中国の建設会社、3Dスキャナーで既存ビルの配管BIMモデルを作成
2019年1月8日

FAROは次のステージへ。従来型の建設会社のための新しいコンピテンシー を実現します

FAROは次のステージへ。従来型の建設会社のための新しいコンピテンシー を実現します

通常は、建設プロジェクトは竣工すれば仕事は終わりです。けれど、より大きな枠組で見れば、プロジェクトの竣工は建物の全体的な建設ライフサイクルにおける次の段階の始まりにすぎません。建設業界では、この新しい視点を取り入れて、建設段階の先にある機会─たとえばリノベーションや運営管理、安全モニタリングを含めたプロジェクト─に狙いを定めるケースが増加しています。

この前向きなアプローチに賛同する会社のひとつが、中国・上海を拠点とする定評ある建設企業、舜元建設(集団)有限公司です。2005年5月に設立された舜元建設は、認定を受けた全国的なハイテク企業であり、BIMの実施モデル企業にも指定されています。同社の工学研究所は、従来型の建設技術を基礎にして、BIMに基づいた情報管理を実施するための革新的な手法を積極的に探っています。舜元建設は、建設管理、プロジェクト統合、最適化の分野でのデジタル設計の活用を推進することで、ムダのない管理と技術革新を特色とする技術工学企業になるという同社のビジョンを実現したいと考えています。

新しい機会を見抜く力

上海ディズニーリゾートや上海タワーといった大規模プロジェクトが相次いで竣工したことで、上海での同規模の開発需要は減少しています。しかし一方で、古い建物のリノベーションや施設の維持管理を含めたプロジェクトの需要は急速に高まっています。こうした市場トレンドに対応するため、舜元建設はリノベーションプロジェクトの精査を始めました。

同業他社との交流を通して、舜元建設はリノベーションプロジェクトの予備的な理解を得るとともに、3Dレーザースキャン技術に強い関心をもつようになりました。舜元建設のバーチャル設計・建設(VDC)センターの部門責任者を務めるJin Ge氏は、レーザースキャナーに取り組み始めた頃のチームの経験をふり返り、「延安路トンネルのプロジェクトでは、トンネルが1980年代に作られていたせいで図面が手に入りませんでした。情報がないために、維持管理や再建の実施が非常に困難な状態でした。最終的なわが社のソリューションは、レーザースキャナーを活用して現在の状態のスキャン画像を手に入れることでした。そうしてようやく必要な再建作業が実施できたのです」と語りました。

またJin氏は、「しばらくして、今度は浦東にある5つ星ホテルのリノベーションプロジェクトに参加しました。当時、ホテルの施設の多くは老朽化していて、地階はぼろぼろ、自動駐車システムはまともに機能しませんでした。こうしたことは、どれも高級不動産という位置づけに似つかわしくありませんでした。このときも、図面が欠けているという同じ問題に遭遇しました。実際の現場状況が竣工図に示されているものとまったく違っていたのです。実際、こうしたことは中国ではよくあります。わが国の建物は築20年以上の古いものが多いですから」と話しました。

徹底した調査を踏まえて、舜元建設の工学研究所のチームは、計測ニーズを満たすために3Dレーザースキャナーに投資することを決断しました。チームは最初から、FAROの3Dレーザースキャナーについて問い合わせました。ほかのプロジェクトを運営しているときに知っていたからです。 Jin氏は、「リノベーションプロジェクトの差し迫ったニーズに応えるためにレーザースキャナーを購入しましたが、その決断の背後にはもっと大きな動機がありました。われわれの研究チームは当社の将来的な機会を見いだそうとしており、レーザースキャナーを使ってさらなる応用の可能性を探ろうとしたのです」と話しました。

FARO 3Dレーザースキャナーで室内空間をスキャンしているところ。

FARO 3Dレーザースキャナーで室内空間をスキャンしているところ。

リノベーションプロジェクトへの応用

舜元建設が最近引き継いだリノベーションプロジェクトで、チームは、数年前に完成しながらまだ入居が行われていないオフィスビルに取り組みました。上海・閔行区にあるこのビルは、総床面積1万㎡以上、地下1階、地上6階の建物です。舜元建設のチームはまもなく、ビルの実際の状況と竣工図にずれがあることを発見しました。しかも、ビルの配管の一部は設計仕様通りになっていなかったのです。

こうした理由から、プロジェクトのオーナーは、レーザースキャナーを使って現場の点群モデルを作ってほしいと言ってきました。そうすれば、リノベーションプロセスでBIM技術を活用し、電気機械の配管やあき高などが最適化できるからです。

