管理人のイエイリです。
建設現場で工程表を作るとき、「この作業は何日ぐらいかかるか」「前の作業が遅れたら、どこまで影響するか」といった判断は、今も経験豊富な技術者の勘どころに頼る場面が少なくありません。
Excelで横棒式の工程表を作れば、予定は見えます。しかし、作業同士の前後関係や、どの作業が全体工期を左右しているのかまでは、なかなか一目では分かりません。
最近は、AIに図面や設計図書を読ませて工程表を自動作成するサービスも登場し、工程表アプリをめぐる競争も激しくなってきました。
そんな中、建ログ(本社:兵庫県明石市)は、自社の建設業向けネットワーク工程表アプリ「Con-Sche(コンスケ)」について、
ナ、ナ、ナ、ナント、
全機能を無償公開
するという、思い切った戦略を発表したのです。(建ログのプレスリリースはこちら)
これまで有料プランで提供していた機能を、氏名、会社名、会社ドメインのメールアドレスを登録するだけで使えるようにしました。
これまでExcelやCADで工程表を書いていたユーザーにとっては、工程表ソフトを“まず試す”には、かなりありがたい話ですね。
Con-Sche(コンスケ)は、アローダイヤグラム形式(ADM)のネットワーク工程表を、ブラウザ上で作成・編集できるWebアプリです。
作業を矢線でつなぎ、作業同士の依存関係を持たせることで、クリティカルパスを自動計算します。遅れると全体工期に影響する作業は赤色で強調され、フロート日数や最早開始日、最遅開始日も自動算出されます。
工程表作成の手順。マウスの左/右クリック、Ctrlキー、Spaceキーだけで、すべての操作が行える
| 無償版でできること | 内容 |
|---|---|
| ネットワーク工程表(ADM)の作成・編集 | 左/右クリック、Ctrlキー、Spaceキーの3操作で作成・編集できる |
| クリティカルパスの自動計算 | クリティカルパスを赤色で強調表示。フロート日数、最早/最遅開始日も自動算出する |
| 歩掛マスタ×数量による工期の自動算出 | 数量を入力するだけで所要日数を計算。手入力モードとの切り替えも可能 |
| カスタム歩掛の登録 | 各社で培った知恵と経験を、数値として蓄積できる |
| 連携API | 初回登録時にAPIコードを発行。CPM計算や工程ファイル変換を外部システムやAIから呼び出せる |
| 印刷/PDF/CSV出力 | 工程表を紙やデータとして共有できる |
| ローカルファイル保存・読み込み | 独自形式の「.csa」ファイルとして保存・読み込みできる |
| タブレット・スマホ対応(PWA) | インストール不要でホーム画面に追加し、アプリ感覚で使える。スマホ・タブレットでは閲覧のみ |
工程表データはブラウザ内やローカルファイルに保存され、サーバーには送信されない設計とのことです。工期や施工手順などの機密情報を扱う建設会社にも配慮されています。
これまで有料だったアプリを、わざわざ無料にした裏には、AIで競争が激化する建設業ソフトベンダーとしての、先を読んだ戦略もうかがえます。
それは、今回の無料公開にあわせて、Con-Scheの
連携APIコードを用意
したことです。
初回登録時にAPIコードが発行され、外部システムやAIエージェントから、クリティカルパス計算や工程ファイル変換の機能を呼び出せます。
さらに、ソースコード管理・共有のWebサービス「GitHub」では、Con-Scheのソースコードも公開されています。ライセンス範囲内であれば、自社製品への組み込みや再配布も可能とされています。
つまり、Con-Scheは、AIが作った工程案を建設実務で使えるネットワーク工程表として仕上げていく、“工程表エンジン”になり得るのです。
【イエイリの建設DX先読み】
今後、図面や仕様書を読むAIはどんどん進化していくでしょう。一方で、工程表を本当に現場で使える形にするには、作業同士の前後関係、歩掛、数量、クリティカルパスといった建設業の深いノウハウが必要です。
その中で、Con-ScheはAIベンダーや建設DXベンダーから頼れるアプリとなり、活用の幅を広げていきそうです。
すると、建ログにとっても、カスタマイズや個別開発、API利用、OEM提供など、さまざまなビジネスチャンスが広がることは想像に難くありません。
AI時代の建設DXは、派手な自動生成機能だけでなく、その裏側で動く専門エンジンも重要になります。
建ログのCon-Sche無料化は、積算、安全管理、施工計画書、鉄筋加工帳、出来形管理、仕様書チェックなど、建設業の深いノウハウを持つソフトベンダーにとっても、参考になりそうです。



















