管理人のイエイリです。
設計図面の仕事で、意外に時間を取られるのが、「どれが最新版か」「どこが直ったのか」「照査の記録をどう残すか」といった、図面そのものよりも周辺の管理作業です。
修正のたびにPDFやDWG、DocuWorksのファイルが増え、「最終版」「最終版_修正済み」「最終版_確認済み」などが並ぶと、もはや図面管理というより“宝探し”状態になってしまいます。
さらに、新旧図面を並べて、寸法や注記、線、ハッチングの違いを目で追う作業は、まさに設計者泣かせの間違い探しです。しかも、チェック後には照査一覧表を作成し、修正の根拠も残しておく必要があります。
そんな図面照査まわりの面倒ごとにお悩みの方に、朗報です。
こうした作業を、
ナ、ナ、ナ、ナント、
AIに丸投げ
できるクラウドサービスが登場したのです。(コアコンセプト・テクノロジーのプレスリリースはこちら)
このサービスは、八千代エンジニヤリング(本社:東京都台東区)が開発した設計者専用AIアシスタント「TERNO」です。Boxと連携して使うクラウドサービスで、図面の版管理、AIによる修正差分の自動抽出、類似図面の検索、照査履歴の自動出力、大容量3Dデータの閲覧機能などを備えています。
開発には、コアコンセプト・テクノロジー(本社:東京都豊島区)が協力しました。同社は保守や販売代理店も担います。TERNOは2026年7月1日に一般販売が始まりました。
まず便利そうなのが、版管理ダッシュボードです。図面全体の進捗や最新版を画面上で確認できるため、フォルダー名やExcel管理表、メールの履歴を突き合わせる手間を減らせます。
中核機能は、AI差分抽出です。修正前後の図面を比較し、どこが変わったのかをAIが見つけます。対象はDWG、PDF、DocuWorksの図面データに加え、JPEG、PNG、TIFF、WebP、BMPなどの画像データにも対応します。
これまで人間が目視で行っていた“図面間違い探し”をAIが下支えしてくれる効果は、かなり大きそうです。
さらに、AI図面サーチ機能では、過去の図面資産から類似図面を探せます。「前にも似た構造の図面があったはず」というベテランの記憶頼みの検索を、若手でも再現しやすくなるわけです。
そして実務的に効きそうなのが、照査・エビデンス作成機能です。図面上で指摘や確認、修正対応の履歴を残していくと、レビュー履歴から修正の根拠となった指摘と修正結果を自動的に整理できます。
これにより、後からExcelへ転記する“照査台帳づくり”の負担を減らせるのです。
このほか、オンライン3Dビューワーも備えています。点群データのLAS形式、E57形式、3DモデルやソリッドのFBX形式に対応し、専用ソフトがない人でもブラウザで3Dデータを確認しやすくなります。
BIM/CIM時代には、こうした“見るためのハードル”を下げる機能もありがたいところですね。
八千代エンジニヤリングによると、20枚の図面を対象にした作業時間の比較で、従来より
照査時間を30%削減
できたとのことです。
特に時間がかかっていた照査一覧表の作成を自動化したことが、大きな効果につながったようです。
もちろん、TERNOは設計者の仕事をAIにすべて丸投げするシステムではありません。最終的な判断や確認は、あくまでも人間の技術者が行う必要があります。
それでも、「最新版はどれか」「どこが変わったのか」「照査記録をどう残すか」という、地味ながら手間ひまのかかる作業を、クラウドとAIで支える実務派の設計DXツールと言えそうです。
設計者がAIを“子分”として使い、面倒な雑用を任せる。そして自分自身は、判断や検討といった本来の仕事に集中する。
そんな人とAIのコラボが、設計の現場にもじわじわ広がってきそうです。
























