管理人のイエイリです。
急斜面にモルタルなどを吹き付けるのり面工事は、危険な場所での作業を減らしながら、施工品質を確保するのが大きな課題です。さらに、建設業では熟練オペレーターの技能継承や、新しい担い手の確保も待ったなしです。
そこで日特建設(本社:東京都中央区)が取り組んでいるのが、のり面省力化吹き付け工法「スロープセイバー」の遠隔操作です。
そして今回、その技術を披露する場所として選んだのは、
ナ、ナ、ナ、ナント、
東京ゲームショウ
だったのです。(日特建設のプレスリリースはこちら)
日特建設は2026年9月17日から21日まで幕張メッセで開催される「東京ゲームショウ2026」のビジネスソリューションコーナーに初出展します。会場ではゲームコントローラーを使って、離れた場所にある「スロープセイバー」の実機を遠隔操作できる体験展示を行います。
遠隔操作で難しいのは、現場にいるときのような距離感やノズルの向きを、カメラ映像だけでつかみにくいことです。
そこで操作画面には、吹き付け材料の想定着弾位置をリアルタイムに示す「吹き付けマーカー」を表示するほか、吹き付け距離や角度など、施工に必要な情報も確認できるようにしました。
オペレーターは現場にいる建機から送られてくるリアルタイム映像を見ながら、ノズルを動かし、想定着弾位置や距離、角度を確認して操作できるわけです。
日特建設は、ゲーム分野で培われてきたUI(ユーザーインターフェース)やUX(ユーザー体験)、ゲーミフィケーションを建機操作に取り入れ、熟練者の経験や感覚に頼ってきた操作を、分かりやすく、学びやすいものにしようとしています。
会場では実機の遠隔操作のほか、操作技能の向上を目的に開発中のトレーニング型ミニゲームも体験できます。
建設ITブログでは以前、トライアローの重機シミュレーターアプリ「重機でGo」を紹介しました。スマートフォンやタブレット、VRゴーグルなどでバックホーの掘削や積み込みを練習できるもので、ゲームと建機操作の距離はすでにかなり縮まっています。
今回の日特建設の取り組みは、その流れをのり面吹き付けという専門工種に持ち込み、実機の遠隔操作と施工支援UI、トレーニングを組み合わせたところが面白いですね。
そして、東京ゲームショウへの出展には、もう一つ大きな意味があります。
ゲームショウには、普段は建設業と接点のないゲームファンやIT分野の人も大勢訪れます。日特建設は、ゲームを入り口に、こうした人たちにも社会インフラを支える仕事を身近に感じてもらうことを目指しています。
これは建設ITブログ流に言えば、建設人材の
リクルートDX
とも言えそうです。
建設業に興味を持つ人が会社説明会や建設技術展に来るのを待つのではなく、建設会社の方から若者やデジタル人材が集まる場所に出ていく。そして「ゲームのような操作で、本物の建機を動かす仕事がある」と体験してもらうのです。
ゲームが得意な人にとっては、コントローラーを両手で扱い、画面を見ながら機械を動かすことは身近な世界です。そんな技能が社会インフラをつくり、守る仕事につながると知れば、建設業を見る目も変わるかもしれません。
【イエイリの建設DX先読み】
吹き付け工は、実物で練習しようとするとモルタルなどの材料を使うので、練習後には施工した材料の撤去や処分が必要になる場合もあります。そのため油圧ショベルで土を掘って戻す練習とは違った負担があります。
今回の遠隔操作やミニゲームが進化して、画面上にバーチャルな吹き付け材料や出来形を再現できれば、実材料を使わずにノズルの動かし方や距離、角度などを繰り返し練習できるでしょう。
この考え方は、アスファルトフィニッシャーやコンクリートポンプ車、地盤改良機、コンクリート3Dプリンターなど、実機訓練で材料を大量に消費する機械にも応用できそうです。
そしてニッチな施工を展開する建設会社が自社の施工技術をゲーム化すれば、自慢の工法を楽しみながら紹介できるだけでなく、ゲーム好きの人材を遠隔操作オペレーターとしてスカウトする――そんな光景も、数年後には珍しくなくなっているかもしれませんね。




















