Tekla News 2013 秋号を発刊
2013年12月17日

今春リリースしたTekla Structures19は、日々変化を続ける建設業界のニーズに対応しており、プロジェクトを可視化し、リスクを低減するための革新的なソリューションを提供します。またテクラの採用により、ワークフローの効率化や生産性を向上させた「スカンジナビアモール」プロジェクトなどの事例もいくつかご紹介致します。

Tekla Structures 19 新機能

Tekla Structures 19では、建設プロジェクトの各工程を効率化するのに有効なツールや、折板の形状や角度を自由にモデリングする機能、ひとつの部材として扱うことができる部材合成機能など、様々な新機能・改善機能が追加されています。本バージョンでは、現場打ちコンクリート向けの新機能の登場により、設計者や現場作業者はモデル作成や作業計画、打設作業をより正確に行うことが可能になりました。また、Tekla Structures 19はWindows 8にも対応しています。
 

 

モデル作成、作業計画、管理を効率化するための改善機能

 

 

モデルオーガナイザー: 部材や製品種別、出荷単位、建て方の工程ごとにモデルを整理、分類できるツールです。プロジェクトに必要なすべての材料に関する積算、正確な作業工程のプランニングに効果を発揮します。また、オブジェクトブラウザー機能を利用すると、オブジェクトの重量や体積情報等を容易に取得できます。

溶接箇所の可視化:溶接部の形状や詳細情報の表示方法が改善され、溶接情報の確認や伝達がよりスムーズになります。

部材の合成: 複数の部品で構成されたパーツを単品部材として合成することで、複雑な形状のモデリングが容易になり、図面作成や製作段階において、単品部材としての正確な情報を取り扱えるようになります。

断面図作成:断面図を作成する方向を可視化し、ビューの枠のハンドルや引き出し線がより分かりやすく表示されることで、断面図作成が容易になります。

図面ツール:Tekla Structuresの図面編集機能を向上させる図面ツールがより使いやすくなり、ユーザーの意図に沿った図面表現を効率的に作成できるようになりました。

 

コラボレーション:Tekla Structures 19では、工作機械とのダイレクトリンクや、その他のソフトウェアとの互換性が向上しました。IFC出力機能の強化により、例えばらせん状の鉄筋や傾斜を含む複雑な鉄骨構造もエクスポートすることが可能となりました。

IFC形式でエクスポートするらせん状の鉄筋

 

現場打ちコンクリート向け新機能

Tekla Structures 19では、コンクリート打設のための新しい機能が加わりました。これにより、設計者や現場作業者は、モデル作成や作業計画を正確かつ効率的に行うことが可能になります。鋼構造のみならず、RC構造の設計、施工をひとつのBIMソフトウェアで統合することにより、建設業者、構造エンジニア、鉄筋加工業者など多くの関係者の業務効率が飛躍的に向上します。
 

BIMのワークフローとして、まず詳細な建築情報を含むコンクリートのBIMモデルの作成から始めますが、 コンクリートのみならず、密集した鉄筋を同時にモデル化することができます。さらに、コンクリートの打ち継ぎを可視化することで、コンクリートと鉄筋がいつどこでどのくらい必要かといった正確な情報を得られるため、精度の高い見積りや作業計画の意思決定が可能になります。 また現場において、作業者がモデルで詳細を確認しながら、コンクリートの打設作業を行うこともできるようになります。

 

Tekla Structures 19.1リリースのお知らせ

9月18日、新バージョンとなるTekla Structures19.1をリリースしました。本バージョンは、お客様から頂いたご要望が数多く反映されています。また、最新のサービスリリースでは、いくつかの機能改善が行われています。Tekla Structures19.1は、今春リリースしたTekla Structures19.0のデータとの互換性を保っています。

ラスベガスからのご挨拶 – 「第 6 回トリンブル・ダイメンションズ」

昨年11 月にラスベガスで開催された「トリンブル・ダイメンションズ」に、Trimble Buildingsグループのメンバーとしてテクラも参加しました。トリンブル・ダイメンションズは、ネットワーク構築、教育、実践トレーニングを目的とした会議で、土木、GIS(地理情報システム)および地図データ作成、エネルギー、インフラ、建築などの分野の専門家が数多く参加しています。

