最新Keplerグラフィックス搭載のThinkStationでAutoCAD2014を試した!
2013年6月11日

ThinkStation完全検証LABO ~最新Keplerグラフィックス搭載のThinkStationでAutoCAD2014を試した!
NVIDIAの最新アーキテクチャ「Kepler」を採用したグラフィックスカードを搭載したThinkStationが登場した。グラフィックのパフォーマンス向上にも期待するとともに、もうひとつ気になるのが互換性や安定性。AutoCADの最新版であるAutoCAD 2014で徹底的に動作を検証してみた。

新しいアーキテクチャ、「Kepler」

最初に「Kepler(ケプラー)」の説明をしておこう。NVIDIAの最新アーキテクチャーで、性能はもとより省電力性も考慮した設計となっている。GPUの演算構造も変更されているため、単純に高速化しただけではなく、処理の仕組みも変化している。

ThinkStationE31(左)と、Quodro K600(中)、Quadro K2000(右)  
ThinkStationE31(左)と、Quodro K600(中)、Quadro K2000(右)  

Keplerアーキテクチャーのテクノロジーは、グラフィックチップの中で、コントロール・ロジックよりもプロセッシング・コアに大きな割合のスペースを適用したこと。要するに実際に計算をする部分の割合を高めたということになる。

また、ダイナミック並列処理を採用、従来は並列処理を行う際、CPU側からの制御で命令をプロセッシング・コアに振り分けていたが、グラフィックチップ側で最適に振り分けるようになった。

処理方法で変化があったほかは、同時画面出力数の増加や、より高い解像度の出力が可能になったこと。さらに省電力化も進んでいる。
であれば、KeplerアーキテクチャーのグラフィックスカードをThinkStationシリーズに搭載すれば、従来よりも高速化が可能になり、出力するモニターの数が増え、さらに解像度も高まった上で、消費する電気は少なくなる、ということになる。

パフォーマンス増加は若干だが、環境性能はおどろくほどアップ

そこで、ベンチマーク試験を行った。比較したのはKepler世代となるNVIDIA Quadro K2000とQuadro K600、前世代となるQuadro 2000。レノボのThinkStation E31に装着、「AutoCAD 2014」ベンチマークをCADのエキスパート集団であるユーザーグループのAUGI.jpのハードウェア担当者に実施していただいた。

ThinkStation E31と各グラフィックスカードのベンチマーク

※すべての環境で動作を保証するものではありません。

使用したThinkStation E31のスペック
OS Windows 7 Professional
CPU インテル® Xeon® プロセッサー E3-1280 V2 (3.60GHz)
メモリー 8GBメモリー(4GB×2)
ストレージ 180GB SSD

条件は以下に記載したとおりだが、Quadro K2000、Quadro 2000と同じミドルレンジ同士で比べた場合、Quadro K2000のパフォーマンスが向上している。ただ、この数字だけを見ると、前世代のグラフィックスカードからほとんど進化がないと思う向きもあるだろう。しかし、そうではない。

ベンチマークの数値が大きく変わらない理由として、ソフトウェアが新しい世代のグラフィックスの特性を最大限利用する作りになってなく、現在のバージョンではKeplerアーキテクチャーを活用しきってないという面もある。そして、処理性能のベンチマークだけでは判断できない、Keplerアーキテクチャーの別の面の進化がある。

消費電力は約2割ダウン

まず、Keplerアーキテクチャーの世代になって消費電力が減少している。Keplerだから消費電力が下がっているのではなく、直接的には半導体の製造プロセスの進化による面が大きいが、結果的に従来より約2割減っている。数値で言えば従来のNVIDIA Quadro 2000が62Wだったことに対し、最新のNVIDIA Quadro K2000の消費電力は51Wとなる。
これだけでも少なくなれば、業務で使い倒すコンピュータの場合、電気代のコスト面ではじわじわと響いてくる。現在、CPU等の省電力化が進み、コンピュータのパーツの中ではグラフィックスカードの消費電力の大きさが目立ってしまう状況ではなおさらだ。今後、電気代がどこまで値上がりするかわからない社会情勢だけに、メリットは少なくないと言えるだろう。

消費電力比較

グラフィックボード 消費電力
NVIDIA Quadro 2000 62W
NVIDIA Quadro K2000 51W

また、日本では当分の間、夏の電力逼迫によるトラブルに備え、大事な作業をするワークステーションに無停電電源装置(UPS)は当たり前という事業所も多い。UPSを円滑に動作させるためには、UPSの定格出力内に機器の総消費電力を収める必要があるばかりでなく、消費電力を下げれば下げるほど、停電時のバックアップ時間が延びて安心して作業の中断処理が可能になる。

以上のことから、コンピュータ全体の消費電力抑制は現在、欠かせない重要なスペックのひとつ。となれば、電力を消費するパーツであるグラフィックボードの消費が2割近く減るということは大きな意味を持つのではないだろうか。

フルHD液晶の4枚分となる「4K」画面へ出力が可能

30インチモニター「ThinkVision LT3053p Wide」
30インチモニター「ThinkVision LT3053p Wide」

最近、普及が進んでいる高精細かつ大画面の液晶モニター。レノボでも30インチの大きさで解像度が2560×1600ドットというモニター「ThinkVision LT3053p Wide」がたいへん好評をいただいている。

高精細かつ大画面の液晶の便利さを知ってしまうと、もう元には戻りたくはないという声は多い。今後も高精細化、大画面化がますます進むという点は、誰も異を唱えることはないだろう。

新しいKepler世代のグラフィックボードはこの点もクリアしている。現在人気急上昇中の2560×1600ドットや2560×1440ドットの高解像度モニターは前の世代であるQuadro 2000でも対応しているが、普及目前といわれる3840×2160ドットの“4K”解像度はKepler世代のみの対応だ。

4Kとはハイビジョン放送の次に来るとされる次世代テレビの解像度で、すでに4Kの高精細映像を表示できる大型液晶テレビが登場し注目を集めている。そして、高価ながらコンピュータのモニターとしての4K解像度モニターも登場済みだ。
現在は4Kモニターはとても高価でなかなか手を出せるものではないが、近い将来、低価格化が進み、作業用として広く普及することは確実と言えよう。その際も、ワークステーション側のハードウェアの変更なしに使える点は見逃せない。

続きは、レノボ・ジャパンのウェブサイトで。

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