管理人のイエイリです。
BIM/CIMモデルは、設計や施工段階ではかなり使われるようになってきました。しかし、竣工後の維持管理となると、話は少し違います。
施設管理者がBIM/CIMソフトの操作に慣れていなかったり、モデルのどこに何の情報が入っているのか分からなかったりして、せっかくの3Dモデルが“見るだけ”で終わってしまうこともあります。
さらに維持管理の現場では、点検記録、修繕履歴、写真、報告書、業者名、前任者からの申し送りなどが、紙ファイルや共有フォルダ、Excel、メール、そしてベテラン管理者の頭の中に分散しがちです。
結局、「あの時の雨漏り資料はどこだったか」「この床を直した業者はどこだったか」といった情報を探すのに、ベテラン管理者の記憶に頼ることになってしまいます。
そんな維持管理分野のBIM活用を、一歩前進させそうなシステムを、アーリーリフレクション(本社:東京都千代田区)が開発しました。
BIM/CIMモデルにAIアシスタントを連携させることで、
ナ、ナ、ナ、ナント、
BIMに言葉で聞く
ことができるようになったのです。(アーリーリフレクションのプレスリリースはこちら)
例えば、AIアシスタントに「外壁を非表示にして」「柱だけ表示して」と指示すると、BIM/CIMモデル内の対象要素を選択し、表示・非表示などの操作を行えます。
また、「2階の窓の数」や「窓の総面積」といった質問にも、モデル情報をもとに答えられるようになりました。
この新しいBIM活用法を実現したのが、BIM/CIM施設管理クラウド「BIMSTOK(ビムストック)」のAIアシスタント機能です。
BIMSTOKは、維持管理情報をBIM/CIMにひも付けて可視化するクラウドサービスです。ダム、道路、橋梁、河川施設などのインフラ分野や、庁舎、公共施設、工場、オフィスビルなどの施設管理分野で、維持管理業務に特化したBIM/CIM活用基盤として展開されています。
今回の刷新で注目したいのは、施設管理者やインフラ管理者が、専門的なBIM/CIMの知識や複雑な操作を覚えなくても、自然言語でモデル操作や検索、数量集計、分析ができるようになった点です。
その裏側では、複数のAIエージェントによる分散処理アーキテクチャが採用されています。利用者からの質問や操作依頼を、まずルーターAIが解析し、数量集計、情報検索、モデル操作など、内容に応じて最適なAIエージェントへ振り分ける仕組みです。
いわば、受付係AIが「これは数量集計係へ」「これはモデル操作係へ」と仕事を振り分けるようなものです。その結果、従来比3~5倍の応答速度を実現したとのことです。
維持管理の現場から見ると、「窓の数」や「柱だけ表示」は分かりやすいデモ例です。実際に知りたいのはむしろ、「過去に漏水した場所はどこか」「この床を最後に直した業者はどこか」「この空調機の故障履歴はどうか」といった情報でしょう。
ここで気になるのは、「こうした履歴情報を全部、リアルタイムにBIM/CIMモデルの属性情報として手入力しなければならないのか」という点です。そんな“入力地獄”を想像すると、あまり食指が動かない人もいるでしょう。
しかし、BIMSTOKが目指す方向は、どうやらそこではなさそうです。今後は、BIM/CIM内の属性情報だけでなく、点検記録や異常・不具合情報、関連資料、画像などの情報もAIが横断的に理解し、施設ごとの情報を継続的に学習・蓄積していく方向を目指しています。
つまり、BIM/CIMモデルの属性情報にすべての履歴情報を背負い込ませる“重たい台帳”にするのではなく、建物や設備の資料のありかを示す
3Dの目次
のように使うわけです。
そこにAIが加われば、紙の報告書、PDF、写真、台帳、過去資料などに散らばった“建物の記憶”をどんどん読み込ませていけば、必要な時に呼び出せるようになります。
【イエイリの建設DX先読み】
BIMSTOKは以前、2021年3月11日にも建設ITブログで紹介したことがあります。当時はまだ生成AIも普及しておらず、BIM/CIMを維持管理で使いやすくするクラウドという印象でした。
それが今回、AIアシスタントによって、維持管理BIMを“見るシステム”から“聞けるシステム”へ進化させようとしています。
ベテラン管理者の頭の中にあった「あそこは昔、水漏れした」「前回はこの業者が直した」といった建物の記憶を、BIMとAIで引き継げる資産に変える。
BIMSTOKの挑戦は、維持管理DXの次の姿を見せてくれそうです。






















