管理人のイエイリです。
2DのCAD図面から、施工や製作に使う3Dモデルを作る仕事は、なかなか手間がかかります。
特に階段のような複雑な形状になると、平面図だけを見ていても作れません。軸組図や断面図、詳細図などを見比べながら、部材の位置や高さ、納まりを一つずつ確認し、BIMソフトなどに入力していく必要があります。
そこで、中込工業所(本社:東京都江戸川区)は、この作業の省力化に挑戦しました。
鉄骨3Dモデリングソフト「Tekla Structures」と生成AI「Claude Code」を連携させて、
ナ、ナ、ナ、ナント、
2D図面から階段を3D化
したのです。(中込工業所のX投稿はこちら)
この取り組みは、中込工業所の公式Xアカウントで紹介され、2日足らずで1万件以上のアクセスを集めました。
使った元データは、平面図や立面図、断面図、詳細図、部材リストなどを含む、A3判4枚分のDXF図面です。
図面を読み解くときの基本方針は、「線が正、文字は照合用」です。
例えば階段の蹴上げは、図面上の線や交点の座標を実測して寸法を求め、その結果を図面に書かれた寸法文字と照合しました。逆に、2倍尺で描かれた詳細図では、線をそのまま測ると実寸の2倍になるため、寸法文字の方を正として扱いました。
ただし、Claude Codeが図面を画像として眺め、寸法線の数字をOCRのように読み取ったわけではありません。
DXF内にあるLINEやCIRCLE、ARC、TEXTなどのデータを解析し、図形そのものの座標から寸法や位置関係を割り出したのです。
つまり、AIが図面の情報をそのまま信じるのではなく、図形を測り、文字と突き合わせて確かめたわけです。
DXF解析には、PythonでDXFファイルを作成、編集、解析できるオープンソースライブラリー「ezdxf」を使いました。
一方、Tekla Structuresの操作には「PowerShell」と「Tekla Open API」を使用しました。PowerShellからTekla Open APIのDLLを直接読み込み、起動中のTekla Structuresに接続して、参照モデルの配置や部材作成を行いました。
役割分担を一言でまとめると、
「DXF解析=Python+ezdxf」
「Tekla操作=PowerShell+Tekla Open API」
「全体の指揮=Claude Code」
という構成です。
階段本体では、DXF解析から参照モデルの配置、24部材の作成、数値検証までを約2時間で行いました。
しかし、階段のような複雑なモデルは、最初からうまくできたわけではありません。
モデリングは段階的に進め、人間が「踊り場が足りない」「D断面と形が合っていない」などと指摘すると、Claude Codeが該当部分をDXFから再実測し、モデルを修正していきました。
その過程では、
熟練技をAIに伝授
する場面もありました。
中込工業所の技術者は、手作業で3Dモデルを作るとき、平面図と軸組図をTekla Structures上に参照モデルとして配置し、その線に合わせてモデリングしています。
さらに、できた3Dモデルを平面図と軸組図の両方から照合し、位置や高さ、形状が合っているかをチェックします。
この「作り方」と「検査方法」をClaude Codeにも教えたのです。
つまり、AIに「階段を作れ」と丸投げしたのではありません。熟練者が普段行っている仕事の進め方そのものを教えたことで、複雑な階段でも精度を高めることができました。
完全自動化ではなく、人がレビューし、AIが実測とモデリングを担う「人機一体」の3Dモデリングと言えそうです。
何でも完全自動化しようとすれば、さまざまな図面や例外処理に対応するため、大がかりなシステム開発が必要になります。
その点、人間の判断力とAIの解析力、実行力を組み合わせれば、完全自動化にこだわらなくても、多種多様な構造物を効率よく3Dモデル化する道が開けそうです。
【イエイリの建設DX先読み】
今回の手法は、将来の3DモデリングBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)にも使えそうです。AIが大量の図面解析とモデリングを担当し、熟練者は完成モデルのレビューと修正指示に集中するのです。
さらに、熟練者の作業手順や検査方法をClaude Codeの「スキル」として蓄積すれば、案件をこなすほど仕事が速くなる可能性もあります。
「AIに仕事を奪われる」のではなく、「AIに仕事のやり方を教えて部下にする」。そんな人機一体型の働き方が、建設業でも現実味を帯びてきました。






















