土木・インフラ業界でCIM導入が盛り上がりを見せています。
そこで、CIM向けソリューションを提供しているオートデスクの井上氏と、 CIMの達人である芳賀氏に
CIM導入のメリットや 注意すべきポイントについて教えていただきました。
国土交通省が旗振り役となってCIM導入を推進
Civil 3Dを使って制作された3D地形データ |
土木・インフラ業界で、CIM導入の機運が高まっている。
CIMとは、Construction Information Modelingの略で、建築分野で普及してきたBIM(Building Information Modeling)の概念を土木・インフラ分野に適用することで、土木・インフラ関連の建設効率の向上や維持管理に役立てようというものだ。
CIMという言葉が聞かれるようになったのは、ここ数年のことだが、民間主導で普及が進んできたBIMと異なり、CIMは国土交通省が旗振り役となって、導入を推進している。CIMに適した3次元CADは、さまざまなベンダーから登場しているが、その中でも大きなシェアを獲得しているのが、オートデスク社の製品群だ。
オートデスクは、AutoCADを初めとする汎用CADソフトの最大手であるが、CIM向けソリューションもいち早く提供してきた。オートデスクのCIMソリューション担当スペシャリストである井上修氏は、日本のCIM導入の現状について、次のように語る。
「国土交通省が2012年12月に出した、これから取り組んでいくべき重点課題の中に、CIMを使って建設システムの生産性向上を進めるということが挙げられています。CIMのコンセプト自体は昔からありますが、これまでは地形の3次元データを用意することが大変でした。しかし、国土地理院が日本全国の3次元標高データを無償で公開するようになり、地形データを手軽に入れられるようになったことも、CIM導入を強く後押ししています」。
また、震災復興関係業務もCIMを利用して進めているところが多いという。CIMを利用すると、ビジュアライゼーションが容易なため、周辺住民へのプレゼンなどに威力を発揮するのだ。
CIMマネージャーの育成が急務
オートデスク株式会社 技術営業本部 土木・空間情報ソリューション スペシャリスト 井上 修 氏 |
CIM導入における最大の課題は、やはり利用者に対する教育だと井上氏は指摘する。
「教育というのは、もちろんソフトウェアの使い方もありますが、3次元の考え方そのものですね。今までの技術者は2次元の図面を書いていましたが、これからは3次元のモデルをベースにしますから、考え方そのものが変わります」。
そこで求められるのが、プロジェクトのどの部分にCIMを導入して、どう活用することが最も有効か、そのマネージメントを行えるCIMマネージャーだ。単にソフトウェアの使い方を理解するだけでなく、その上のレベルでプロジェクトを統括できる人材の育成が急務となるだろう。
CIM導入に最適な「Autodesk Infrastructure Design Suite」
InfraWorksで3D再現された東京の街
※この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の 衛星画像提供:日本スペースイメージング株式会社 3D建物モデル(一部)提供:朝日航洋株式会社 |
BIMの場合、一つの3次元CADソフトだけで業務が完結することが一般的だが、CIMでは、複数のソフトを組み合わせることで、より生産性が向上することが多い。
しかし、複数のソフトを別々に購入するとコストがかなりかかってしまう。そこでCIM導入を検討している方にお勧めしたいのが、オートデスクのCIMソリューションスイート「Autodesk Infrastructure Design Suite」である。
Autodesk Infrastructure Design Suiteは、Standard、Premium、Ultimateの3つのエディションがあるが、Standardは、基本計画や調査に向いたエディションで、Premiumは包括的なBIM/CIMソリューションであり、モデルベースの土木や構造、公共事業の設計解析、ビジュアライゼーションなどが可能になる。最上位のUltimateは、施工管理や機械・電機・配管エンジニアリングなどに特化したツールが含まれる、高度なソリューションパッケージである。
Premiumには、オートデスクのCIM向けツールの中でも最も利用頻度の高い、「Autodesk Revit Structure」、「Autodesk AutoCAD Civil 3D」、「Autodesk InfraWorks」が含まれており、CIMを本格的に導入するのなら、Premium以上がお勧めとのことだ。各ツールの使い分けについては、土工はCivil 3Dが、橋やトンネルなどの構造物にはRevitが、ビジュアライゼーションや概略設計にはInfraWorksが適しているという。
詳しくは、レノボ・ジャパンのウェブサイトで。