クラウドCADとしてのオートデスク社とグレバート社の製品比較。
2020年3月2日

※本記事は CADの専門家・Ralph Grabowski 氏が書いたこの記事を翻訳したものです。

このホワイトペーパーでは、2019年8月に実施された、オートデスク社とグレバート社のWebブラウザで起動するCADアプリケーション(無料版および有料版)の性能について比較します。

比較したCADシステム:

  • オートデスク社のAutoCAD Webアプリ(以前の製品名はAutoCAD 360、またはAutoCAD WS)
  • グレバート社のARES Kudo

前提条件:

それぞれのベンダーが公表している最も最新のアプリを比較しました。alphaやbeta版といった公式には利用できないアプリはテストしていません。

調査結果:

全体的に見て、下記にまとめた通り、グレバート社のウェブアプリはオートデスク社のアプリより性能が優れています。後に続くページでは、これら調査結果の詳細と背景を記載しています。

顕著な相違点(概要):

 AutoCAD Webアプリの利点(ARES Kudoとの比較):

  • 月々のサブスクリプションが可能

欠点:

  • AutoCAD Webアプリがサポートしているウェブブラウザは2つだけ。: WindowsとMacOSにて、64ビット版のGoogle ChromeおよびMozilla Firefoxに対応。しかし、OperaやLinuxのようなOS、32ビット版といったChrome派生品はサポートしていない。
  • プライベートブラウジングモード (incognito window)はサポートしていない
  • 数少ないクラウドストレージサービス: プライベートクラウドは不可。AutoCADモバイルアプリとは異なったクラウドサービス。
  • DWGファイルの不正確な表示、そしてDWGファイルの全内容を開くことができない
  • 共有図面実行時の問題: コメントをエンティティにリンクすることができない
  • 共有のビューおよびコメント付けにはデスクトップソフトウェアの使用が必要、且つAutoCAD Webアプリではサポートされていない
  • 無料アプリおよび有料アプリでの数少ない機能
  • テーブル、フィールド、リージョン、グループ、ハッチングの編集不可
  • 全プラットフォーム(デスクトップ・ウェブ・モバイル)のプログラム用の年間サブスクリプションが高い、$380(3年契約のAutoCAD LT)~$2,400(AutoCADの月々の年換算)の価格帯

 ARES Kudo の利点 (AutoCAD Webのと比較 ):

  • 最新の全てのブラウザで起動し、LinuxブラウザのOperaなど全てのOSで起動
  • 無料版および有料版アプリの両方における豊富な機能
  • テーブル、フィールド、リージョン、グループ、ハッチングの編集が可能
  • 全DWGファイルとその内容を正確に開く
  • MicroStation DGNファイルのインポートが可能
  • 図面共有システムが確実に作動; コメントをエンティティにリンクすることが可能
  • デスクトップ版に切り替えしなくても、ARES Kudoから無料で閲覧しコメントを付けることができる表示専用リンクを共有できる
  • 多くのクラウドサービスをサポート; プライベートクラウドも利用可能
  • 3つの全てのプラットフォームで$250という安価な年間サブスクリプション:デスクトップ、ウェブ、モバイル
  • ARES Kudoは年間$99で利用可能

欠点:

  • 年間サブスクリプションのみ(Onshapeのサブスクリプション契約者は月々のサブスクリプションが可能)

対比機能(概要):

サマリー表では、無料版・有料版ともにオートデスク社の機能数よりもグレバート社の機能数のほうが多い結果となっています。機能数は、個人でどのように定義するかによって違う結果となることがあります。最新のアップデートからアプリまでも同様です。AutoCAD WebアプリとARES Kudoは、グラフィカルユーザーインターフェース(GUI:ツールバー、メニューなど)より、コマンドラインインターフェース(CLI)でより多くのコマンドが見受けられます。人によっては本サマリーと違う結果になる可能性があります。

File, folder Management = ファイル、フォルダー管理  Sharing, Commending    共有、コメント付け  Cloud Services  クラウドサービス Viewing  閲覧 Entity controls  エンティティ管理 Drawing  図面   Editing  編集  Dimensioning  寸法付け  Layer Control 画層管理  Inquiry  問い合わせ Plotting プロッティング

結 論:

グレバート社は、優れたWeb製品を提供しています。その理由の一端は、優先順位にあります。グレバート社は、DWGソフトウェアのARESシリーズが主力製品です。一方、オートデスク社については、AutoCADの販売に対して、機械産業や建築産業向けなどのより高価なソフトウェアシリーズの販売ほど積極的ではありません。

加えて、グレバート社は自社の製品を促進する重要なOEM契約を有しています。Onshape社のMCADソフトウェアとの密接な関係は、ARES Kudoにプラスとなっています。Dassault Systems社との提携はARES全体の技術に有益なものです。

こちらをクリックすると、「オートデスク社とグレバート社のクラウドベースCADシステムの比較」のホワイトペーパー版46ページ分をダウンロードできます(英語のみ)。

著者・Ralph Grabowski 氏 について

Ralph Grabowski 氏は、 ブリティッシュコロンビア大学にて、エンジニアリング応用科学の学士号を取得後、30年に渡り、CAD、グラフィック、インターネットに関連した200冊を超える書籍を著しました。 現在は、CAD(コンピューターを使った設計)分野の専門家として活躍。また、upFront.eZineおよびWorldCAD Accessブログの創設者で、upFront.eZineのニュースレターやWorldCAD Accessブログのエディターとしても知られています。

Grabowski氏へのお問い合わせは下記サイトから可能です。

www.upfrontezine.com または www.worldcadaccess.com

POSTED ON 28 NOVEMBER, 2019 BY GRAEBERT

詳しくは、Graebert Japanのウェブサイトで。

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