今回は、企業ビジョンや利益率の向上、優れたリーダーシップの構築法、建築業界での革新的事例など、様々なトピックが取り上げられました。 トリンブルが主催する本イベントは、約80 カ国からおよそ3,500 人 (うちトリンブル関連会社から 750 人) が参加し、テクラをはじめ、近年加わったグループ企業の全体像をテーマにした講演が行われました。トリンブルでは最近、建設のトータルワークフローをサポートする新たなDBOプラットフォーム(Design:設計、Build:施工、Operation:運営) を発表しており、各セグメントの強みを生かした新しい組織体制が整備されています。

Trimble Buildingsの展示スペースでは、テクラはMeridianやSketchUpなどと共に中心的な位置を占め、グループの持つ幅広いソリューションが紹介されました。トリンブルは今や、ロボティック測量器やレイアウトツールはもちろん、様々なソフトウェアソリューションを提供しています。

テクラからは、弊社製品に関する内容をはじめ計 8 回のプレゼンを行い、本イベントで強い存在感を示すこととなりました。来場したユーザーからは、テクラのこれまでの取り組みに対し、多くの高い評価を頂いています。詳細な建築の設計情報を共有し、取引先を含めた関係者間でのスムーズなコラボレーションを実現するさまざまな機能は、業界関係者にとって革新的なソリューションです。

3 日間にわたり、テクラのブースにはトリンブルグループからはもちろん、ユーザー、業界アナリスト、教育関係者などの来訪者が絶えることなく、今後の方向性などに対して活発な議論が展開されました。


会議の様子

 

 

大手コンクリート製品メーカー CRH社、テクラを採用

CRH社Structural Concrete Europe部門(以下、CRH社) とテクラは、長期にわたる戦略的パートナーシップ契約を締結しています。CRH社は、製作工程における生産性向上のため、テクラのBIMソフトウェアを採用しました。コンクリートの製作のみならず、エンジニアリングや図面作成にも注力している 同社 は、建築構造物用コンクリート部材の製造業界では特殊な存在といえるでしょう。
 

CRH社は、テクラの採用に至るまでに様々なソフトウェア製品を検討、評価しています。

 

– 「CRH社にとって3次元設計への移行は、ヨーロッパにおけるプレキャストコンクリート業界での新たな道を切り開く、戦略上重要な採択と言えます。当社としてもこれまで以上に強力な製品を開発していくつもりです」と、テクラの上級副社長 Risto Rätyは述べています。

Open BIM への取り組みに着目し、テクラの採用を決定
 

テクラは Open BIM™ の促進に協力しています。Tekla Structuresは、生産管理システム (ERP) とオートメーションソフトウェアとのインターフェースを備え、他のアプリケーションとの連携が可能です。

CRH社にとってテクラのこの取り組みは、他社のソフトウェアに比べて非常に大きなメリットがありました。同社は独自のメソドロジー(開発方法論)を研究する専門部署を設け、今後ヨーロッパに19 拠点ある工場で、テクラのソフトウェアを順次導入していく予定です。

 

ピースブリッジ:南ウェールズから北アイルランドまでの輸送にもBIMを応用

北アイルランド、デリーのフォイル川に架かるピースブリッジ(Rowecord 社)は、歩行者と自転車のための S 字型自碇式吊橋です。このプロジェクトでは、設計から自社工場での部材製作、輸送までの全工程にBIMを適用しました。

複雑な構造や曲線の多いピースブリッジの設計では、テクラモデルに基づき、一般図と製作図が作成されました。また、大部分が工場製作であったため、同社は現場での仮組立を検討し、その情報をモデルに含める必要がありました。さらに輸送用トレーラー内の各部材の配置から、部材の固定具に至るまでモデル化されています。部材はおよそ65トンのユニットごとに製作され、南ウェールズから北アイルランドまで(陸路480キロ、海路170キロ)の運搬作業も、BIMの応用によってスムーズに行われました。

 

 

 

BIMによる事前検証とデータ共有 – ニューヨーク市警察学校

現在、6億5,600万ドルの工費を掛けて、ニューヨーク州クイーンズ区にニューヨーク市警察学校の建設が進んでいます。 プロジェクトの初期段階では、68,000㎡弱の敷地に、教室、オフィス、ロッカールーム、ジムが建設されます。 開始当初から、このプロジェクトに参加するあらゆる業種の企業が、Tekla BIMsightによるBIMコラボレーションを行っています。

 

