プラント・工場O&Mにおける3次元点群活用
2024年7月22日

こんにちは。エム・ソフトの有村です。

2024年6月27日(木)に東京都内にて、エム・ソフトが主催する特別セミナーを開催しました。

今回は、セミナーの内容や様子について、抜粋してお届けします。

セミナーのテーマ、概要

近年、スキャナーの高性能化、小型化が進み、3次元点群データが身近になってきています。
特にプラントや工場などの現場では、建屋や生産設備を点群化して、今後の維持管理に活かすための取り組みが進んでいます。
そこで本セミナーでは「点群の活用」というテーマで、
・なるべく現地に行かずに現場の状況を把握したい
・各設備の位置を把握したい
・各種記録と設備台帳と紐づけて管理したい

という課題に着目し、点群取得の手法から活用まで事例を交えながら、導入メリットについて詳しく解説いたしました。
また、今回のセミナーではゲストスピーカーとして、実空間をデジタル化するハードウェアとソフトウェアの開発・提供を行っている、株式会社マップフォー野坂様にもご登壇いただき、最新のバックパック型点群スキャナーを実機でご紹介いただきました。

製造業・プラント業界における3D点群活用

最初は、弊社のチーフセールスである田島より、「製造業・プラント業界における3D点群活用」について説明しました。

プラント・工場のO&M(運用・保守)においては、

・現地調査や設備管理が煩雑
・作業の属人化
・紙の点検記録が効率的に活用されていない

などが問題視されています。
これらの問題を解決するために、デジタルツインの導入が注目されており、導入することで以下のようなメリットを得ることができます。

1.リアルタイム監視と管理:異常検知や迅速な対応が可能になる
2.シミュレーションと予測:最適な運用戦略やメンテナンス計画を策定できる
3.メンテナンス効率の向上:現場に行かずに設備の劣化状況を確認でき、ダウンタイムを最小限に抑える
4.リモート作業支援:遠隔地からの作業支援やトレーニングに利用できる
5.設計・改修の精度向上:3Dモデルによる干渉チェックやレイアウトの最適化が精度高く行うことができる

今回は、その中でも点群を用いたデジタルツインの特長について解説しました。

点群によるデジタルツインの特長:
・図面を使わずに現場のデータを忠実に再現できる
・非接触スキャンの安全性が高い
・絶対座標による設備の位置管理が可能
・現場の状況を確認しやすい

また、スキャン方法とその特長、実際に点群データ化までの手順などについて紹介しました。

説明用資料の抜粋

スピーディーかつ低コストな国産LiDARSLAMで空間デジタル化について

続いて、株式会社マップフォーの野坂様より、自社の歩行計測システムとその事例について解説いただきました。

株式会社マップフォーは、空間認識技術の研究開発および社会実装を推進するスタートアップ企業であり、主に3次元地図・位置推定ソリューション、環境認識ソリューション、自動運転システムインテグレーションなど、様々な事業を展開しています。

今回は、マップフォーの3D-MAPソリューションとして、3D LiDAR、IMU、GNSS、カメラを搭載した歩行計測システムについて紹介いただきました。
バックパック型の端末となっており、「すぐに」「簡単に」「高精度に」計測ができる、という特長があります。

歩行計測の特長:
1.屋内/屋外問わず、本体起動から数分で計測開始できる
2.点群生成などの処理時間が短い(計測10分に対し、点群生成は約10分で可能)
3.スマートフォンのアプリUIで計測操作が可能
4.速度/ルートの制約無く、歩行するだけで計測可能
5.公共測量レベル250/出来形測量精度といった誤差 → 5cm以内という業界水準最高精度を達成


歩行計測システムのイメージ ※マップフォーの公式HPから引用(https://www.map4.jp/solutions/mapping-localization/seams/

従来の点群技術は、「広範囲の点群計測では誤差が大きい」「処理時間が長い」「属性情報などを活用する機能がない」など、導入にあたって様々な課題がありました。
しかし、マップフォーのシステムを用いることで、「広範囲でも高精度(数cmの誤差)」「点群生成処理時間が従来の1/10」「周囲環境の属性を識別可能」という強みを生かし、これらの課題を解決することができます。

また、セミナーでは、この歩行計測システムの精度の詳細や、より点群データを扱いやすくするための後処理解析ソフトの機能、点群データを用いた物体認識の機能や検証結果、具体的な現場の活用事例などを紹介いただきました。

株式会社マップフォーのシステム、ソリューションにご興味のある方は、公式HPをご参照ください。

MAP IV | 自動運転システムに必要となる3次元地図技術の開発を中心に、走行データ…
https://www.map4.jp
自動運転システムに必要となる3次元地図技術の開発を中心に、走行データ計測、車両構築、3次元地図作成、システム開発等を行っています。

