管理人のイエイリです。
山間部の建設現場で困るのは、道が遠いことだけではありません。携帯電話の電波が届かず、インターネットにつながらない。電源も限られている。そんな悩みが、現場のDXを進めるうえで大きな壁になります。
特に、砂防や地すべり対策、災害復旧などの現場では、安全な場所から重機やドローンを操作したい場面もあります。
しかし、遠隔施工や3D測量を行うには、通信、電源、モニター、作業机、精密機材の置き場などが必要です。これらを山奥の現場に一つ一つ用意するのは、なかなか大変です。
こんな山間部現場のお困りごとを解決するため、旭建設(本社:宮崎県日向市)は、
ナ、ナ、ナ、ナント、
走るDX基地を自社開発
したのです。(旭建設のプレスリリースはこちら)
その名も「Asahi Mobility Office Car」といいます。ベース車両は、建設現場でもおなじみのトヨタ ハイエースです。
屋根にはソーラーパネルやエアコン室外機を搭載し、車内には27インチモニター2台、専用ワークデスク、ドローンやレーザースキャナーなどを収納する専用機材棚を備えています。
つまり、本社のDXルームにあるような通信、電源、モニター、データ処理環境を、クルマに積み込んだようなものです。現場近くに停めれば、そこが遠隔施工や3D測量の前線基地になります。
通信設備としては、衛星通信の「Starlink(スターリンク)ミニ」のほか、広域Wi-Fiアンテナを搭載しています。携帯電話が届きにくい山間部でも、衛星通信でインターネット回線を確保し、車内や周辺に通信環境を広げられるわけです。
電源設備も充実しています。ルーフソーラーパネル、ポータブルリチウムイオンバッテリー、外部電力入力端子を備えており、車両のエンジンを停止した状態でも、パソコンや通信機器、エアコンなどを動かせます。
暑い夏場や電源のない現場でも、技術者が車内で落ち着いてデータ処理や確認作業を行えるのはありがたいですね。
大型ドローンやレーザースキャナーなどの精密機材は専用棚に収納できるため、山間部の移動中も安全に運びやすくなっています。
外装には、3Dアラウンドビューモニター、サイドオーニング、ルーフキャリア(リアラダー収納式)も装備しています。車両周囲の確認や、日差し・雨を避けながらの屋外作業にも配慮した、現場仕様の1台と言えそうです。
このほか、建設機械の
移動コックピット
としても使えます。
旭建設は以前、携帯電話の圏外にある山間部の現場で、Starlinkを使って本社のDXルームからドローンを遠隔操作し、3D測量を行った実績があります。(2025年12月9日の当ブログ参照)
今回はその進化形として、危険な斜面や災害現場に重機の遠隔操作オペレーターが出掛け、遠隔無人化バックホウや遠隔ドローンを、安全・快適な車内から操作できるようにしました。
施工後はドローンやレーザースキャナーで出来形を取得し、その場でデータを確認。本社や発注者ともリアルタイムに共有しやすくなります。
災害時には、通信や電力が途絶えた地域へ派遣し、Starlink付きの広域Wi-Fiを開放することで、地域住民の通信環境を確保する拠点としても活用できます。
1台のハイエースに、必要十分な機能をコンパクトにまとめた実戦的なモバイルオフィスが開発された背景には、山間部現場での工事が多い旭建設ならではの切実なお困りごとがあったのでしょう。
考え抜かれた装備は、地域建設会社が山奥にDX基地を持ち込むための好例となりそうです。
【イエイリの建設DX先読み】
今後、こうした移動型DX基地が広がると、山間部の林道工事やライフライン工事の現場事務所の考え方も変わってきそうです。まずクルマで現場に入り、通信と電源を立ち上げ、RTK-GNSS、ドローン、レーザースキャナー、ICT建機をまとめてつなぐ。
すると、現場はすぐに3Dデータで見える化され、本社や発注者とも同じ画面を見ながら判断できます。現場への直行直帰もしやすくなり、移動時間の削減や働き方改革にもつながりそうです。




















