管理人のイエイリです。
ドローンは、建設現場やインフラ点検でおなじみの道具になってきました。橋梁、法面、河川、砂防ダム、災害現場など、人が近づきにくい場所を上空から確認するには、とても便利です。
ところが、実際の現場では意外な壁があります。
それは、ケータイ電波の「通信圏外」です。
KDDIによると、auの人口カバー率は99.9%超に達していますが、面積カバー率は約60%にとどまるとのことです。(KDDI、沖縄セルラー電話のニュースリリースより)
つまり、山間部や離島、海上など、建設工事やインフラ点検でドローンを使いたい場所ほど、通信環境がネックになりやすいわけです。
そこでKDDI(本社:東京都港区)とKDDIスマートドローン(本社:東京都千代田区)は、このケータイ電波の壁を乗り越える挑戦を行いました。
ナ、ナ、ナ、ナント、
人工衛星とドローンを直結
し、操縦する実証実験に成功したのです。(KDDIスマートドローンのプレスリリースはこちら)
この実証は2026年5月18日、茨城県高萩市で行われました。上空でモバイル通信が圏外となるエリアにおいて、飛行中のドローンを「au Starlink
Direct」と接続し、機体制御信号と動態情報、つまりテレメトリーの送受信を行いました。
「au Starlink Direct」とは、Starlink Mobileを活用した衛星とスマートフォンを直接つなぐ通信サービスです。これをドローンの飛行制御に使った点が、今回の大きなポイントです。
Starlink Mobileとドローンの直接通信による飛行制御は、2026年7月22日時点で国内初とのことです。
これまで、GNSSによってドローン自身の位置は分かっても、その位置情報や制御信号をやり取りする通信回線がつながらない、という課題がありました。今回は、その“位置は分かるが、つながらない”問題に、衛星直接通信で一歩踏み込んだ形です。
はるか上空を飛ぶ人工衛星とドローンが直接つながることで、ドローンの活動範囲は、ケータイ基地局の電波が届くエリアから、その外側へと大きく広がる可能性が出てきました。
もっとも、今回の実証で確認されたのは、ドローンの機体制御信号とテレメトリーの送受信です。ドローン搭載カメラで撮影した映像や画像のリアルタイム送信まで行ったとは発表されていません。
映像伝送には、制御信号やテレメトリーよりも大きな通信容量と安定性が必要になります。そこでKDDIとKDDIスマートドローンは今後、飛行中に
ケータイと衛星を切り替える
「ハンドオーバー」の検証なども行っていく予定です。
実用化されれば、ケータイ電波が入る場所では5Gや4G LTEを使い、圏外に入ったら「au Starlink Direct」に切り替える、といった運用が考えられます。これにより、山間部の橋梁や法面、災害直後の道路や河川などでも、ドローンをより柔軟に使えるようになりそうです。
これまでのドローンは、「いかに飛ばすか」に注目が集まりがちでした。
しかし、これからは「どこまでつながるか」が、ドローン活用の大きなテーマになってきそうです。
衛星がドローン飛行を自由にする――そんな時代への第一歩と言えそうです。
【イエイリの建設DX先読み】
今後、この技術が進むと、災害現場や山間部のインフラ点検では、現地に人を派遣する前に、遠隔地からドローンを“先遣隊”として飛ばす業務フローが広がりそうです。
ケータイ不感地帯では、まず現地の映像や写真を機体内に記録し、ケータイ入感エリアに戻ったところで上空から送信する。さらに将来は、低解像度映像や静止画をリアルタイムに送るなど、通信状況に応じた使い分けも期待できます。BIM/CIMやデジタルツインに、現場の最新状況を素早く反映するための“空飛ぶ情報収集インフラ”になっていくかもしれません。























