フォーラムエイト(本社:東京都港区)は、JR大阪駅直近の「うめきた」地区にあるグラングリーン大阪ゲートタワー14階に、大阪支社を移転した。このオフィスにはVRシミュレーターやデジタルツイン、数値解析ソフトウェアなどを体験できるショールームや、AIデータセンターなども備えており、ユーザーが利用できる建設DX拠点でもあるのだ。いったい、どんな施設なのか、お披露目会の様子を突撃リポートする。
大阪駅前に建設DXの体験拠点が誕生
生成AIが設計や解析の相棒になり、デジタルツインで都市や構造物を事前に検証し、さらに建設業が月面施工や宇宙開発へと飛び出そうとしている。そんな時代を先取りするように、フォーラムエイトは大阪・梅田の一等地に、未来の建設DXを”見て、触って、相談できる”建設DXの新拠点となるショールームを備えた大阪支社オフィスを開設した。
2026年6月9日に開催されたショールームのお披露目会には、フォーラムエイトユーザーや関係者ら約100人が集まった。展示見学では、ドライブシミュレーターやVR、FEMなどのデモンストレーションコーナーに人だかりができ、来場者は名刺交換をしながら、社員の説明に熱心に耳を傾けていた。
建設業界では今、慢性的な人手不足や熟練技術者の退職、若手への技術継承、安全教育、発注者や住民との合意形成、設計・解析業務の高度化といった課題が山積している。こうした問題を解決するために、生成AIやデジタルツイン、クラウド解析を使ってみたいと思っても、「自社のどの業務に使えるのか」「本当に効果があるのか」が見えにくいという悩みもある。
そんなユーザーにとって、フォーラムエイト大阪支社のショールームはうってつけの場所である。カタログやWebサイトで機能を読むだけではなく、実際に画面を見て、シミュレーターを操作し、社員に質問しながら、自社業務への使い道を考えられるからだ。
VRシミュレーターで月面での施工も体験
ショールームの核となる技術の一つが、リアルタイムVRシステム「UC-win/Road」である。都市や道路、交通流、人流、建設現場などを3次元空間としてビジュアルに再現するほか、ドライビングシミューターとも連携するため、利用者はその中を移動しながら、計画や安全性を検討できる。
例えば安全運転シミュレーターでは、渋谷など実際の街並みを走行し、運転結果を採点できる。ハンドルを握って走り出すと、交差点での確認、歩行者への注意、車間距離、急ブレーキなどが記録される。自分では安全運転のつもりでも、シミュレーターの採点結果を見ると、ヒヤリとする弱点が浮かび上がる。実際に、建設現場の車両運転教育や、企業の安全研修にも利用されている。
電動車いす型シミュレーターに乗ってバリアフリーの視点で街をチェックする体験も面白い。歩いていると気にならない段差や勾配も、車いすの視点では大きな障害になる。道路や駅前広場、公共施設を設計する技術者にとって、図面上の寸法チェックだけでは得られない気づきがある。
近未来の建設業を先取りした施設が、月面走行シミュレーターや宇宙建設シミュレーターだ。月面走行シミュレーターでは、重力が小さい月面で探査車を運転する。宇宙建設シミュレーターでは、月面でパワーショベルによる施工を体験できる。
「宇宙」と聞くと、一見、建設実務から遠い話に感じるかもしれないが、NASA(米航空宇宙局)などでは、月の土(レゴリス)を使って居住施設やロケット基地などを建設する検討が進んでいる。その月面施工を先取りするように、フォーラムエイトでは、月面という未知の環境で建機を安全に動かすためのシミュレーション技術の開発にも取り組んでいる。
重力や地盤条件が異なる場所で建設機械がどう動くのかを事前に体感しておくことは、地球上での遠隔施工、無人施工、自動化施工、災害現場でのロボット活用にもつながる。月面施工を空想の話で終わらせず、地上の建設DXと関連づけている点が、フォーラムエイトらしい見せ方だ。
構造設計や建設コンサルタントの技術者には、有限要素法による構造物の動的解析を精密に行う「Engineers Studio」のデモンストレーションコーナーも見逃せない。地震動などの外力が加わったとき、構造物がどのように変形し、どこに応力が集中するのかを視覚的に確認できる。数値の羅列だけではつかみにくい構造物の挙動が、画面上でぐっと分かりやすくなる。
