鹿島が天井施工をロボットで自動化! 作業員は自走式天台で超人化
2026年7月1日

管理人のイエイリです。

オフィスビルの天井工事では、技能者が天井に手を届かせるため、「天台」と呼ばれる作業床を床一面に敷き並べて作業します。大規模な超高層オフィスビルになると、1フロアに200台程度の天台が必要になることもあります。

これだけの天台を搬入し、組み立て、所定の位置に並べ、さらに次のフロアへ移すとなると、施工そのもの以外の段取りにも大変な手間がかかります。

従来の天井ボード取付作業。作業時は天台を床状に敷き並べ(左)、フロア間の移動時には天台をたたんで仮設エレベーターに載せる(右)など、手間ひまがかかっていた(以下の写真:鹿島)

従来の天井ボード取付作業。作業時は天台を床状に敷き並べ(左)、フロア間の移動時には天台をたたんで仮設エレベーターに載せる(右)など、手間ひまがかかっていた(以下の写真:鹿島)

技能者不足や高齢化が進む中、システム天井の施工をどう省人化するかは、現場にとって切実なテーマでした。

そこで鹿島(本社:東京都港区)は、テムザック(本社:福岡県宗像市)とともに、この課題に対する答えを出してきました。

ナ、ナ、ナ、ナント、

天井ボード取付ロボット

を共同開発したのです。(鹿島のプレスリリースはこちら

天井ボード取付ロボットの外観

天井ボード取付ロボットの外観

天井ボードを下地材の上に持ち上げ、取り付けるロボット

天井ボードを下地材の上に持ち上げ、取り付けるロボット

このロボットは、天井ボードを積むストッカー、作業場所に移動して位置調整を行う移動体、ボードを吸引して取り付けるロボットアーム、制御PCで構成されています。移動体は2分割でき、本設エレベーターにも載せられます。

使い方はシンプルです。作業者は専用タブレットで施工範囲を指定し、スタートボタンを押すだけです。

するとロボットが、自身と天井下地との相対位置を計測し、自動で移動・位置調整を行いながら、天井ボードを所定の位置に取り付けます。煩雑な図面読み込みやマップ作成は不要で、特別なスキルや資格もいりません。

センサーによる天井裏の障害物検知機能

センサーによる天井裏の障害物検知機能

制御用パソコンに接続された専用タブレットで作業範囲を指定する

制御用パソコンに接続された専用タブレットで作業範囲を指定する

天井裏には設備ダクトや耐震ブレースなどもありますが、ロボットアーム先端のセンサーが障害物を検知し、複数のボード設置軌道から最適な軌道を自動選択します。

ストッカーには最大40枚の天井ボードを積載でき、1枚当たり約1分の速さで自動施工を繰り返します。その間、技能者はロボットが近寄れない狭隘部のボード施工など、別の作業に回れます。

一方、ロボットでは対応しにくい部分の施工や、天井ボードを載せる天井下地の施工のために、鹿島は移動式天台も開発しました。

従来の天台は人力で動かす道具でしたが、これにリモコン操作できる駆動装置を取り付け、技能者を乗せたまま、安全に任意の位置へ移動できるようにしたものです。

前後・左右、旋回など自由自在に移動できる移動式天台

前後・左右、旋回など自由自在に移動できる移動式天台

移動式天台の駆動装置。タイヤにはメカナムホイールが採用されている

移動式天台の駆動装置。タイヤにはメカナムホイールが採用されている

タイヤには、表面に小さなローラーを並べた「メカナムホイール」を採用しました。各ホイールの回転方向を制御することで、前後左右への平行移動や旋回など、全方向に移動できます。

つまり、作業員が天台から降り、天台を押し、また上るという動作をしなくても、天台上に乗ったまま、自由自在に移動できるわけです。これはまさに、天台上の作業員の移動能力を拡張する“超人化ツール”と言えそうですね。

移動式天台は、1つの駆動装置に対して天台を3台まで連結できます。長物の天井下地を施工する場合には、3台を連結した複数の移動式天台を一列に並べて使います。

高さ調整もできるため、システム天井の施工だけでなく、空調ダクトの施工などにも対応できます。

天井下地材の施工。複数の移動式天台を連結している

天井下地材の施工。複数の移動式天台を連結している

鹿島は、施工中のオフィスビル現場で、天井ボード取付ロボット2台と移動式天台をセットで導入しました。

その結果、在来工法では技能者2人で行っていた天井ボード施工を、

ロボット2台と技能者1人

で行えるなど、省人化の効果を確認しました。

ロボット2台による施工風景

ロボット2台による施工風景

さらに、天井下地などの施工に移動式天台を使うことで、在来工法に比べて天台数を約9割も削減できたとのことです。

大量の天台を設置・移動する作業が減れば、段取り時間の削減だけでなく、安全性向上にもつながります。

今回の取り組みで面白いのは、天井ボード取付ロボットによる「自動化」と、移動式天台による作業員の「超人化」を組み合わせたことです。人を減らすというより、人の働き方を強くする建設DXと言えるでしょう。

鹿島では「鹿島スマート生産」の一環として、「作業の半分はロボットと」を掲げていますが、まさに天井工事にもその流れがやってきたわけですね。

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