第11回 NaRDA ナショナル・レジリエンス・デザインアワード受賞結果
2024年11月18日

受賞結果

審査員の方々による厳正な審査の結果、グランプリ、準グランプリ及び3つの審査員特別賞が決定いたしました。
2024年11月15日、品川インターシティホールに於いて、表彰式を行いました。

▲表彰式の様子(2024年11月15日 品川インターシティホールにて開催)

  • グランプリ(最優秀賞)

    株式会社荒谷建設コンサルタント

    単純鋼(鉄)リベットトラス橋3連の耐震対策-橋梁構造や地盤の特性を考慮した既設橋の耐震性能評価-
    • 使用プログラム:Engineer’s Studio®

      対象の単純鋼(鉄)リベットトラス橋3連は、斜角45°を有する鋼トラス構造であり、地震時の挙動が複雑となる橋に分類され、レベル2地震後、早期の復旧が求められるため部材を弾性域内に留めることが求められた。そのため、地震時応答解析を実施し、既設の耐震性能を把握した上で必要な耐震対策を設定する必要がある。
      なお、本橋は特殊橋梁に分類される橋梁であり、耐震対策事例も少ないため、鋼橋設計や構造解析分野の学識者へのヒアリングを実施し、解析手法や条件設定、解析結果の妥当性を確認しながら検討を実施した。

       

  • 準グランプリ(優秀賞)

    NiX JAPAN 株式会社

    鋼単弦ローゼ橋の既設耐震性能評価と補強検討
    -合理的な補強を目指した解析モデルの作成-

    使用プログラム:Engineer’s Studio®

    本橋梁は、上り線が鋼単弦ローゼ桁、下り線が2径間連続プレテンションI桁+鋼単弦ローゼ桁の橋長85mであり、鋼単弦ローゼ桁区間は上下線一体構造、PC桁区間は上下線分離構造である。
    既設橋梁の耐震性能を適切に評価し、補強規模を把握する目的から、鋼部材の軸力変動の影響を考慮するためファイバーモデルの作成、橋台と梁でつながる橋脚についてラーメン橋脚として非線形モデルの作成などにより動的解析を実施した。加えて、周辺特性に注目し、橋台背面土の抵抗を考慮したモデル化を行った。その結果、梁部材にせん断耐力が不足する結果が得られ、今後の補強詳細設計を行うための基本資料となった。

  • 審査員特別賞(吉川弘道氏)
    Application of Fiber Model Award

    田渕設計

    既設RC中空橋脚の塑性化領域での耐震性能照査方法の提案
    -ファイバーモデル適用に関する課題と解決-

    使用プログラム:Engineer’s Studio®

    各実験結果により既設中空RC橋脚の柱断面については破壊形態が充実断面と異なることが明らかとなり、H24道示以降M-φ特性の適用条件は「充実断面」に限定されることになった。これに伴い、中空断面はM-φ特性に変わる照査方法が整備されていない状況である。発注機関によってはエアモルタルの充填により、平面保持の仮定が成立するとみなし塑性化領域にもM-φ特性を適用してるが、柱上端はエアモルタルの施工ができず、面内解析では塑性化する柱上端(中空部)の剛性特性の取り扱いに統一性がない状態となっている。3次元FEM解析が適用される事例もあるが、解析時間及びコストが嵩むことが問題となる。そこで、より簡易に照査が可能なEngineer’s Studio®のファイバーモデルを活用した場合の課題とその解決方法を提案する。

  • 審査員特別賞(守田優氏)
    Complex Disaster Design Award

    ナレッジフュージョン株式会社

    大規模地震が発生した場合の軟弱地盤上の橋脚杭基礎の損傷予測
    -能登半島地震による杭基礎被害および複合災害を受けて防災への提言-

    使用プログラム:Engineer’s Studio®

    今年の1月1日に発生したM7.6の令和6年能登半島地震は、各種構造物に甚大な被害をもたらした。この地震では、我が国で初めて、杭の損傷により建物が倒壊する被害が発生した。その原因は、地盤が軟弱で、建物の振動が増幅したためと考えられている。橋においても、軟弱地盤上の杭に支持されているものが多数存在している。また、能登半島では、この地震から約8ヶ月後に、記録的豪雨による冠水や土砂崩れなどにより多くの道路が被災する、いわゆる複合災害が発生した。本稿では、軟弱地盤上に建設された杭基礎を有する橋脚を対象に、静的解析と動的解析の応答の違いを確認したうえで、能登半島地震クラスの地震が起きた場合の損傷形態を検討する。さらに、大規模地震や複合災害を想定した検討を行い、大規模地震や複合災害に対する杭基礎構造物の防災への提言を示す。