土木インフラ用の各種設計ソフトウェア「UC-1シリーズ」のデモコーナーも用意されている。橋梁、道路、河川、上下水道、防災施設などの設計業務で、計算、照査、図面作成、解析を支援する製品群である。その結果は、CGアニメーションとして表示されるので、専門家以外の人も地震時に構造物がどう変形するのか、被害が発生したときはどうなるのかを視覚的に理解できる。来場者は社員を囲んで、その説明に耳を傾けていた。
クラウドで利用できるAIデータセンターも完備
そして大阪支社の大きな目玉となるのが、プライベートAIクラウド基盤「F8-AIデータセンター」だ。マイクロAIサーバーをクラスタ化し、解析、シミュレーション、デジタルツインなどの技術とAIを融合したサービス提供を行う総合的なプラットフォームとして利用できるようにする。
ユーザーにとっては、重い計算環境をすべて自社で抱え込まなくても、フォーラムエイトのエンジニアリング技術とAIを組み合わせた計算基盤を使える可能性が広がる。今後はユーザー向けAIクラウドサービスとして、順次機能を拡張していく予定だという。
ショールームでは、FORUM8の製品群に実装された「F8-AI UCサポート」および「F8-AI設計サポート」のデモも見られる。製品操作や計算内容の理解をAIデータセンターが支援することで、若手技術者や初めて製品を使うユーザーにも使いやすくなる。AIが設計者の代わりに判断するのではなく、設計者がより的確に判断するための頼れる補助役になるわけだ。
大型液晶モニターを備えた約60人収容のセミナールームも常設された。FORUM8のアプリやクラウドシステムなどのセミナーをいつでも開催できる。さらに、十数人規模のミーティングが行える会議スペースも2カ所設けられている。ショールームで体験し、セミナールームで学び、会議スペースで具体的な導入相談を行う。そんな流れが、1つのフロアで完結するのである。
大阪駅と直結、傘なしで行けるオフィスに
大阪支社は、JR大阪駅に新設された「うめきた地下出口」に直結するグラングリーン大阪ゲートタワーの14階にある。雨の日でも大阪駅のホームからオフィスまで傘をささずにオフィスまで直行できるのは、訪問者や社員にとってありがたい。2031年開通予定のなにわ筋線を含む7駅15路線にも、地下道を通じてアクセスできる。
オフィスの眼下には広大な緑地や池を備えた「うめきた公園」が広がる。大阪梅田のど真ん中にいながら、都市のにぎわいと緑の空間が同居する。ここに建設DXのショールームが置かれた意味は大きい。製品を説明するだけの場ではなく、顧客との対話、技術交流、新しい価値創造を生み出す”憩いの場”になるからだ。
ショールームのお披露目会に続く大阪支社移転記念パーティーであいさつに立ったフォーラムエイトの伊藤裕二社長は、「当社はUR都市機構に協力し、大阪駅に隣接するうめきた開発計画をリアルタイムVRシステム『UC-win/Road』でVR化するとともに、交通流や人流を含めて完成時の状況を再現し、検討を支援してきました。実際に完成したプロジェクトもVRそっくりの出来栄えでした。当社もここに移転したいと思い、2026年4月にリアルな移転が実現しました」と今回の移転に込めた思いを語った。
「当社は2027年に創立40周年を迎えます。今回の大阪支社移転には、創業時に会社を支えてくれた関西ユーザーへの恩返し、AIデータセンターとしての拠点化、そして会社の事業を担う社員の業務環境をより良くしたいという思いがありました」(伊藤社長)。
つまりフォーラムエイトの大阪支社は、大阪駅前のきれいなオフィスに移っただけの場所ではなく、関西などのユーザーが集まり、生成AIやデジタルツイン、VR、シミュレーション、宇宙基地建設などの最新技術を体験し、課題を相談し、フォーラムエイトの社員と一緒に建設DXを実現する方法を考える場所と言えそうだ。
| 【問い合わせ】 | |
| 株式会社フォーラムエイト 東京都港区港南2-15-1 品川インターシティA 棟21F TEL:03-6894-1888 FAX:03-6894-3888 (各営業窓口はこちらをご覧ください) E-mail : forum8@forum8.co.jp |