点群を活用した設備管理と点検 MONOLIST/Check+の紹介

続いて、エム・ソフトの自社プロダクトの責任者である代永より、「点群を活用したソリューション」として、エム・ソフトのMONOLIST、Check+について紹介しました。

点群活用については「リアルな3D表現が可能」「情報共有を効率化できる」「様々な応用が可能」といったメリットがあります。

しかし一方で以下のような課題もあります。

・点群は膨大なデータ量となることが多い →手軽に点群を共有・管理できる手段が必要
・用途によっては属性や分類などの追加情報も必要 →点群だけでなく、追加情報の管理機能が必須
・他システムのデータとの互換性や連携は専門知識が必要になることも多い →導入、運用のハードルが高い

こういった課題を解決する手段として、エム・ソフトが開発提供する点群デジタルツインプラットフォーム「MONOLIST」と、サービス連携によって業務をより効率化できる「Check+」について紹介しました。

MONOLISTとは?
MONOLISTは、点群を活用していつでも、誰でも、どこでも設備の位置情報を管理できるデジタルツインプラットフォームです。

設備・機器・損傷などの情報(アイテム)をWeb上で簡単に登録・管理し、様々な情報を見える化します。
各アイテムの位置情報を現場の3次元点群データと連携することができ、ブラウザ上で手軽に閲覧・共有が可能です。

MONOLISTの特長:
1.様々なアイテムをリストで一覧管理が可能
2.クラウド上で点群を管理し、Webブラウザで手軽に参照可能
3.点群データ上でアイテムの位置情報の参照や距離・面積などの測量も可能

これらの特長から、上記の「手軽に点群を共有・管理できる手段が必要」「点群だけでなく、追加情報の管理機能が必須」「導入、運用のハードルが高い」といった課題を解決します。

Check+とは?
Check+は、作業手順作成から進捗管理、報告までデジタル化するクラウドサービスです。

作業手順とチェックリストを一体化した作業計画の作成、iPhone/iPad等のモバイル端末を使った点検の実施記録、作業実績の確認や電子承認・報告書の自動出力などが可能です。
作業・記録の抜け漏れ防止、作業員の即戦力化、情報共有スピード向上など様々な課題を解決します。

MONOLISTとCheck+の連携


MONOLIST/Check+紹介資料 一部抜粋

連携機能①ARで対象の作業箇所をガイド
Check+でメンテナンス業務の計画を作成する際、MONOLISTで管理している現場の点群データやアイテムと連携させることで、各作業手順に対して位置情報を持たせることができます。
これにより、現場で作業を行う際に、作業対象のポイントをARでガイドする「ARナビゲーション」を利用することができます。

各アイテムの作業履歴を一覧管理
Check+で記録した作業結果はMONOLISTの各アイテムに自動でリンクされます。
リンクされた作業結果は、作業記録としてMONOLISTのアイテム詳細画面から確認することができるため、各作業に対するメンテナンスの履歴を簡単に管理することが可能です。

また、セミナーでは各サービスの機能の他に、化学プラント、発電所、土木工事現場などでのサービス活用事例を複数紹介しました。

MONOLIST、Check+のサービスの詳細や、活用事例等の紹介をご希望の方はぜひお問い合わせください。

お問い合わせ

各サービスのデモ

セミナーの最後には、セミナーの参加者をいくつかのグループに分け、それぞれローテーションで各サービスのデモを体験してもらいました。

今回は、マップフォーの歩行計測システムも持ってきていただけたため、実機や画面を見ることによって、さらに理解を深めていただくことができました。

製品についての質問も多くいただきましたが、セミナーの参加者どうしで、「こういう活用法があるのでは?」といったようなコミュニケーションも活発に行われておりました。

? ?

また、セミナー終了後は登壇者、参加者間で名刺交換をし、他業種間での交流を深める機会を得ることができました。

まとめ

今回は、エム・ソフト主催の特別セミナーの開催レポートをお届けしました。

点群は様々な業界で認知されつつある技術ではあるものの、導入するための課題が多く、またどのように活用すれば良いのかイメージが湧かない、といった方も多いのではないかと思います。

今回のセミナーで、マップフォーの点群取得/処理システムや、エム・ソフトの点群を用いたサービスを元に、点群活用について解説しました。
今後も私たちは製造・プラント業界向けに、点群を用いた様々な活用方法を提案してまいります。

もし点群活用についてご興味のある方はぜひお気軽にご相談ください!

また、次回の特別セミナーは9月に開催を予定しております。
ご興味のある方はぜひ参加をご検討ください!

お問い合わせ

(Visited 1 times, 1 visits today)
関連記事
Translate »