NECがスマホ動画を1分で3Dモデル化! 3DGSで高精細、人はAIで消去
2026年7月16日

管理人のイエイリです。

建設現場やインフラ設備の点検では、現場にいる人がスマートフォンで動画を撮り、遠隔地のプロジェクト関係者に送ることが増えてきました。

しかし、動画には弱点があります。撮影者がカメラを向けた方向しか見えないため、「もう少し右から見たい」「裏側を確認したい」と思っても、後の祭りです。

そこで、現場を3Dモデル化すれば分かりやすそうですが、これまでは専用機材の準備や撮影手順、データ処理に手間がかかり、気軽に使うには少しハードルが高い面がありました。

こうした課題に対し、日本電気(本社:東京都港区。以下、NEC)は慶應AIセンターと共同で、

ナ、ナ、ナ、ナント、

スマホ動画を3Dモデル化

する技術を開発したのです。(NECのプレスリリースはこちら)

現場を撮影したスマホ動画を3Dモデル化する技術の概要(以下の資料:NEC)

現場を撮影したスマホ動画を3Dモデル化する技術の概要(以下の資料:NEC)

スマートフォンなどに搭載された汎用カメラで撮影した映像だけを使い、AIと「3Dガウシアン・スプラッティング」(3DGS)によって、写真のように見やすく高精細な3Dモデルを最短1分ほどで生成する技術です。

ここでのポイントは、スマートフォンのLiDARセンサーを使わないことです。普通のカメラで撮った動画だけで、現場を自由な視点で見られる3Dモデルへ変換します。

静止画のように「この角度で足りるかな」と気を遣いながら何枚も撮るより、現場をなめるように動画撮影できるのは、かなり現場向きですね。

仕組みとしては、AIが映像内の見た目の複雑さを解析します。配管や機器、メーター、ボタンなど細かい形状が多い部分には3DGSの“粒”を多く配置し、壁や床のように単調な部分では粒を間引きます。

従来の点群(左)と3DGSを活用したNECの技術(右)の違い

従来の点群(左)と3DGSを活用したNECの技術(右)の違い

こうして、見たい部分の精細さを保ちながら、3DGSモデルの生成時間を従来の方法に比べて10分の1に短縮しました。

生成した3Dモデルは、一般的なパソコンやタブレットでも閲覧できます。現場事務所、本社、支店、協力会社などが、同じ3D空間を見ながら状況を確認できるわけです。

さらに驚くべきことに、

動く人や物体を自動消去

してくれるのです。

動画に映り込んだ人などを除去して3Dモデル化する

動画に映り込んだ人などを除去して3Dモデル化する

現場の動画撮影時には、どうしても作業員や一時的な物体が映り込みます。通常なら、これらも3Dモデルの中に残ってしまい、肝心の設備や壁面を見えにくくする原因になります。

そこでNECの技術では、3Dモデル生成の過程で、作業員や一時的な物体などをAIが自動で検出・除去します。

さらに、除去した部分は周囲の映像から背景を補完します。そのため、稼働中の現場でも、人や一時物を取り除いた状態で、現場の3Dモデルを作成できるのです。

この技術が実用化されると、現場のデジタルツイン化の敷居がぐっと下がりそうです。リモートでの設備点検や異常時の判断、限られた人材の最適配置などにも役立ちそうですね。

NECは、インフラ事業者や建設業などを中心にデジタルツインの導入を進め、人材不足の解消や業務変革、設備の安全性向上に貢献するとし、2027年度中の実用化を目指しています。

【イエイリの建設DX先読み】

普通のスマホ動画では、撮影者がカメラを向けた方向しか記録できません。今後、360度カメラの映像が使えるようになれば、撮影者はカメラの向きよりも、どこを歩くかに集中でき、記録時間も短くなりそうです。

さらに、360度カメラを巡回ロボットや台車に載せれば、現場や設備室を定期的に回り、3Dモデルを自動更新することも夢ではありません。

現場記録は「写真を撮る」から「現場空間を保存する」仕事へ。朝の巡回映像が、その日の現場デジタルツインになる時代も、案外早く来るかもしれません。

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