紀勢本線「初島駅」に、世界初となる3Dプリンター駅舎を建設しました。(2025年3月13日の当ブログ参照)
以前の駅舎には、駅員が常駐して切符の販売や荷物の取り扱いなどを行うためのオフィススペースが必要でした。しかし最近は、チケットの電子化や駅の無人化が進み、こうしたスペースが不要になりつつあります。
そこで、従来の大きな駅舎を、初島駅のようなコンパクトな3Dプリント駅舎に建て替えれば、建設コストの削減や土地の有効活用につながる可能性があります。鉄道会社にとっても、老朽駅舎の更新に新たな選択肢が生まれそうです。
つまり、セレンディクスの3Dプリンター建築は、個人向けの未来住宅にとどまらず、
地域の小規模インフラ
を短工期、省人化で整備するための工法へと進化しつつあるのです。
同社は量産フェーズへの移行に合わせ、経営体制も強化しました。
2023年に学生インターンとして参画し、その後、新卒入社した佐藤蒼士(さとう・そうし)氏を、2026年から執行役員COOに起用しました。佐藤氏は既に、資金調達や海外市場開拓、法人案件の獲得などで成果を上げているとのことです。
また、ビジネスモデル構築やマーケティング分野で豊富な実績を持つ覚田義明(かくだ・よしあき)氏を、執行役員Chief Marketing Officer(CMO)に迎えました。
人手不足や老朽インフラの更新という建設業界の課題に対し、建設3Dプリンターは、まだ万能薬ではありません。
しかし、型枠づくりや現場作業の一部を、デジタルデータとロボット施工に置き換えられれば、建設現場の選択肢はぐっと広がります。
“珍しい未来技術”だった3Dプリンター建築が、駅舎や住宅、インフラ関連施設を造る“普段使いの工法”へ――。
そんな日が、少しずつ近づいてきたようです。























