管理人のイエイリです。
水道事業体では管路の位置や口径、布設年度などをGIS(地理情報システム)で管理するところが増えています。
しかし、せっかくデータがあっても、漏水が起こったときに、庁内のパソコンだけでしか見られないのでは、現場では紙の管路図を持ち出したり、事務所に電話して確認したりといった手間が残ります。
そんな水道管路データを、もっと現場で使いやすくしようというサービスが登場します。
JAXA認定の宇宙ベンチャー、天地人(てんちじん、本社:東京都中央区)は、水道DXサービス「宇宙水道局」の無償版となる「宇宙水道局 クラウド」を令和9年度から提供します。
ナ、ナ、ナ、ナント、
水道管路図をスマホで
閲覧できるのです。(天地人のプレスリリースはこちら)
「宇宙水道局 クラウド」は、水道事業体が持っているデジタル管路データを天地人がクラウド環境に取り込み、パソコンやスマートフォン、タブレットのブラウザから閲覧できるようにするサービスです。
既存のGISやマッピングシステムを置き換えるのではなく、すでに持っている管路データをクラウドからも使えるようにするところがポイントです。
例えば漏水の通報を受けた職員が現場に着いたら、スマートフォンやタブレットで周辺の管路図を開きます。
そこには管路や給水管、弁栓、量水器類などが表示され、元の管路データに情報が含まれていれば、口径や布設年度なども確認できます。
例えば「古い○mm管はどこにあるのか」といった条件で絞り込めば、該当する管路が地図上にハイライト表示されます。大量の管路を目で追って探すより、ずっと分かりやすそうですね。
このサービスは管路図を見るだけではありません。
地質図、土壌図、色別標高図、緊急輸送道路、1974~1978年の航空写真、全国耐震適合地盤判定マップなどを管路図に重ねて表示できます。
約50年前の航空写真を重ねると、現在は道路や市街地になっている場所が、以前は農地や河川、水路だったことも確認できます。現在の地図だけでは分からない土地の履歴を、現地調査や維持管理の参考にできるのです。
先行利用では、現場で見つけた漏水地点を地図上に登録する機能も使えます。現地確認や音聴調査の記録、写真、漏水箇所の報告、修繕方針などを登録でき、漏水調査計画を作成して共有する機能も利用できます。
ここまでを見ると、「宇宙水道局という名前なのに、普通のクラウドGISでは?」と思った方もいるかもしれません。
実は、ここからが「宇宙」の出番です。
天地人が2023年4月から提供している水道DXサービス「宇宙水道局」全体では、
衛星データで漏水リスク
を診断するサービスも提供しています。
衛星データを活用して数メートル単位で管路のリスクを診断し、漏水する可能性が高いエリアを絞り込むことで、優先的に調査すべき場所を見つけやすくします。
ただし、これらのAIによる漏水リスク診断や管路更新計画策定支援は、「宇宙水道局 クラウド」の無償提供には含まれません。
天地人は2026年9月1日から、自治体や水道事業体を対象に100事業体限定の先行利用を受け付けています。先行利用期間は利用開始日から2027年3月31日までで、費用は無償です。
【イエイリの建設DX先読み】
今回の取り組みで興味深いのは、衛星データやAIという高度な技術から始めるのではなく、まず「スマホで管路図を見る」という分かりやすいところからDXを始めている点です。
現場で管路データを見ることが日常になれば、そこに漏水地点や調査結果などのデータが蓄積されます。さらに衛星データやAIを組み合わせれば、リスクが高そうな場所を先に絞り、人が重点的に確認するという維持管理が広がりそうです。
そして、この発想を他分野に水平展開すれば、「宇宙道路局」「宇宙下水道局」「宇宙砂防局」のようなサービスへ広がる可能性もありそうですね。





















