管理人のイエイリです。
大地震の直後、救助隊や建設技術者がまず困るのは、「現場がどうなっているのか分からない」ことです。
建物の外観が残っていても、内部では天井材や設備が落下し、通路がふさがれているかもしれません。余震や火災、ガス漏れなどの危険もあるため、状況が分からないまま人が入るわけにはいきません。
一方、住宅や道路、斜面などの被害は広範囲に及びます。地上から一つずつ見て回っていては、救助や復旧工事の優先順位を決めるまでにも時間がかかります。
そんな難題に直面した令和8年熊本地震の被災地へ、ドローン会社や航空測量会社が続々と出動しました。
人が立ち入れないイオンモール熊本の内部へ、
ナ、ナ、ナ、ナント、
ドローン先発隊
として、飛び込んだのです。
Terra Drone(本社:東京都渋谷区)は、屋内目視点検用ドローン「Terra Xross 1」を使い、要救助者の捜索や、倒壊した建物・構造物の状況確認を行いました。
実はこの調査、人が危険区域へ入った後でドローンを使ったのではありません。救助隊員が入る前に、ドローンを偵察役として送り込んだのです。
取得した詳細データは関係機関に提供され、公開可能な範囲の映像も一般公開されました。この映像は、テレビなどのニュースでも繰り返し使われました。(Terra Droneのプレスリリースはこちら)
ブルーイノベーション(本社:東京都文京区)も、爆発事故によって立ち入りが制限されたイオンモール熊本で、屋内点検用ドローン「ELIOS 3」を飛行させました。
取得した映像は自衛隊へ提供され、自衛隊、警察、消防による捜索活動や状況判断の参考資料として使われました。
さらに屋外では「DJI Matrice 350」を飛ばし、建屋の全景を上空から撮影しました。
内部を「ELIOS 3」で詳しく見て、建物全体を「DJI Matrice 350」で俯瞰するという、内外二段構えの調査です。(ブルーイノベーションのプレスリリースはこちら)
Liberaware(本社:千葉県千葉市)とMAX工業(本社:福岡県北九州市)も、日本UAS産業振興協議会からの協力要請を受け、ドローン民間防災組織「JUIDA-D3」の一員として、7月29日から出動しました。
イオンモール熊本の状況把握と要救助者の捜索を行ったほか、現地から要望があれば、ほかの災害支援にも対応する体制を取りました。
使用機種は発表されていませんが、災害時に必要なのは高性能な機体だけではありません。操縦者と機材をすぐに現場へ送り出せる体制も、立派な災害DXです。(Liberawareのプレスリリースはこちら)
このほか、
空と宇宙からの目
も驚くほど早く動き始めました。
国際航業(本社:東京都新宿区)は、地震翌日の7月29日午前から航空機を飛ばし、八代市、熊本城、イオンモール熊本、雲仙岳や眉山などを緊急撮影しました。
7月29日には、パスコ(本社:東京都目黒区)との共同撮影で421枚、翌30日には国際航業が213枚を追加し、計634枚の斜め写真を公開しました。(国際航業の災害調査ページはこちら)
斜め写真は、真上から撮影する一般的な航空写真とは異なり、建物の側面や傾き、斜面の崩れ方などを立体的に把握しやすいのが特徴です。
写真は「Bois/防災情報提供サービス」無償版で、撮影地点と地図を対応させながら閲覧できます。
さらに国際航業は、人工衛星「Sentinel-1」のSAR観測データを地震前後で比較し、建物の倒壊や損壊、火災、液状化などが発生した可能性のある範囲を推定しました。
一棟ずつ被害を確定するものではありませんが、広い被災地の中から「まず詳しく調べるべき場所」を絞り込む一次スクリーニングとして、力を発揮します。
今回の活動を一言でまとめると、建物内部は屋内ドローン、建物全体は屋外ドローン、地域は航空機、さらに広域は人工衛星という、何層もの「空の目」による災害調査です。
ドローンや航空機は、単に写真を撮るだけの機械ではありません。人が危険な場所へ入る前に情報を集め、救助や復旧の判断を早めるための「情報収集端末」になったのです。
【イエイリの建設DX先読み】
人命救助で重要と言われる発災後72時間以内に現場へ駆け付けるには、ドローンやロボットの開発企業も、平時から「緊急出動マニュアル」を整えておく必要がありそうです。
防災の日などに、要請の受け付け、機材の積み込み、現地への移動、関係機関へのデータ提供、一般公開までを通しで行う「緊急出動訓練」を実施してはどうでしょうか。
被災地を支援する機会と、製品開発だけでは得られない貴重な実戦経験を積めるかどうかが、企業経営にも差を生む時代になりそうです。