軽量のFARO 3Dレーザースキャナーを現場検査で使用。

軽量のFARO 3Dレーザースキャナーを現場検査で使用。

FARO 3Dレーザースキャナーを使って、舜元建設はプロジェクト現場で何度もスキャンを行い、ビル内外の実際の状況に関するデータを得ました。チームは、ビル全体のデータ収集プロセスをわずか10日で完了しました。FARO 3Dレーザースキャナーは携帯可能なため、プロジェクト現場のどこにでも簡単に持っていけ、組立からスキャンまで1人で行うことができました。この特徴だけでも、使用者にとっては大きな時間の節約になり、労力の軽減となりました。

「全体としてのユーザー経験にはたいへん満足しています」と語るのは舜元建設のプロジェクトエンジニア、Jiang Ziguo氏です。Jiang氏は、「通常、わが社では1日8~9時間、10日間以上連続してスキャンを行います。そんな過密なスケジュールでもレーザースキャナーのパフォーマンスはとても安定しています。これは予想以上のことでした」と話しました。

オフィスビルプロジェクトでFARO 3Dレーザースキャナーで取得したスキャン画像。

オフィスビルプロジェクトでFARO 3Dレーザースキャナーで取得したスキャン画像。

スキャンデータから生成した配管図。

スキャンデータから生成した配管図。

FARO 3Dレーザースキャナーはシール設計で、IP54規格に準拠しています。耐チップ機器は防塵・防水で耐久性も高く、砂漠や極地域のような苛酷な環境でもすぐれた性能を発揮します。

さらに、FARO 3Dレーザースキャナーはその場での補正機能とHDRフォトオーバーレイ機能を搭載しているため、毎回確実に、高品質のスキャンデータが得られます。こうしたソリューションを使って、舜元建設のチームは、再現性の高い点群データと完成したビルのデジタルモデルを得ることができました。このデータを使って完成後のビルの2D竣工図を作ることもでき、プロジェクトのオーナーから託された要求に見事に応えることができたのです。

さらなる可能性を探る、運営管理のニーズ

リノベーションプロジェクト以外に、舜元建設の工学研究所チームは運営管理の仕事も研究しています。実験として、チームはFARO 3Dレーザースキャナーを使って舜元センター(舜元企業発展大厦)全体の3D点群データを収集しました。将来のリノベーションや運営管理ニーズを予想してのことです。

1秒間に97万6,000点を集めることができ、色解像度は最大で1億6,500万画素というFARO 3Dレーザースキャナーを使えば、ごく短時間で高品質なスキャンデータを得ることができます。この性能によって、さらなる可能性に向けた予備的なデジタル基盤がプロジェクトチームに提供されます。

新たに立ち上げられた舜元センターは、舜元建設による施設の運営管理分野への進出の縮図です。舜元建設は、同社が技術的に達成した様々なものを組み合わせることで、施設の運用管理のためのプラットフォームを独自に開発しました。このシステムは、敷地内全体のモデリングデータの運用をサポートするだけでなく、弱電系統と連動し、電気水道の消費量をリアルタイムで記録しながら、同時に従来型の不動産管理機能も引き受けます。

Jin氏は、「たとえばどこかの部屋の電球の調子が悪い場合、このシステムは自動的にアラームを作動させて、ビルの中の正確な場所を示してくれるのです」と語りました。

また、Jin氏は誇らしげに顔を輝かせ、「こうした仕事のほかに、また別のタイプの要望も受けています。なかにはFARO 3Dレーザースキャナーと併せてドローンを使わなければならないものあります。不動産のオーナーは、データの収集をわが社に委託しています。資産の3Dビジュアル管理に向けた中央管理プラットフォームに入力するためです。こうした試みは長期的なプロジェクトで、わが社では2~3年かかると見込んでいます。たいへんな数の不動産と複雑なデータが関わってくるでしょう。まだ予備段階ですが、うまくいくという自信は十分にあります」と話しました。

舜元建設(集団)有限公司の概要

舜元建設(集団)有限公司は、中国・上海を拠点とする定評ある建設会社です。2005年5月に設立された舜元建設は、認定を受けた全国的なハイテク企業であり、BIM実施のコンサルティングも行っています。同社の工学研究所は、従来型の建設技術を基礎にして、BIMに基づいた情報管理を実施するための革新的な手法を積極的に探っています。舜元建設は、建設管理、プロジェクト統合、最適化の分野でのデジタル設計の活用を推進することで、ムダのない管理と技術革新を特色とする技術工学企業になるという同社のビジョンを実現したいと考えています。

舜元建設(集団)有限公司の詳しい情報は www.sunyoungchina.cn までお問い合わせ下さい。

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