管理人のイエイリです。
コンクリートブロックを並べる護岸工事は、一見すると単純そうですが、カーブした場所では意外な手間がかかります。
四角い規格ブロックを曲線に沿って並べると、どうしても段差や隙間が生じます。そのため現場では、ブロックを切断したり、隙間にコンクリートを打設したりして、最後は人の手で「現場合わせ」する作業が必要でした。
しかも、斜面上で重量物を扱いながら回転工具でブロックを切断したり、コンクリートを打設したりするのですから、手間だけでなく安全面でも気を使います。
こうした護岸工事のお困りごとに、飛島建設(本社:東京都港区)が導入したのは、
ナ、ナ、ナ、ナント、
3Dプリンター
による現場合わせだったのです。(飛島建設株式会社のプレスリリースはこちら)
つまり、曲線の形にぴったり合う護岸ブロックを、3Dプリンターで一品一様に作ってしまったのです。
今回、試験施工が行われたのは、2026年5月に竣工した「R4荒川第二調節池排水門及び囲繞堤新設工事」(発注者:国土交通省 関東地方整備局 荒川調節池工事事務所)です。
荒川第二調節池内の水路から排水門へ放流する部分には、半径12~15m程度の曲線部があります。護岸全体約600m2のうち約72m2を対象に、現地形状に合わせた専用ブロックを3Dプリンターで製作し、施工しました。
まずCADオペレーターが、現地の曲線形状に合わせ、ブロック1枚ごとに異なる3D-CADデータを作成します。そして3DプリンターメーカーのPolyuse(本社:東京都港区)の協力を得て、そのデータをもとに建設用3Dプリンターで専用ブロックを自動製作しました。
従来は「規格品を現場に持ってきて、切断したり隙間を埋めたりして現地形状に合わせる」という発想でした。それを今回は、「現地形状を先にデータ化し、そこに合う部材を作ってから現場へ持っていく」という流れに変えたのです。
つまり、建設現場で長年行われてきた「現場合わせ」を、
設計室でのデータ合わせ
に変えたわけです。
既製ブロックの現場での切断や、隙間への現場打ちコンクリート作業が減った結果、試験施工区間では従来工法に比べて約2日間の工期短縮を実現しました。
さらに、切断作業に伴う回転工具の使用や、斜面上でのコンクリート打設作業も減り、安全性も向上しました。
形状データを変えるだけで異なる形の部材を作れる3Dプリンターは、こうした「多品種少量」「一品物」「複雑形状」といった建設業ならではのものづくりで、本領を発揮する可能性があります。
飛島建設は今回の知見を踏まえ、護岸工にとどまらず、さまざまなコンクリート構造物への3Dプリンターの適用可能性を検討していく方針です。
【イエイリの建設DX先読み】
今後、建設用3Dプリンターは、スマホによる3D計測と組み合わせて使う場面が増えそうです。現場の複雑な形状をスマホで測り、そのデータからぴったり合う部材を設計し、3Dプリンターで製造するのです。
特に、重量が大きく、現場で切ったり削ったりしにくいコンクリート構造物の「役物」を一品一様で作る用途は有望でしょう。3Dプリンターは、構造物を丸ごと造るだけでなく、「現場合わせ部材」をデジタル製造する道具としても、活躍の場を広げていきそうです。





