  • 審査員特別賞(若井明彦氏)
    Urban Development Design Award

    東洋技術株式会社

    鉄道軌道敷近接施工影響検討
    -掘削にともなう地盤変形解析-

    使用プログラム:Geo Engineer’s Studio

    鉄道軌道敷に隣接して橋梁橋台を新設するにあたり、杭基礎のA1橋台部分を掘削する。鋼矢板土留め工を施し、切梁を設置して多段掘削する。地盤は表層から7m厚の盛土層、15m厚の粘性土、砂質土および礫質土の互層をなした沖積層、そして洪積層となっている。掘削深さは、盛土層下面の7m深を床付け面としており、切梁2段とした。鉄道軌道中心まで、掘削面から6mの距離で近接しているため、掘削にともなう地盤変形が懸念された。解析は、線形弾性のFEM解析を行い、掘削過程を考慮したマルチステージ解析を行った。本報告は、地盤変形解析結果を取りまとめたものである。

  • ノミネート賞

    オリエンタル白石株式会社

    床版取替に伴う既設鋼桁橋のFEM応力照査
    -全体モデルによる鋼橋の線形FEM解析事例-

    使用プログラム:FEMLEEG®

    鋼桁橋の既設RC床版の取替後は、一般的に床版死荷重が増加し、さらに建設当初から活荷重も増加するため、工事に伴い床版取替後の既設鋼桁橋の応力照査を実施する。本検討は、床版取替後の鋼桁の応力照査を格子解析により実施したところ、一部で応力超過が確認されたため、追加で全体モデルによる線形FEM解析を実施し、より実際に近い応力状態を再現して照査を行ったものである。解析は、施工段階ごとに分けて3ステップのモデルを作成し、それを足し合わせる事とした。

  • ノミネート賞

    株式会社建設技術コンサルタンツ

    ため池堤防の浸透流解析
    -浸透破壊および法面安定検討-

    使用プログラム:2次元浸透流解析(VGFlow®2D)

    ため池堤防の浸透破壊に対する安全性を検討するため、満水時、水位低下時の条件下で定常解析を行い、浸透破壊、パイピングに対する安全率を求めた。地層構成は、堤体部分が粘性土で、地山は強風化石灰岩を上部に風化石灰岩、石灰岩と続き、流入土砂の粘性土が介在している。基盤は砂岩と頁岩の互層となっている。検討ケースとしては、Case1はため池側に浸出面境界を設けた場合、Case2はため池側の法面が遮水シートで覆われた場合の2ケースについて比較検討した。斜面安定計算を行い、法面の安全率を求め安全性を確認した。本報告は、浸透流解析および斜面安定計算結果を取りまとめたものである。

  • ノミネート賞

    株式会社土木技研

    既設3径間連続トラス橋の動的非線形耐震補強検討
    -制震ダンパー、制震ストッパー等を用いた効果的制震対策の適用-

    使用プログラム:Engineer’s Studio®

    本橋は、供用後40年を経過した全長 434.10mの3径間連続鋼下路式ワーレントラス橋2連である。近年の大型車交通量増加状況から、過年度にはH24道示に準じ、各橋脚は単柱としての耐震補強対策が行われている。本検討では、橋梁全体モデルでの3次元動的非線形解析を実行し、現況耐震性能照査、及び、制振ダンパー、制震ストッパーを採用しての効果的なL2地震時での耐震補強対策案の検討を行った。

  • ノミネート賞

    株式会社千代田コンサルタント

    既設3径間連続非合成I桁橋の耐震補強検討
    -変則二段ラーメン橋脚の解析実施例-

    使用プログラム:Engineer’s Studio®

    本橋は、平成初期に架橋された3径間連続非合成I桁橋である。ラーメン橋脚を有しているが、山間部であるため、橋軸直角方向に山谷の斜面が存在し、変則的な二段ラーメン構造となっている。さらに斜角橋であることから、3次元的にモデルを作成し、レベル2地震時に耐震性能2を満足するか解析を行った。
    結果、現況解析では損傷が生じる結果となり、補強が必要であることが分かった。そのため、炭素繊維シートによる巻立て補強を検討し耐震性能を満足させる補強内容を算出した。

  • ノミネート賞

    有限会社エフテック

    コンクリートの劣化を反映した構造解析
    -補修・補強スペックと対策実施タイミングの最適化試案-

    使用プログラム:Engineer’s Studio®

    鉄筋コンクリート造の河川構造物について、3次元平板プレートモデルを用いてコンクリートの劣化による圧縮強度低下を反映した構造解析を行い、構造物の健全性や耐震性能の照査を行う。現状で所定の耐震性能が確保されている場合、補修・補強は当面不要と判定されるが、将来のコンクリート劣化予測値を解析モデルに反映することで、構造物の健全性や耐震性能がどの時点で損なわれるかを予測することができる。これにより、補修・補強の実施をする最適なタイミングを明確にできる。また、補修・補強の実施タイミングを最適化することが可能になれば、限られた予算内でより効率の良い実施スケジュールの構築が可能であると考えた。

概要

災害に負けない社会の構築に貢献したいという強い思いから、国土強靭化に資する取り組みを顕彰する目的で2014年に創設しました。構造解析から地盤、水工、防災に至る分野を対象とし、国土強靭化に繋がる具体的な事例と成果を一堂に集め、情報提供および技術研鑽の貴重な場として開催しています。

詳しくは、フォーラムエイトのウェブサイトで。

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