renueが水道管からAI積算! 数量拾いや見積もりも人機一体で
2026年8月17日

管理人のイエイリです。

建設現場で使われる給排水設備図面は、構造図のように部材の寸法や形がきっちり描かれている図面とは、少し性格が違います。便器や洗面器、バルブなどの機器同士を、どの配管でつなぐのかを、記号や線で示した“接続関係の図面”と言ってもよいでしょう。

給排水設備図面のイメージ(以下の資料:renue)

給排水設備図面のイメージ(以下の資料:renue)

そのため、図面上の線をたどるだけでは、実際の配管が床下や天井裏をどう通り、どこで立ち上がり、どの高さで接続されるのかまでは、なかなか読み取れません。

給水、給湯、排水の違いや、口径、管種、バルブ類の拾い出しには、設備工事の経験がものを言います。積算担当者にとっては、まさに腕の見せどころである一方、若手にはなかなか任せにくい作業でもあります。

こうしたベテランの経験と勘による手作業を効率化するため、renue(本社:東京都港区)は、PDF図面をアップロードするだけで、

ナ、ナ、ナ、ナント、

AIが数量拾い表

から概算見積書の作成まで行うアプリを開発しました。(renueのプレスリリースはこちら

給排水図面から配管種別ごとに長さを拾った例

給排水図面から配管種別ごとに長さを拾った例

このアプリは、給排水設備図面のPDFを読み込み、給水、給湯、排水などの系統ごと、さらに管種・口径ごとに配管の長さを拾い出します。バルブや量水器などの個数も自動で数えてくれるので、設備積算担当者にとっては、かなりうれしい“下拾いロボ”と言えそうです。

抽象的な設備図面からリアルな数字が拾える

抽象的な設備図面からリアルな数字が拾える

使い方はシンプルです。給排水設備図面のPDFをアプリにアップロードすると、配管平面図、部分詳細図、凡例、断面図などにページ単位で自動分類されます。

部分詳細図は参考として読み取りつつ、数量の合計からは除外します。これにより、同じ配管を二重に拾ってしまうことを防ぎます。

次に、マルチモーダル生成AIが、図面上の配管ルートや記号を座標付きで読み取ります。給水は実線、給湯は一点鎖線、排水は破線といった製図の一般慣行をもとに、系統を判別します。

さらに、バルブ、量水器、止水栓、衛生器具などの記号も、一般的な用語に変換して数え上げます。図面上では小さな記号でも、見積もりでは重要な数量ですから、ここを拾ってくれるのは助かりますね。

配管長の計算では、通り芯の寸法から縮尺を確定し、図枠の縮尺表記とも照合します。読み取った経路は直交補正し、寸法注記、通り芯換算、縮尺換算のどれを根拠にしたのかを、ルート1本ごとに記録します。

エルボは経路の折れ点から、チーズは分岐の接続関係から機械的に数える仕組みです。こうして読み取った結果をExcelの拾い表として出力し、さらに概算見積書まで生成してくれるのです。

自動作成された見積書

自動作成された見積書

ただし、このアプリの面白いところは、作業をAIに丸投げせず、

“人機一体”で進める

ので、実務に使ううえでの安心感があります。

例えば、配管ルートが図面上の線と重なっているか、線種と系統の判断が合っているか、配管同士がきちんとつながっているかを自動検算します。

そして、怪しい箇所は「要確認」として表示されます。担当者は、その箇所を見て修正するか、問題なければ確認ボタンを押して確定します。

つまり、AIが数量拾いの下書きを作り、人間が経験を生かして要確認箇所を判断するわけです。まさに、人機一体型の設備積算支援ですね。

現在は営業デモとして実装した段階で、今後は設備工事会社やサブコンとの共同検証を通じて、実案件での精度と実用性を高めていく計画です。

PDF図面しかない案件でも、AIが下拾いを行い、ベテランが確認する流れができれば、見積もりのスピードアップや若手の業務参加にもつながりそうです。

【イエイリの建設DX先読み】

ガス、空調、消防、電気設備関係の図面は、機器同士のつながりを抽象的に示した回路図のようなものがよく使われます。その図から、実際の現場で作られるリアルな配管や配線を想像し、見積もりまで持っていくには、長年の経験が必要でした。

こうしたベテランのノウハウをAIに移植していけば、人間との「人機一体」によって、現場経験の浅い人が業務を手伝ったり、若手に短期間で技能伝承したりすることができそうです。設備工事のDXは、こうした“下ごしらえ業務”から、じわじわ進んでいくのかもしれません。

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