バルフォア・ビーティー社による建築現場の次世代検査
2020年3月9日

レーザースキャナートータルステーション活用事例(GTL-1000)

Balfour Beatty_GLS-1000

 

 建設プロジェクトを実現するには、出資者たちとの合意が必要で、中でもビル建設では、制限のある空間に複雑で緻密な構造デザインが要望されることがある。そのような現場では、ミスが起こることも珍しくなく、しかも、そのミスの修正に何年もかかり多額の予算を費やす結果となることもある。  現在の技術を使えば、検査のための精密な現況モデルを作成し、ほぼリアルタイムに設計との乖離を比較することで、そのミスを竣工前に発見することができる。  それらのミスを防ぐことはプロジェクトを成功させるために不可欠であり、効率と生産性がそれらの重要な要素となる。こうした課題に対し、トプコンは英国大手建設会社バルフォア・ビーティー社へ英国サリー州の建築現場において効率と生産性を高めるための検査工程を改善する支援を行った。
クーパーズ・ヒル

現場はクーパーズ・ヒル。2017年から開始されたその工事は、約8万坪という広大なマグナ・カルタ公園内にある、今まで学生宿舎として使用されてきたビクトリアン・ゴシック様式の建造物に、古の趣は残しつつ最新の鉄筋構造を与えて、78部屋の高級な高齢者用集合住宅へと改修する大規模な工事である。

同社の作業チームは、既に工事品質検査の技術と方法を持っていたが、それらはレーザースキャナー作業を専門家へ委託するものであった。高コストかつ、データ解析を長時間待たなければならない従来からの方法であり、その効率と生産性は決して高いものではなかった。業務の改善に向け新たな技術や作業プロセスの見直しを検討していた時に、トプコンの最新技術であるレーザースキャナーとトータルステーションの機能が融合した『GTL-1000』を活用した効率性の高いワークフローに出会ったのである。

 同社の工事責任者ガイ・マーフィー氏は、次のように話す。「我々は長年にわたり、従来の方法で工事品質検査を行ってきました。なぜなら、今までこのプロセスを短時間で簡単にできるものに巡り合えなかったからです。トプコン最新の『GTL-1000』に備わっているデータ処理技術は、洗練かつ迅速で効果的なスキャニングとソフトウェア技術が融合され、ほぼリアルタイムと言える簡潔な工事検査ワークフローを提供してくれます」

マーフィー氏は、このプロジェクトが2017年7月に開始されると、トプコンの3D点群処理ソフトウェア『MAGNET Collage』とClearEdge3Dの 建築向け品質管理ソフトウェア『Verity』を含めて、スキャンデータと設計データの分析と検証を行う全ワークフローの一部として現場で試してきた。マーフィー氏は続ける。「『GTL-1000』は、どの段階においても、必要に応じたプロジェクトの出来高検証に必要なスキャンから照査までの時間を劇的に削減します。1台2役の機能のおかげで、施工技術者の日常作業の延長線上で器械を使用することが可能となり、高額なスキャナー計測を専門業者に委託する必要がなくなりました。使い方も至って簡単ですから、操作方法のトレーニングを長時間受けるような必要はありませんでした。
また我々は、このワークフローを新築の鉄骨構造物の設計モデルとの比較検証にも使用しました。この結果、建材が現場に持ち込まれる前にミスを発見し、設計変更を行うことができるようになったのです。『Verity』を使うことで、どの部分が許容範囲を超えるかが特定でき、設計とスキャニングの結果を以前よりもはるかに、そして入念に検討する時間を持つことができます。
『GTL-1000』とトプコンのソフトウェアを使えば、以前より多くのことが行えるため、人件費削減にもつながります。不規則的に発生するミスを未然に防ぐことができるこの新しいワークフローとテクノロジーから得られた費用対効果を定量化することは難しいのですが、大きな効果が得られることは間違いありません」

トプコングループの建築担当部長クリス・エメリーは、次のように話す。「今まで建設業界は、常にどうやってミスを対処するかということに苦労してきました。干渉チェックや設計の問題に対応するためにできることは、ほとんどなかったからです。トプコンは、従来の品質検査が施工技術者や下請け業者にとって時間を要し、コストが嵩み、専門的なトレーニングを要求されるといったフラストレーションを与えていることを知っていました。我々の提供するワークフローソリューションを使えば、作業をより早くより簡単に行うことができ、作業の手戻りを防止することで費用の節約にもつながります。  バルフォア・ビーティー社のプロジェクト・チームが、この新しいソリューションの結果に満足していることを嬉しく思います。また、彼らと協力することで、建設業界における建築工事の工期短縮と費用削減を実現するワークフローを洗練させることができました」

クーパーズ・ヒルのプロジェクトは、GTL-1000を最初に使用したプロジェクトで、第一段階の作業は、2019年8月に完了した。

最後に、バルフォア・ビーティー社におけるレーザースキャナー計測の中心人物であるニック・サーモン氏は、次のように話す。「バルフォア・ビーティー社では、我々の事業領域を対象に革新的な作業効率を実現し、現場での作業を2025年までに25%削減することを表明しています。トプコンの新しいレーザースキャナートータルステーションは建設プロセスを加速させ、従来法よりも効率的に設計上の課題を特定することで、生産性を向上させるでしょう。  発注者と請負業者双方がコストや計画期間の削減でき業界全体にとって大きな利益をもたらすこの新しいツールを、12か月間以上に渡りトプコンと協力して試用できたことに対し非常にうれしく感じています」

写真提供:Balfour Beatty plc (2019年3月撮影)

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詳しくは、トプコンのウェブサイトで。

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