管理人のイエイリです。
掃除や洗濯、片付けといった家事をロボットに任せられれば、毎日の暮らしはかなり楽になります。そこで思い浮かぶのが、人間のように家の中を歩き回って働く人型ロボットです。
しかし、人型ロボットが住宅の床を歩くとなると、人やペットとの動線が重なったり、家具や荷物を避けたり、転倒や衝突を防いだりと、なかなか大変です。
ドアや狭い通路など、人間向けにつくられた住宅の条件にもロボット側が合わせなければなりません。
そこでMW(本社:東京都港区)が取り組んでいるのが、建築・AI・ロボティクスを一体で設計する未来の住宅「MW Living Home」です。
人間そっくりのロボットを住宅に持ち込むのではなく、
ナ、ナ、ナ、ナント、
天井や壁面のレールを移動
する住宅ロボット「MW bot」を建物に組み込んでしまおうという発想です。(MWのプレスリリースはこちら)
従来のスマートホームでは、人がスマートフォンやリモコンから照明やエアコンなどに指示する方式が一般的でした。
一方、この住宅では、家そのものを一つのシステムとして考えています。住宅内の状況を感じ取るセンサー群が「知覚」、住まいの状況を理解・判断し、学習するAIが「知性」、そして実際に家事を行う住宅ロボットが「身体」という役割です。これらを建築意匠と一体で設計します。
住宅ロボット「MW bot」は、住宅空間と一体化した「セミヒューマノイド」という位置付けです。普段は「Nest」と呼ばれる“巣”に収納され、必要なときに現れて生活を支援します。
さらに、買い物袋や衣類、ゴミなどを運ぶ容器となる「MW Cargo」も用意され、「MW bot」と協働して天井や壁面に設けられたレールを使って住宅内を移動します。
この方式の面白いところは、人型ロボットのように床面を自由に歩かせることを最優先にしていない点です。
この方式はレールの位置や高さによって移動などの自由度は制約されますが、天井のデッドスペースを活用でき、床面を開放できるので、安全性や学習効率の点でメリットがあります。
つまり、ロボットを何でもできるようにするより、
建物もロボットに合わせる
という割り切りです。
MWは2026年9月10日に東京・豊洲でブランド発表会を開催し、プロトタイプを開発・実験用のトレーラーハウスごと会場に移設して、家事を行うライブデモを公開しました。
また、MWが進める「住宅環境に特化したロボット基盤モデルの研究開発」は、経済産業省と国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が推進する「GENIAC(Generative AI Accelerator Challenge)」にも採択されました。
今後はロボットの躯体開発や量産体制の構築、自社施工する実住宅でのAIロボット稼働の実証などを進める計画です。
同社のウェブサイトによると、2027年9月にAIによる自律制御を前提にしたロボット搭載木造住宅のデモ、2028年にはロボットを搭載した「Living Home」の販売開始を予定しています。
【イエイリの建設DX先読み】
これまでは、人が玄関から入り、リビングやキッチン、寝室へどう移動するかという「人間動線」が中心でした。しかし住宅内でロボットが家事や搬送を担うようになれば、「ロボット動線」や「住宅内物流動線」も設計対象になるかもしれません。
例えばドアも、人型ロボットに開き戸のノブを器用に操作させるより、人とロボット、搬送物が干渉しにくい引き戸を増やした方が合理的な場合がありそうです。
また、住宅が住まい手の習慣を長期的に学習するようになれば、毎朝の照明やテレビ、ラジオ、空調なども、毎回細かく指示するのではなく、その人の生活パターンを踏まえて先回りして準備してくれることも、夢ではなさそうです。
ロボットを建物に合わせる時代から、建物もロボットに合わせる時代へ――。フィジカルAIの普及は、ロボット技術だけでなく、間取り、建具、構造、設備、施工精度といった建築そのものを変えていきそうですね。






















