管理人のイエイリです。
生成AIの進化で、建築やインテリアの完成イメージは驚くほど手軽に作れるようになりました。「この部屋を北欧風に」「床を木目調にして、ソファを置いて」と指示すれば、短時間でそれらしいパースが出来上がります。
ところが、設計者が実務で使おうとすると困ることがあります。AIが描いたソファや照明、床材が、実際にはどこにも売っていない“架空の商品”ということがあるからです。
施主から「このソファはいくらですか」「この床材を採用したい」と言われても、商品そのものが存在しなければ、結局はカタログを探し直し、実在する製品で提案画像を作り直さなければなりません。
こうした生成AIパースのお困りごとに応える技術が登場しました。アクチュアル(本社:京都市中京区)が、建築・デザイン特化型AIサービス「ArchiX(アーキエックス)」で展開する「リフォーム画像生成システム」です。
部屋画像の中に、
ナ、ナ、ナ、ナント、
実在製品を自然に配置
してくれるのです。(アクチュアルのプレスリリースはこちら)
使い方はシンプルです。まずユーザーが部屋画像を「ArchiX」にアップロードします。
するとAIが画像の中を解析し、家具、壁紙、床材、照明などの領域を自動的に識別してカテゴリー分けします。1枚の室内画像を見ながら、「ここは床」「ここはソファ」「ここは照明」と、AIが場所と種類を読み取るイメージです。
次に、ユーザーは「ArchiX(アーキエックス)」に連携された家具・建材・設備・照明メーカーの製品カタログから、使いたい商品を選びます。
すると、元画像中の家具や建材などが、選んだカタログ製品の画像に置き換えられます。アクチュアルによると、手作業による縮尺調整や複雑な画像編集は不要です。同社独自のプロンプト生成技術によって、元の空間の光や影、奥行き感を保ちながら、自然な高精細画像を生成するとのことです。
さらに面白いのは、AIが商品を“置く”だけではない点です。
「ArchiX」に登録する製品カタログには、商品の特徴、費用、寸法などの情報を持たせられます。これらの情報を使って、ユーザーの条件に合うインテリアを推薦することもできます。
つまり、「商品を探す」「候補を選ぶ」「実際の部屋に入れたイメージを見る」といった、これまで別々になりがちだった作業を「ArchiX」の中でつなげようとしているのです。
建設DXでは、2D図面をBIM化して属性情報を付け、3Dモデルを設計や施工、維持管理に展開する方法が王道の一つです。しかし、「この家具や建材を使ったら、部屋がどう見えるのかをすぐ確認したい」という目的なら、既にある2D画像から直接、欲しい成果へ近道ができたわけです。
これはある意味、
2D画像から始める「逆襲DX」
とも言えそうです。
もちろん、アクチュアルが「BIM不要」とうたっているわけではありません。それでも、ユーザー側の入り口を「部屋画像」にしている点は、リフォームや内装提案など、素早く完成イメージを見せたい業務との相性がよさそうです。
アクチュアルによると、「ArchiX」は6000名を超える設計士・デザイナーに利用されています。同社は「御社の製品を、設計の“最初の1枚”に」を掲げ、「ArchiX」のデータベースに製品カタログを掲載する家具・建材・設備・照明メーカーも募集しています。
これまでは設計者がWebサイトやカタログを検索して商品を探すのが一般的でしたが、今後はAIが設計の初期段階で商品候補を提示する場面が増えるかもしれません。設計者だけでなく、メーカーにとっても新しい営業・マーケティングの入口になりそうです。
アクチュアルはこのほど、「リフォーム画像生成システム、方法、プログラム及び装置」に関する特許第7807768号を取得しました。この特許技術を基盤にしたAIシステムを、建材・家具メーカーやリフォーム事業者向けに提供・ライセンス展開し、APIによる自社Webサイトや自社システムへのAIカタログ機能の構築、受託開発にも対応するとのことです。
【イエイリの建設DX先読み】
今回の技術で面白いのは、生成AIが「きれいな絵を描く道具」から、「実際の商品を選び、顧客に提案する道具」へ一歩進んだことです。
製品カタログには画像だけでなく、特徴、費用、寸法といった情報を持たせられます。将来、こうした商品属性と設計データや見積もりシステムがさらに連携すれば、「この部屋に合う商品を選ぶ→完成イメージを見る→概算費用を確認する」といった流れが、より爆速化していくかもしれませんね。



