構造のモデリングを担当したPDC社は、テクラから無償で提供されているTekla BIMsightが、複数のフォーマットで作成されたサイズの大きいファイルを取り扱うことができるにも関わらず、操作性が良く、習得も容易であることを知りました。 同社はすぐに、このソフトウェアを鉄骨ファブリケーターであるCives Steel社に紹介したところ、プロジェクトコーディネーターであるBrady Dobbin氏は感銘を受けたといいます。

 

「Tekla BIMsightモデルを使うことで得られた最大のメリットは、現場事務所において正確な3次元表示で構造モデルを確認できることでした。検討したい箇所をあらゆる角度から表示し、調べたい部材マークも確認できるため、実際の鋼材に貼ってあるラベルを必死になって見たり、施工図を確認する必要がありません」と、Dobbin氏は述べています。

 

Tekla BIMsightを使用することで、建設業者はバーチャルな3次元環境でコミュニケーションをとることが可能になりました。 建設会社であるStonebridge社にとって、現場でモデルを使った可視化やコミュニケーションを行えることは大きなメリットがあります。タブレットPCを使うことで、トレーラーの中や現場でも利用することができました。

 

構造のみならず、設備などを含めたプロジェクトの全体像が、モデルにより可視化されているため、他社の担当範囲との取り合いまで検証することが可能となり、大きなコストがかかる現場でのやり直しも避けることができました。 Tekla BIMsightは使いやすく、短期間で習得できるため、現場の担当者にも好評です。 プロジェクトが進捗するにつれて、各関係者はTekla BIMsightから多くのメリットを実感しています。 例えば、設備モデルをインポートして干渉チェックを行い、一部が梁と交差していた配管、ダクトの調整を行いました。

 

ひとつのBIM作業領域に、複雑で高価な3次元ソフトウェアプログラムが複数使用されるというケースは少なくありません。この場合、チーム内でのソフトウェアの統一が難しくなり、それらの持つコラボレーション機能を最大限に発揮することはほとんど不可能になります。PDC社の営業開発マネージャーであるDavid Bailey氏によると、Tekla BIMsightの最も重要な特性はその使いやすさにあるとし、多様なメンバーが集まるチームにおいて、スムーズな導入を実現しています。

 

Bailey氏は、「チーム全員が3次元モデルのコラボレーションによるメリットを享受するためには、『GLUE』が重要だと言えるでしょう」と述べています。GLUEとは、以下のことを意味します。
入手しやすい(Easy to Get)
習得しやすい(Easy to Learn)
使いやすい(Easy to Use)
誰にとっても(For Everyone)

 

スカンジナビアモール プロジェクト事例(Ruukki社)

 

スウェーデンのストックホルムに建設されている「スカンジナビアモール」は、敷地面積約10万m2を誇るスカンジナビア半島最大規模のショッピングセンターで、2015年末にオープンを予定しています。この大規模なプロジェクトに必要な大量の鉄骨の製作および建て方を、総合建設会社のPeab社から受注しているのがRuukki社です。規模が大きいために、初期段階から様々な課題の検討が必要となりますが、Ruukki社は慎重に他社の領域との調整を行っています。

 

Ruukki社は10年以上前からテクラを導入しており、現在はプロジェクトの設計・管理において、有効的にテクラを活用し、独自のテクラ環境を構築しています。 同社によると、このような巨大プロジェクトにBIMは不可欠なのです。

スカンジナビアモールのレイアウト

 

「スカンジナビアモールプロジェクトは規模が大きいため、テクラの機能を最大限に発揮することができます。弊社では設計、製作、施工、プロジェクト管理の各場面で、作業計画やロジスティクスの検討、レポート作成、社内コミュニケーションの用途でテクラを利用しています」と、Ruukki社のプロジェクトディレクターとして本プロジェクトの指揮を執るMinna Kuusela-Opas氏は述べています。

 

鉄骨部材の設計ならびに製作は、4カ国で行われています。Ruukki社の工作機械はテクラモデルとのインターフェースを持つため、工場での作業工程の短縮と簡易化を実現しています。Rukki社では、複数の設計者が同時並行でモデルを編集し、その情報を活用することで、ワークフローの効率化と生産性向上、エラーの低減に成功しました。これによりテクラ導入前には想像もできなかったほどの効果を得ることができました。

詳しくは、テクラのウェブサイトで。

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