深礎工事に“二刀流”マシン登場! 鉄建建設が機械化で3割省人化を実現
2026年9月4日

管理人のイエイリです。

山岳トンネルなど、地盤を横方向に掘る土木工事では、大型の掘削機やドリルジャンボ、吹き付けロボットなどが活躍し、機械化や遠隔化、自動化が進んでいます。

ところが、同じ地盤を掘る本工事でも、縦方向に掘り下げる「深礎工」は少し事情が違います。

特に送電鉄塔の基礎に使われる深礎杭は直径2.5~3.0m程度のものが多く、狭い穴の中には施工機械を1台しか入れにくいため、硬い岩盤をブレーカーで砕く作業と、砕いた土砂をバックホーで掘削・積み込む作業のどちらか一方が人力になりやすいという課題がありました。

そんな、人力作業が色濃く残っていた深礎工事を機械化するため、鉄建建設(本社:東京都千代田区)は、

ナ、ナ、ナ、ナント、

深礎掘削の二刀流マシン

を開発したのです。(鉄建建設のプレスリリースはこちら)

Shinso-MaN W工法の掘削機。破砕用ブレーカーと掘削用バケットを備える(以下の資料、写真:鉄建建設)

Shinso-MaN W工法の掘削機。破砕用ブレーカーと掘削用バケットを備える(以下の資料、写真:鉄建建設)

現場での使用状況

現場での使用状況

このマシンは、硬質地盤・山岳向け機械式深礎工法「Shinso-MaN W(シンソマンダブル)工法」で使われるもので、東北電力ネットワーク(本社:宮城県仙台市)発注の「丸森いわき幹線新設鉄塔工事」で初採用されました。

Shinso-MaN W工法の掘削機にはブームが2本あり、一方には岩などを破砕するブレーカー、もう一方には土砂を掘削するバケットが取り付けられています。

例えば掘削中に硬い岩盤が現れたらブレーカーでガガガッと破砕し、砕けたら手元のスイッチを切り替えてバケットで掘削、排土します。

従来のように、ブレーカーを使うために機械を入れ替えたり、バケットへアタッチメントを交換したりする必要はありません。いわば「ハンマー」と「スコップ」を最初から両手に持って、地盤の状態に応じて使い分けるわけです。

ブレーカーによる地盤の破砕状況

ブレーカーによる地盤の破砕状況

バケットによる掘削、排土状況

バケットによる掘削、排土状況

今回の工事では、No.54鉄塔の4本ある基礎のうち1本にこの工法を採用しました。施工は鉄建建設のグループ会社であるジェイテック(本社:東京都千代田区)が担当し、直径2.5m、深さ約12mの深礎杭を約1カ月で掘削しました。

しかし、この「二刀流」以上に建設DX的に興味深いのが、オペレーターは地上にいて、

二刀流マシンを遠隔操作

していることです。

オペレーターは地上の操縦席に座り、モニターで孔内カメラの映像を確認しながら掘削機を遠隔操作します。ブレーカーとバケットの切り替えも、地上の手元スイッチで行います。

地上の操作部から孔内カメラの映像を見て掘削機を遠隔操作するオペレーター

地上の操作部から孔内カメラの映像を見て掘削機を遠隔操作するオペレーター

さらに孔内は、下側で掘削機が働く「掘削室」と、その直上で作業員がライナープレートの組み立てや裏込め注入を行う「作業室」に分けられています。

Shinso-MaN W工法の概要。下部の「掘削室」と上部の「作業室」を分離している

Shinso-MaN W工法の概要。下部の「掘削室」と上部の「作業室」を分離している

今回の施工では、従来工法に比べて施工に必要な作業人員を約30%削減しました。また、掘削機と作業員との接触事故リスクを低減し、安全性も向上させました。

鉄建建設は今後、他の発注者工事にもShinso-MaN W工法を導入する予定で、施工手順や付属設備を改良しながら、安全性と施工効率をさらに高めていく方針です。

【イエイリの建設DX先読み】

今回のShinso-MaN W工法で面白いのは、AIや完全自動運転から始めるのではなく、まず「人力施工が残る危険で狭い場所から、人を離す」ことに正面から取り組んだ点です。

開発段階では、ブレーカーのアームにセンサーを取り付け、先端位置をリアルタイムに測って掘削径や掘削深度を確認する2Dマシンガイダンスシステムも検証されたとのことです。

今後、深礎工事も山岳トンネルと同様に、人力でのブレーカー作業から機械化が進み、さらに自動化する方向へと進んでいきそうですね。

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