UAVの空撮で施工管理を効率化する新技術を開発
2015年4月28日

オートデスクと米イリノイ大学が UAV で撮影した写真で施工進捗管理を効率化させる 新技術を開発

大成建設がダム工事の現場で効果を実証

オー トデスク株式会社と University of Illinois(米イリノイ大学)はこのほど、土木工事の施工進捗管理をより効率的に行うための新しい手法を共同で開発しました。この手法は、2014 年 11 月から大成建設株式会社が高知県安芸郡・和食ダムの工事現場などで実務試験を行っており、施工進捗管理業務の品質および施工生産性の向上について一定の成 果を出すことができましたのでお知らせします。

今回開発した手法は、UAV(無人航空機)で撮影した工事現況の写真から精度の高い BIM/CIM モデルを作成し、現況の把握と施工の進捗管理を簡単な作業で効率的に行えるようにするものです。各社の役割は以下の通りです。

イリノイ大学: 写真から精度の高い点群データを生成するアプリケーションの開発

オートデスク: 実証実験の計画と結果の分析

大成建設:    イリノイ大学が開発中のアプリケーションとオートデスクの CIM アプリケーションを使用して、和食ダムなどにおいて施工管理の実証実験と効果測定を実施

作成された 3D モデル
土量算出例

現 在の土木工事の進捗管理は、専門業者が 3D スキャナなどで地表面を定期的に測量して、その変化を計算・記録して行うのが一般的です。測量には専門の機材とスタッフが広範な工事現場全体を何日もかけ て行う必要があり、さらにこれを工期中繰り返しますので、時間も手間もかかります。

これに対して今回開発した手法では、UAV とデジタル技術を活用して計測にかかる手間と時間を低く抑えながら、簡単な操作で精度の高い地表面と構造物の位置情報と、施工の進捗度をコンピュータ上で 可視化させて管理することができるため、工事全体の大幅な効率化が期待できます。今後、実証実験を継続して結果を見極めながら、建築分野でもこの手法を適 応させる研究を継続していきます。

【和食ダムで行っている実証実験の手順】

  1. UAV に搭載したデジタルカメラで現況を撮影
  2. 写真をイリノイ大が開発したアプリケーションに取込み、3D の位置情報(点群データ)を計算
  3. 3D 位置情報を「Autodesk ReCap 360™」や「Autodesk Civil 3D®」に取込み、CIM モデルを生成。400 平米ごとの計測データ(座標)を属性情報として取得
  4. CIM モデルから盛り土/切り土量、土量差分の体積などを自動的に計算。また、自然地形との境界や構造物を自動的に判別
  5. 現況の形状や土量の変化から、進捗を自動的に計算し、今後の工事予定を確認

【これまでの成果】

  • これまでより短時間かつ少ない手数で精度の高い計測データを取得できるようになった。
    • UAV を使用した現況撮影とデータ処理で、1 回にかかる時間が従来の 1 週間から最短半日に短縮。オペレーター数は従来の数名から最少 1 名で可能に。
    • 撮影した画像から得られた位置データの最大誤差は± 10cm。土量算出では、従来の地表面を 10m~25m 間隔で断面抽出して算出する平均断面法に対して、地表面を数 cm 間隔の点群データにより全点管理するため、土量変化を高精度に把握することが可能。
  • 現況の計測を行う頻度を増やすことにより、進捗把握の情報が増加。これにより、協力会社と工事計画の確認と変更の検討を行いやすくなった。
  • 現況データや進捗管理データは「Autodesk Civil 3D」や「Autodesk InfraWorks™」で利用することができるので、その後の工事計画の確認や変更の検討をビジュアルに行えるようになり、協力会社とのコミュニケーションの質が向上した。
  • 土捨て場、機械の移動、車両用道路の変更などの検討と、協力会社への伝達をより頻繁に行えるようになった。

Autodesk ReCap 360: 点群データの可視化と編集を行うアプリケーション Autodesk Civil 3D: 土木設計アプリケーション Autodesk InfraWorks: 都市開発や土木・インフラ整備などのための CIM アプリケーション

以上

詳しくは、オートデスクのウェブサイトで。

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